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書評「新・日本の階級社会」(1)   文科系

2018年02月05日 09時06分12秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
書評「新・日本の階級社会」 結婚できず、子も作れぬ日本

 団塊以降世代から初老期に入られた方々に言いたい。子どもらが結婚できず、子も作れないような日本、世界を遺して、安んじて死んで行けるのかと。そんな事をひしひしと感じていた僕はそういう資料を望んで久しかったのだが、とうとうこれを教えてくれる本に出会った。「新、日本の階級社会」、著者は早大教授・橋本健二氏。ここには、こんなことが書いてある。

 まず、日本という「新、階級社会」の年収・職種など別に階級を分けるとこうなると語る。僕の問題意識は、それぞれの未婚率である

①資本家階級 254万人で4・1%
②管理職、専門職、上級事務職などの新中間階級が、1,285万人で、20・6%
③自営業、農業など旧中間階級、806万で12・9%
④正規職、2,192万で35・1%
⑤パート主婦、785万で、12・6%
⑥非正規職、929万で、14・9%

 さて、僕がずっと問題にしたかったのは、②~⑥(当然⑤は除く)それぞれの平均収入と男性未婚率。こんな数字が出たという。②は499万円の、男性未婚率18・0%。③が、303万円で12・9%。④が370万円、31・0%とあって、最大の問題が⑥186万円の14・9%で、この人々の男性未婚率が実に66・4%とあった。今どんどん増えているパート、アルバイト、派遣社員という方々なのである

 さて、今の60代以上の方々で、こんな時代を予想できた方がどれだけいらっしゃるだろう。ちなみに、人間世界の生産力はこの間どんどん増えて来たのだから、こんな事態は「何で?」と疑問になって当然なのである。④でさえ男性未婚率31・0%とあるのは、おそらくこんな理由もあるはすだ。専業主婦か、正規に近い共働き相手か迷っている男性も多いと。この収入だけだと、家賃10万として残りの月平均収入は20万。年功序列賃金体系も崩れた事だし、子どもを大学まで行かせられるかどうか分からない状況という他はないのだから。また、いまの30~40代が、親の世代と同じ生活水準を望むというのも人として自然な要求でもあろう。

 酷い社会になったものだ。団塊世代諸君、こんな日本を子孫に遺したかったのか? 何度でも言うが、この間に世界の生産力は飛躍的に伸びているのだ。それが普通の人々に行き届かないようになっているのである。何でこうなってしまったのか、今の時代の世界経済の仕組みをこそ根本的に問うてみる必要がある。今の生産力が十分に発揮されるなら、普通の人が8時間働けば子どもを大学になど楽に行かせることができるはずだ。社会に必要なものもちゃんと行き渡らず、生み出せず、お金もどこか遠くへ行ってしまっているのである。そういう経済の仕組みという根本的問題があるということだろう。その次第は、このブログの至るところに解説してあると自負している。

 マクロ経済原論で言うと、現世界が供給サイド経済学でやってきて、需要サイド(例えば、ベイシックインカム論などというものも、一時アメリカ政府内で検討されたこともある)には振り向きもしなかったからこうなってきた。そういう意味で、安倍になど投票すべきではないのである。丁度米国国民がトランプになど投票すべきではないように。知られているように、安倍、トランプでは、世界に不安定労働者が増えるばかり。さもなければ、南欧、アジア、南米のように失業者の大群。不安定労働者とか失業者の大群とか、こんな社会でない道もありえたのだが、1980年辺りから、今のような道を採ってきてしまった。英米を先頭とした先進国の為政者が先頭に立った弱肉強食社会の成れの果てである。

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2 コメント

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給料が下がった! (文科系)
2018-02-06 21:32:15
 高齢者の皆さん、ご自分の現役時代を考えてみて、日本の給料がどれだけ下がったんだと驚きませんでしたか? 僕の連れ合いは県立高校の教師でしたが停年ちょっと前には年収1000万を超えていたはずだ。
 以降生産力は飛躍的に高くなったはずだが、どうして給料はこんなに下がったのか? その仕組み理解はとても難しいのだが、ここに現代世界の最大問題があると思います。

 この本の中にも20世紀最大の経済学者ケインズが1930年頃にこう予言していたとありましたが、まるで逆方向へ進んできましたね。なぜだ!
『100年後の2030年になれば、生活水準は4~8倍に、労働時間は1日3時間にすることが可能で、経済的な問題は全て解決し、人類は切迫した経済的な必要から自由になるだろうと述べていた(「孫の世代の経済的可能性」、1930年)。』
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貧富の世襲どころではない (文科系)
2018-02-08 14:52:12
 貧富の世襲とはまだ、貧富夫婦が子供は作れたが、その子が貧富にきっちりと分かれるという社会状況。
 ところか現代日本は、もっと酷い。貧者の子どもが結婚できなくなって、子供を作れなくなっている。この本にはそういう状況、数字が書いてあるが、僕自身はそういう問題意識を僕の親類のある家族から既に得ていた。

 その夫の父母は、母までが旧制女子高等師範学校(現在、お茶の水女子大学)出身で、高校教員同士の共働き。その子ども4人は皆国公立大学卒。
 その妻のほうは父母が離婚して、母一人で5人の子を育てた、その長女。

 さて、この夫婦とその兄弟たち合計9人はみんな結婚したが、その子、つまり夫婦から見て甥や姪が全員三〇歳以上になった今、どうなっているか。それが問題である。
 夫の方は甥姪合わせて10人が全員結婚していて、甥姪の子が総勢15人を優に超えている。他方妻の方は、甥姪合わせて7人で既婚者は2人、その子もその夫婦自身の孫というたった2人だけである。

 どうだろう、いったん貧乏になった家は家系が絶えるというような窮状さえ覗ける日本だと言えないか。それも子の世代から数えてたった2代目でどんどん絶えていくというような。こんな現状を垣間見ていたからこそ、上記エントリーを僕はこういう文言で書き始めたのだった。
『団塊以降世代から初老期に入られた方々に言いたい。子どもらが結婚できず、子も作れないような日本、世界を遺して、安んじて死んで行けるのかと。そんな事をひしひしと感じていた僕はそういう資料を望んで久しかったのだが、とうとうこれを教えてくれる本に出会った』

 何度でも言うが、この間にも日本、世界の生産力一般は飛躍的に伸びていたのである。その成果がほとんど回って行かない人々が増えている。それでますます酷い消費不況に陥り、職がない人々、不安定労働者増という悪循環。
 これは、世界的なグローバリゼーション社会の「供給サイド経済学」という仕組みの野放しから来ていること。これの反対がケインズのような「需要サイド経済学」だとは、マクロ経済学原論では誰でも知っている話である。
 
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