あしたのブログ!趣味や日々の報告ページ

このページを活用し趣味や日々のことなどを中心に報告しています。

私の愛聴盤(第173回)

2023-01-29 | 私の愛聴盤
私の愛聴盤の第173回は、マイク・ノックの「ONDAS」です。

「ONDAS」ECM 1220
  
1. FORGOTTEN LOVE
2. ONDAS
3. VISIONARY
4. LAND OF THE LONG WHITE CLOUD
5. DOORS
MIKE NOCK (p) EDDIE GOMEZ (b) JON CHRISTENSEN (ds)
録音 1981年11月

マイク・ノックの初期のフュージョン・バンドである「フォースウエイ」からは全くイメージが沸かない演奏集で、録音場所がオスロということもあり、これまでのマイクとは全く異なり、ECMレーベルにおけるヨーロッパの美メロピアニストに変身しています。

1曲目の「FORGOTTEN LOVE」は、3拍子による4小節ごとのパターン化されたリズムの上を、マイク・ノックによるピアノの澄んだシングルトーンが美しく、中程ではエディ・ゴメスのソロを挟んで、再び最初のメロディが登場し、ヨン・クリステンセンのドラムも前に出て三者一帯の演奏となります。
16分を超す演奏の中で、マイク・ノックの左手は最初から最後までパターン化されたリズムを刻みながらの1曲です。
一方、タイトル曲となっている「ONDAS」は、スロー・テンポの演奏で、ピアノをいかに美しく響かせるかに徹しており、これに何時ものエディ・ゴメスらしからぬベースが絡見ながら進行して行きます。
レコードB面に移って「VISIONARY」は、ベースラインに特徴がある美しいメロディの曲で、3者がそれぞれ対等に主張しており、ピアノ・トリオとしてバランスのとれた演奏です。
「LAND OF THE LONG WHITE CLOUD」は、繰り返されるメロディに特徴があり、ポール・ブレイからの影響も感じられ、エディ・ゴメスのソロとの調和も魅力的です。
「DOORS」は、アレンジされたの演奏の中で、ヨン・クリステンセンのダイナミックなドラミングが素晴らしいです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

私の愛聴盤(第172回)

2022-12-29 | 私の愛聴盤
第172回は、ジーン・アモンズとソニー・スティットの2人のサックス奏者による2枚のアルバムです。

「BOSS TENORS」 VERVE (MV 2577)
  
1. NO GREATER LOVE
2. THE ONE BEFORE THIS
3. AUTUMN LEAVES
4. BLUES UP & DOWN
5. COUNTER CLOCKWISE
GEAN AMMONS (ts) SONNY STITT (ts, as) JOHN HOUSTON (p)
CHARLES WILLIAMS (b) GEORGE BROWN (ds)
録音 1961年8月
(ジャケットの曲目表示とレコードは、A、B面が逆ですが、オリジナル盤表記をそのままに使ったとのことです)

「BOSS TENORS IN ORBIT」 VERVE  V6-8468
  
1.LONG AGO AND FAR AWAY
2.WALKIN‘
3.WHY WAS I BORN ?
4. JOHN BROWN‘S BODY
5. BYE, BYE BLACKBIRD
GEAN AMMONS (ts) SONNY STITT (ts) DONALD PATTERSON (org)
PAUL WEEDEN (g) WILLIAM JAMES (ds)
録音 1962年2月

掲載した2枚は、「BOSS TENORS」がステレオ録音で、右チャンネルにアモンズが、左チャンネルからはスティットが聞こえてきます。
続く「BOSS TENORS IN ORBIT」はモノラル録音ですが、豪快で太い音のアモンズに比べ、より軽快でスマートなスティットであるから聞き分けができます。

1枚目の聞き所はB面の2曲で、「BLUES UP & DOWN」は2人のブローと掛け合いによるサックス演奏の醍醐味を味わうことが出来ます。
続いての「COUNTER CLOCKWISE」は、先発するアモンズと、後発のスティットがそれぞれ6コーラスのアドリブを展開する内容で、2人の演奏をじっくりと聞き比べられるという楽しみがあります。

2枚目は、バックがピアノからオルガンとギターになったことでガラッと雰囲気が変わり、特にスロー・テンポで演奏される「LONG AGO AND FAR AWAY」では、2人のソロをじっくりと聴くことが出来るし、「WHY WAS I BORN」や「JOHN BROWN‘S BODY(リパブリック賛歌)」のテーマ部での2人による合奏なども魅力的な演奏となっています。
なお2人のブローは、ピアノよりオルガンをバックに演奏する方がうまく合っているように思います。

