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私の愛聴盤(第126回)

2019-01-20 | 私の愛聴盤
第126回はホレス・シルバーの「ザ・トーキョー・ブルース」です。
「THE TOKYO BLUES」 BLUE NOTE 4110
  
1. TOO MUCH SAKE
2. SAYONARA BLUES
3. THE TOKYO BLUES
4. CHERRY BLOSSAM
5. AH! SO
BLUE MITCELL(tp) JUNIOR COOK(ts) HORACE SILVER(p)
GENE TAYLOR(b) JOHN HARRIS JR.(ds)
録音 1962年7月13、14日
お正月に相応しく、ニューヨークの日本庭園をバックに、和服姿の美女(奥側が出光真子さん)に囲まれてご機嫌のシルバーのショット、
このアルバムは、1962年の正月に初来日したシルバーが、帰国後に日本(語)に関連する曲をレコーディングしたもので、BLUE NOTE への吹き込みが40枚近くある中で、ジャケット、曲目共に異色となるもので、正にシルバー流「日本印象記」となっています。
同一系統には、ディブ・ブルーベックの「印象シリーズ」がありますが、アルバム1枚が丸々ニッポンと言うのは、ブルーベックの「Jazz impressions of japan」と共に稀なことです。

全5曲の内、ピアノ・トリオで演奏される「CHERRY BLOSSAM」を除く4曲がシルバーのペンによるもので、全曲に渡って根底に流れる定型のリズム・パターンを聴くだけで、ホレス・シルバーの曲だなぁ~と感じます。
1曲目の「TOO MUCH SAKE」は、2管のユニゾンによるテーマが印象的で、続くクック、ミッチェルの流れるようなソロを経て、シルバーに受け継がれますが、シルバーは草競馬の一節を挟んで、後半は酔いが醒めるほどの強いアタックで鍵盤を叩きつける演奏を展開しますが、後ろで支えるハリスのドラミングが妙に合っています。
但し、この曲のエンディングによるテーマ演奏が終わった後に、ほんの少しドラム・ソロが挿入されている部分は何の意味も無く、カットすべきだと思うのですが。
2曲目の「SAYONARA BLUES」は細かく刻んだリズムの上を、2管によるゆったりとした美しいテーマが対照的で、昔日本のジャズにもこういう流れの曲が多くあったような気がします。ここでのシルバーのソロは、左手のフィギアを堅持しながら右手によるシングルトーンの長いソロを展開していて、12分を越える長尺演奏が少しも長く感じません。
3曲目の「THE TOKYO BLUES」は、欧米人が描く日本の印象そのもので、我々にしてみれば、“それはお隣の大国のメロディでしょう”と言いたくなるのですが、アドリブに入ってしまえば関係なく、先発のクック~ミッチェルがスムースなアドリブを展開しており、ハリスのドラミングも大きな役割を果たしています。
ホレス・シルバーのアルバムには、必ずと言っていいほどピアノ・トリオによる演奏が1曲挿入されており、ここでも「CHERRY BLOSSAM」がそれに当たります。
元来、シルバーはスローな曲が上手くないと言われていますが、どうしてどうして、ここでの演奏は◎です。
そして5曲目は、ストップ・モーションを用いた風変わりなテーマからスタートする「AH! SO」で、テナー、トランペット、ピアノと続くソロを後ろから支えるハリスの刻むサクサクという4拍子が気持ち良く響きます。

全体を通して、このグループに参加しての初レコーディングとなるジョン・ハリスJrが無難にこなしたことと、ジュニア・クックとブルー・ミッチェルが、リーダーの意図を理解しての好演がこのアルバムの出来を握っています。
数あるホレス・シルバーの作品の中で、全体の統一感があるこのアルバムは、比較的ターンテーブルに乗る回数が多いです。

コメント
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