一昔前まで、VOLVOと言えば角ばった洒落っ気のないデザインがイメージされた。四角四面の大きく丈夫そうな外観。安全かもしれないが、走りはもったりしていそうな感じがした。
しかし、最近のボルボはそのデザインが大きく変わってきた。直線基調の武骨さは影を潜め、曲線を多用して滑らかな面構成を用いるようになった。
ヒット作となったV40はそのVOLVO最近のデザイン傾向をぎゅっと凝縮した造形である。5ドアハッチバックでありながら、実用性一点張りでなく、傾斜が強く着いたAピラーや独特の形状のリアのコンビネーションランプ、リアに向かって跳ね上がる形状となっているサイドウィンドウなど、デザイン性をかなり優先したと思わせる箇所が結構ある。
V40の日本での最大のライバルはVW GOLFであろう。GOLFは隙のない優等生。ハード面での精巧さにおいてはGOLFに分があるであろが、V40にも強みはある。
そのもっとも大きなものは至れり尽くせり的な各種の安全装備である。障害物を察知して自動的にブレーキがかかるシステムはもちろんのこと、歩行者がぶつかるとボンネットが跳ね上がって傾斜を強め、エアバッグが膨らんで衝撃を緩和する、歩行者安全装備までも用意してある。
デザインの洗練度が上がり、充実した安全装備が好評を博したのか、V40は日本でも販売が好調である。
VW GOLFでは正統派すぎる、Mercedes-BenzのAクラスやBMWの1シリーズではブランドイメージが強すぎる・・・そういった時に俄然光ってくるのがVOLVO V40なのかもしれない。きっと走りの方も一昔前のもっさりとしたものではなくなっているのであろう。
試乗した後車を降り、「どうしようかな・・・」と迷いながらリアに回ると、その斬新な造形のリアコンビネーションランプが「こっちの水もあ~まいよ・・・」とささやきかけるのかもしれない。