2枚の10曲を通して、スティットがアルト・サックスを吹いているのは最初の「NO GREATER LOVE」のみであり、アモンズとの組み合わせを考えるとテナー・サックスの方が合っているように感じます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

私の愛聴盤(第171回)

2022-11-20 | 私の愛聴盤
第171回はカーリン・クローグによるジャズ・スタンダード・アルバムです。

「JAZZ MOMENTS」 TEICHIKU UXP-84-V (Grand Prix GP-9987)
  
1. I GOT YOUR NUMBER
2. OLD FOLKS
3. ALL OF YOU
4. BABY WON′T YOU PLEASE COME HOME
5. DEARLY BELOVED
6. GLAD TO BE UNHAPPY
7. I CAN′T GET STARTED
8. JUST IN TIME
9. BODY AND SOUL
10. DEARLY BELOVED
KARIN KROG (vo) KENNY DREW (p) N.H.O.PEDERSEN (b) 
JON CHRISTENSEN (ds) JAN GARBAREK (ts)
録音 1966年11月11~12日

この「JAZZ MOMENTS」は彼女の2枚目のアルバムで、過去にCDで掲載済ですが、最近レコード(国内盤)を入手したことから再び取り上げてみました。

アップ・テンポでスタートする「I GOT YOUR NUMBER」は、カーリン・クローグが非常にスイングしていて、中間部でのケニー・ドリューやN.H.O.ペデルセンのソロも素晴らしく、最初にしてこのアルバムのハイライトの様に思います。
続く「OLD FOLKS」は、スロー・テンポで表情豊かに歌うカーリンの特徴がよく出た曲で、ドリューも上手く間を埋めながら絶妙のバッキングをしており、ピアノ、ベースのソロも聴きごたえがあります。
ミディアム・テンポで演奏される「 ALL OF YOU」は、ヴォーカルもさることながら、ペデルセンのベース、及びドリューのピアノ・ソロの他、ヤン・ガルバレクもソロを取っています。

ヴァースからスタートする「GLAD TO BE UNHAPPY」は、ゆったりしたテンポの曲ですが、最後まで感情を込めながらいい感じで歌っています。
「 I CAN′T GET STARTED」は、彼女自身が歌詞を書き換え、全く異なった解釈で歌っていることから、彼女の本領が発揮された1曲となっています。

ミディアム・テンポによる「JUST IN TIME」は、ベースとのデュオで1コーラスを歌った後、ドラムス、ピアノが順次参加してくるという粋なアレンジで快調に進行しています。
多くの歌手が取り上げている「BODY AND SOUL」ですが、カーリン・クローグの特徴あるフレーズによるこの歌唱もまた印象に残ります。

このアルバムでのケニー・ドリューは、リバーサイド・レーベルや後期のステープルチェース・レーベル時代の演奏とは異なり、次から次へとモダンで斬新なフレーズを繰り出していて、それがカーリン・クローグの歌に上手くマッチングしており、N.H.O.ペデルセンのタイミングを計ったサポートがそれらをしっかり支えています。
また、録音もクリアで聴きごたえがあるアルバムです。

なお、この録音当時は若干19歳であったヤン・ガルバレク(ts)が3、10の2曲に参加しており、期待を持って聴き直しましたが、未だ手探りの感じがしました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

私の愛聴盤(第170回)

2022-11-06 | 私の愛聴盤
第170回は、ジョニー・ソマーズのソフト・アレンジによるキュートなアルバムです。

「SOFTLY, THE BRAZILIAN SOUND」 WARNER BROS. W 1575
  
1. MEDITATION
2. DEAR HEART
3. WATCHING THE WORLD GO BY
4. QUIET NIGHTS
5. ONCE
6. SOFTLY AS I LEAVE YOU
7. I COULD HAVE DANCED ALL NIGHT
8. I’LL REMEMBER APRIL
9. YOU CAN′T GO HOME AGAIN
10. CARNIVAL(黒いオルフェ)
11. OLD GUITARON
12. THAT’S ALL
JOANIE SOMMERS (Vo) LAURINDO ALMEIDA (g)
録音 1964年

