おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

キンモクセイの香り

2015-09-06 09:35:35 | 福島

 朝、散歩していると、どこからともなく甘い香りが漂って来た。その存在をすっかり忘れているのに、この時期だけ突然思い出せてくれるのがキンモクセイだ。いつもはどこにあるのか気がつかないのに、花の時期になると庭木としてどこの庭にも植わっているのにびっくりする。道を歩きながら、「ここはキンモクセイ通りか」と思うくらいどの庭にも一本は植わっている感じだ。そういう意味では桜と似ているかもしれない。春の花の時期には、こんなところにもと思うくらい日本中が桜にあふれるが、普段は目立ったところのない雑木だ。

 今の時代は、香水や芳香剤にあふれているから、匂いや香りということに関しては案外鈍感になっているかもしれないが、そういうもののなかった時代を想像してみると、初秋のこの時期、空気中に漂う甘い香りは、きっと人々をうっとりさせたことだろう。

 子供の頃、ある日突然鼻をくすぐる甘い香りに、一体なんの匂いだろうと正体を探したことがある。それがキンモクセイという木に咲く小さな黄色い花の匂いだと知ってびっくりしたものだが、それからは毎年キンモクセイが最初に匂う日には、いつも「ああ秋が来たなあ」と強く感じるようになった。子供ながらに木の枝を折り、花瓶に挿したりしたものだ。

 曇天が続くせいか、キンモクセイはまだまだ咲き始めで匂いはそれほどでもない。きっと天気が回復し、青空の広がるような朝には、一斉に花が咲き、あたりはキンモクセイの匂いに包まれるに違いないと、今から楽しみにしている。

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