このところずっと描いてきた名画の旅シリーズは、とりあえず目標だった8枚に達した。日本の画家としては浮世絵の北斎を取り上げたが、北斎は版画なので、西洋の画家の作品とはかなり趣が異なる。じゃあ、日本の代表的な画家は誰だろうということになると、西洋画が本格的に我が国に入って来たのは明治になってからだから、世界的に有名な画家というのがなかなか思いつかない。パリで活躍した藤田嗣治だとか岡本太郎とかいう人たちもいるが、あまり一般的じゃないだろう。そもそも代表作を挙げなさいといっても、頭をひねってしまうのだ。
そんな中、黒田清輝と東山魁夷なんかは、西洋画と日本画を代表するポピュラーな作家と言えるかもしれない。黒田清輝の「湖畔」や東山魁夷の「緑響く」なんかは、日本人なら一度くらいは目にしたことがあるだろう。
というわけで、7枚目と8枚目の作品にもちゃっかり画中に参加するアベさんなのである。まるで映画監督のくせに、ちょい役で作品に登場したがるヒッチコックみたいではないか。