ジョニー・ソマーズはアメリカン・ポップスを代表する女性歌手で、「バイ・バイ・バーディ」挿入歌の「ワン・ボーイ」が彼女のデビュー曲ですが、過去に伊東ゆかりや森山加代子の歌で聴いたことがありました。
彼女はジャズとポップスの両方の魅力を供えた貴重な歌手の一人であり、このアルバム以外にアート・ペッパー達が参加していて、良く知られたスタンダードを歌った「POSITIVELY THE MOST 」という名盤があります。
一方こちらは、弦を中心としたオーケストラによるポップス仕立てのアレンジを主体にリズムは控えめになっていて、彼女のささやくような歌をじっくり味わうことが出来る魅力的なアルバムです。

1曲目の「MEDITATION」は、アントニオ・カルロス・ジョビンが作った有名なボサ・ノヴァですが、それを打ち消すかのようにオーケストラをバックにしなやかに歌っており、そのイメージを持ったまま「DEAR HEART」へと続いて行きます。
なお「DEAR HEART」は、作曲家のヘンリーマンシーニとアンディ・ウイリアムスのジョイントの映像が素晴らしいですが、ソマーズもそれに劣らずいい雰囲気で歌っています。

全12曲の中で唯一リズムが強調されているのは「 QUIET NIGHTS」ですが、彼女はそれとは対照的にアルバム全体の雰囲気を保ちながら歌っています。
また、「YOU CAN′T GO HOME AGAIN」は、音階に高低差ある難しい歌ですが、これも非常にスムースな流れであり、「CARNIVAL(黒いオルフェ)」は、かなり遅いテンポでリズムを控えめにして、しっとりとささやくように歌いあげており、弦を中心としたアレンジと上手くマッチングしています。

なお、ここでのジョニー・ソマーズの歌声は、ジャネット・サイデルの雰囲気によく似ていますが、今回掲載した「SOFTLY, THE BRAZILIAN SOUND」の音源がYou tubeにあります。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

私の愛聴盤(第169回)

2022-10-23 | 私の愛聴盤
第169回は、ジョニー・ハートマンのインパルス・レーベルからの1枚です。

「I JUST DROPPED BY TO SAY HELLO」 AS - 57
  
 1. CHARADE
 2. IN THE WEE SMALL HOURS OF THE MORNING
 3. SLEEPIN’ BEE
 4. DON’ T YOU KNOW I CARE
 5. KISS AND RUN
 6. IF I’M LUCKY
 7. I JUST DROPPED BY TO SAY HELLO
 8. STAIRWAY TO THE STARS
 9. OUR TIME
10. DON’T CALL IT LOVE
11. HOW SWEET IT IS TO BE IN LOVE
JOHNNY HARTMAN (vo) HANK JONES (p) ILLINOIS JACQUET (ts)
KENNY BURRELL, & JIM HALL (g) MILT HINTON (b) ELVIN JONES (ds)
録音 1963年10月9, 17日

ジョニー・ハートマンの3枚あるインパルス盤の中で、コルトレーンとのセッションは別格として、40歳のハートマンが歌うこの2枚目の出来も素晴らしく、バックを担当するベテラン達によるツボを得たサポートがこのアルバムの価値を一層高めています。

ここでのハートマンは、最初の2曲を聴いただけで、その素晴らしさを感じることが出来ます。
「CHARADE」では、歌のバックでオブリガートを付けるジム・ホール(多分)や、2コーラス目のサビから出て来るイリノイ・ジャッケーにはゾクッとさせられます。
続く「IN THE WEE SMALL HOURS OF THE MORNING」、
ここでもギターの素晴らしい味付けがありますが、2コーラスの前にヴァースを挟む粋な構成となっており、アン・バートンの「BLUE BURTON」での歌唱と共に傑作の1曲だと思います。

以下、レコードのA面に収録されている「SLEEPIN’ BEE」は、4小節のベースのウォーキングに導かれてスインギーな歌が開始されますが、ギター(恐らくケニー・バレル)によるアクセントと、エルヴィン・ジョーンズのブラシによるスパイスが利いています。
「DON’ T YOU KNOW I CARE」は、ハートマンの歌に対してテナー・サックスによるオブリガートが対比を成す構成で、「KISS AND RUN」は、ハンク・ジョーンズを中心としたピアノ・トリオをバックに軽快な歌となっており、エルヴィンのブラシによるアクセントがより効果を出しています。
また、「IF I’M LUCKY」は、伴奏人が勢揃いの中でハートマンもしっとりと感情を込めて歌っています。

