おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

犬が話せたら

2016-06-24 12:00:40 | 福島

 あと一週間ほどでトトの誕生日がやってくる。誕生日と言ったって、捨て犬だったトトを動物病院に連れて行ったら、獣医さんが「生後三ヶ月くらいなので、誕生日は7月1日にしましょう」と決まったのだ。だから、7月1日で満15歳になるが、僕との出会いは9月で15年を迎えることになる。

 東京から大分に生活の場を移し、田舎では絶対犬を飼うんだと決めていた。あちこちで犬がいないか聞いて回っていたら、近所の人が捨て犬がいると情報をくれた。

 トトを飼い始めるにあたって、心ひそかに決心したのが、捨て犬を引き受ける以上、日本一幸せな犬にしてやろうということだった。何を持って日本一幸せなのかはわからないが、トトと過ごすことを僕の生活の最重要事項とし、僕の体調や気分次第で付き合い方を変えるのではなく、常に同じ気持ちで接することにした。

 そして、昔のように放し飼いにできない以上、犬の行動範囲は飼い主が連れ回ったほどしかないので、1日も欠かさず散歩に行き、休日は遠くまで出かけた。ついには、あちこちの山登りにも一緒に行き、北海道から鹿児島までトトと一緒に旅行をした。

 もしトトが人間の言葉を喋れば、その辺の人間よりもよほど多くの体験を語るかもしれない。あるいは何事かを悟ったかのように、泰然自若として多くは語らないだろうか。

 近頃、15歳を前にして急に歩く速度が遅くなってきた。散歩に出てしばらくは元気がいいが、急な坂道に差し掛かったりすると、途端にペースダウンしてしまう。そういう時はリードで少し引っ張りあげてやるくらいでなければ、今にも立ち止まってしまいそうだ。若い頃から足腰は鍛えてあるから、まだまだしっかり歩いてもらわなければ困るのだ。

 もし犬が言葉を話せるなら、僕はトトに聞いてみたいことがある。「君にとって幸せな人生とは、どういう生活のことかい」。

コメント (1)
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