そして、B面の5曲もそれぞれ異なったアレンジとサポートが続いていて、ハートマンが非常にリラックスして歌っているように感じられることから、全曲においてアレンジの素晴らしさと、ハンク・ジョーンズのピアノ、それにエルヴィン・ジョーンズのブラシによるアクセントが歌を上手くリードしている一因かと思います。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

私の愛聴盤(第168回)

2022-08-28 | 私の愛聴盤
第168回は3人のユニットによるE E U (EVOLUTION ENSEMBLE UNITY)の演奏集です。

「CONCRETE VOICES」 EEU 001
  
1. BRILLIANT CORNERS
2. DROPS
3. BONE
4. DRIFT
5. STONE BLUES
6. CONCRETE VOICES
高木元輝 (reeds, perc) 近藤等則 (tp, a-ph, perc) 吉田盛雄(b, perc)
録音 1976年9月24日、11月2日

このアルバムはステレオ録音で、3人の配置は中央に吉田のベース、左寄りに近藤のトランペット、右寄りに高木のリードとなっています。
A面5曲の内容ですが、セロニアス・モンクの「BRILLIANT CORNERS」で、高木はアルト・クラリネットを吹いていて、4つを刻むベースの上を近藤と高木がユニゾンでテーマを吹いた後、数コーラスを自由な発想で表現し、各々のアドリブへと進行して行きます。
アドリブの先発は近藤が、続いて高木、最後は吉田のベースでテーマに返るというオーソドックな受け渡しとなっていますが、アドリブ部分はフリーでありながらとてもシンプルな演奏となっており、最後に登場する吉田のベース・ソロは4つを刻む音の中で力強さを感じます。
また「DROPS」は、ボーイングで複数の音を同時に出し、底を這うように進行していく上を2人がタンギングで対話しており、S.レイシーの「BONE」は、マーチ風にアレンジして軽快に進行し、後半においては一定のリズムを刻むベースとは対照的に、2管は不協和音で絶叫しています。
参加者全員のクレジットによる「DRIFT」はノン・リズムの演奏で、ベースのボーイングが全体を支配しており、その上を管楽器が絞り出すように音を放出しているし、「 STONE BLUES」は、一転して早いテンポとなりますが、ここでもベースが曲をリードしており、いずれも短い演奏ながら変化に富んで充実した連想となっています。

このアルバムのもう一つの聴きものは、タイトル曲の「CONCRETE VOICES」で、B面全体を占め24分を越えるライブ演奏において、3人がそれぞれのパフォーマンスを繰り広げていますが、そこは実力者たちであり、単なるでたらめとは違い音も洗練されており長さを感じさせることなく、フリージャズとはいえ聴き手にとっても心地よさが残る演奏となっています。

全体を通して、3人の実力者によるテクニックもさることながら録音が素晴らしく、各楽器の特徴も上手く表現されていて、聴く度に新しい発見があります。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

私の愛聴盤(第167回)

2022-07-31 | 私の愛聴盤

第167回は、ジョン・スコフィールドがリッチー・バイラークを加えたカルテットでのライブ盤です。

「JOHN SCOFIELD LIVE」 enja 3013
  
1. V.
2. GRAY AND VISERAL
3. LEAVING
4. SOFTLY AS IN A MORNING SUNROSE
JOHN SCOFIELD (g) RICHIE BEIRACK (p) GEORGE MRAZ (b) JOE LaBARBERA (ds)
録音 1977年11月4日

このアルバムが録音された1977年は、先の日野皓正との共演盤である「MAY DANCE」と同じ年の録音で、ジョン・スコフィールドをその時の演奏と聴き比べてみると、バックを支えるリズム陣が何れもベテラン揃いであることもあり、半年後に録音されたこちらは、テクニックに力強さも加わっています。

収録されている4曲はライブともあって、いずれも10分を越えるロング・バージョンで、特にA面2曲はスコフィールドのオリジナルであり、冒頭の「V」は面白いテーマをもっており、2曲目の「 GRAY AND VISERAL」は6/4拍子による曲ですが、ベース・パターンが最初から最後まで曲を支配していて、それにスコフィールドの重厚なテーマが被さり、ソロにおいても変則リズムの上を粋なフレーズが延々と続きます。                                        また、後半でソロを取るジョージ・ムラーツのエレキ・ベースも鮮やかな手並みを披露しています。

B面2曲は、リチャード・バイラークの書いた美しい曲や、スタンダードをどのような解釈でバイラークが演奏するか聴きどころとなっています。                            その「LEAVING」は、ピアノ・ソロによる長い序奏を経て、スコフィールドがシンプルにテーマを弾き、アドリブに入っても冷静でスマートな演奏となっていますが、続くバイラークは対照的に激しく熱いソロを披露しています。                                          最終曲の「 SOFTLY AS IN A MORNING SUNROSE」は、バイラークがフリーな演奏でテーマ部分を1コーラス弾いた後、イン・テンポになってスコフィールドが再びテーマを演奏しそのままアドリブへと進んで行き、途中では倍テンポによる粋なアドリブも披露します。                 その後は、ピアノ~ドラムスへとソロがリレーされ、15分を越える長い演奏が終わります。

ジョン・スコフィールドは、1951年12月生まれであるからして、このライブ・レコーディングは26歳になる前のデビュー間もない演奏ですが、彼の実力を遺憾なく発揮した記憶に残る1枚だと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

私の愛聴盤(第166回)

2022-06-26 | 私の愛聴盤
第166回は、サム・ジョーンズがリーダーを務めるピアノ・トリオです。

「THE BASSIST!」 INTERPLAY IP-7720
  
1. RHYTHM-A-NING
2. LILY
3. SEASCAPE
4. TRAGIC MAGIC
5. THE HYMN OF SCORPIO
6. BITTERSUITE
SAM JONES (b) KENNY BARRON (p, elp) KEITH COPELAND (ds)
録音 1979年1月3日

サポーターとして、数多くのアルバムに参加しているサム・ジョーンズが、ピアノにケニー・バロンを迎えての願っても無い組み合わせによる1枚です。
レコーディング場所はニューヨーク、それにエンジニアは日野皓正&リチャード・バイラーク録音の時と同じデヴィッド・ベイカー、そしてプロデューサーは妙中俊哉さんで、彼でなければこのようなアルバムは作れなかったと思います。
また、ベーシストのリーダー・アルバムですが、ピアノ・トリオと言うシンプルな編成であるからして、各々の楽器のバランスとソロが上手く配分されています。

1曲目はセロニアス・モンクのおなじみの曲で、爽快に突っ走る演奏において、サム・ジョーンズが1拍を2づつ刻むという超テクを聴くことができます。
2曲目は一転して美しいメロディの曲であり、サム・ジョーンズのオリジナルであることからベースが少し大きめの音像で録られていますが、伸びやかなベース音と、これまた軽やかでさわやかに奏でるピアノが絶品の1曲です。
3曲目はボサノバ調の曲で、ケニー・バロンはエレピを弾いており、非常にスマートな演奏ですが、中間部の力強いベース・ソロが光っています。
4曲目はケニー・バロンの趣味の良い作品で、しっかりとリズムを刻むサム・ジョーンズのベース・パターンを追えることが出来ます。そして、後半で大きくクローズアップされるキース・コープランドのドラム・ソロも一聴の値がします。
5曲目の「THE HYMN OF SCORPIO」は、ベースとエレピによるテーマの合奏でスタートし、エレピのソロにベースとドラムスの絡みが聴きどころとなっています。
6曲目の「BITTERSUITE」は、これもテーマ部でベースとピアノの合奏に、ドラマーが対比する形でスタートし、中間部はピアノが主導権を握ったプレイで進行しますが、後半で登場するサム・ジョーンズの力強いベースの長いソロがこのアルバムのハイライトとなっていて、ドラムスとの4バースを交えてエンディングとなります。

ベーシストやドラマーがリーダーとなったアルバムは、その楽器をいかに生かせるかというは重要で、時には誇張して大きくフューチャーされることがあります。
このアルバムではサム・ジョーンズが3曲を提供していますが、いずれの曲においてもそういったことは無く、ブルーミッチェルの名盤である「BLUE’S MOOD」の中のプレイ同様に、サム・ジョーンズのプレイがしっかり聴けるところが良いです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

私の愛聴盤(第165回)

2022-05-29 | 私の愛聴盤
第165回はアート・ファーマーの「ART」です。

「ART」 ARGO LP 678
  
1. SO BEATS MY HEART FOR YOU
2. GOODBYE, OLD GIRL
3. WHO CARES
4. OUT OF THE PAST
5. YOUNGER THAN SPRINGTIME
6. THE BEST THING FOR YOU IS ME
7. I´M A FOOL TO WANT YOU
8. THAT OLD DEVIL CALLED LOVE
ART FAMER (tp) TOMMY FLANAGAN (p) TOMMY WILLIAMS (b) ALBERT HEATH (ds)
録音 1960年9月21~23日

歌心満載のアート・ファーマーと、それを支えるトミー・フラナガンの共演による名演奏の1枚で、アートは、トランぺッターにありがちなハイ・ノートやトリッキーな吹奏をすることは無く、繊細で温かみのある音でひたすらスイングしています。
一方で、演奏からは強烈な感情や情熱的な気迫が感じられないことから、ハッとするような演奏は期待できませんが、コード進行に基づいたアドリブで、調和のとれた美しい響きの演奏は、聴く者に安らぎを与えてくれます。
ここには、自身のオリジナル曲はありませんが、いぶし銀の演奏が並んでいます。


下も同じワンホーンですが、上記のアルバムより2年程前に録音され、リズム陣が総入れ替えになっていますが、演奏は同じ雰囲気を持っていますています。
アートは3曲のオリジナルを提供していて、全曲に渡ってハンク・ジョーンズのプレイが光っています。
また、ロイ・ヘインズのドラミングも、前に出て来ることは無く、しっかりとしたサポートで演奏を支えています。

「PORTRAIT OF ART FAMER」 STEREO RECORDS S7027
  
1. BACK IN THE CAGE
2. STABLEMATES
3. THE VERY THOUGHT OF YOU
4. AND NOW...
5. NITA
6. BY MYSELF
7.TO LATE NOW
8. EARTH
ART FAMER (tp) HANK JONES (p) ADDISON FAMER (b) ROY HAYNES (ds)
録音 1958年4月19日、5月1日

アートが1曲のみミュートで演奏している「 BY MYSELF」は、ベースとのデュオでスタートし、ドラムスとピアノが順次参加していく展開の中で、中間部のシングル・トーンを生かしたピアノ・トリオによる部分が曲の雰囲気をそのままに受け継いで、良い感じの演奏に仕上がっています。
また、続いての「TOO LATE NOW」は、タイトルそのままにゆったりしたテンポで、オープン・トランペットが明るく解放感溢れる演奏となっており、この2曲がアルバムのハイライトの様に思えます。
このアルバムでは、ジョージ・ラッセルの「 NITA」を取り上げたりして意欲的なところも見えますが、アート自身のオリジナル(1, 4, 8の3曲)は、タイトルと共に余り魅力的な曲には感じません。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

私の愛聴盤(第164回)

2022-04-24 | 私の愛聴盤
私の愛聴盤の第164回は、ケニー・バロンのトリオによる「SCRATCH」です。

「SCRATCH」enja 4092
  
1. SCRATCH
2. QUIET TIMES
3. WATER LILY
4. SONG FOR ABDULLAH
5. THE THIRD EYE
6. AND THEN AGAIN
KENNY BARRON (p) DAVE HOLLAND (b) DANIEL HUMAIR (ds)
録音 1985年3月11日

1991年3月のスタン・ゲッツの遺作となった「ピープル・タイム」での共演もそうですが、ピアニストという立場から、他人のリーダー・アルバムや歌伴奏に回ることが多いケニー・バロンは、先輩格のピアニストであるバリー・ハリスと同様に、自作曲は元よりスタンダードの演奏も上手い奏者の一人です。

タイトル名でもある「SCRATCH」は、複雑なテーマを持つ曲で、アドリブに入ると4ビートに変わり、2人の強靭なサポートによるそのプレイは、圧倒的で力強いです。
そして、カーメン・ランディのペンによる美しいバラード「 QUIET TIMES」を経て、曲の後半でディヴ・ホランドのベースがフューチャーされる「 WATER LILY」というA面3曲の流れも良いです。
アルバムB面の「SONG FOR ABDULLAH」は、アフリカのピアニストであるアブドーラ・イブラヒム(ダラー・ブランド)のために書かれたもので、ゆったりしたテンポで演奏されますが、左手の和音に乗せて流れるようにスムースなメロディが心地良いです。
また、「THE THIRD EYE」は、早いテンポによりダイナミックでハイテンションの演奏で、次々と新しいフレーズで紡いでいく「AND THEN AGAIN」へと続きます。

このアルバムは、全6曲中5曲をリーダー自身が書いていることから、自作自演集に相応しく、両面を通して聴くと自然と意気込みが伝わって来てあっという間に終わってしまいます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする