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慰安婦問題についての一私見   へそ曲がり

2007年04月05日 12時17分36秒 | Weblog
 長い間ご無沙汰しています。「進行性胃癌」と宣告され、手術を受けてからおよそ5ヶ月半、退院(1月3日)してちょうど3カ月過ぎたところです。
 週に3回通院して「丸山ワクチン」の接種を受けていますが、この間2回「CT検査」・「胸部レントゲン検査」・「血液検査」それに1回の「胃カメラ検査」などを受けましたが、“きれいなものですよ、どこにも転移していません”と言われ、喜んでいます。「糖尿病」についても、「膵臓」の半分を摘出されたにもかかわらず、“血糖値は一般の人と全く変わりません。インシュリンの服用も必要ないですね”と言われました。
 ただ、「ダンピング症状」(インターネットで「ダンピング症候群」と打ち込んで検索すると詳しく出て来ます)がひどく、おまけに3月末に風邪をひいて39度の熱を出してしまい、体力の回復がなかなか出来ません。「胃」がなくなってしまったのですからこれも仕方ないというところでしょうか。 

 さて、4月1日の「落石」さんの投稿、「今、なぜ従軍慰安婦なの?」に対するコメントを読んでいて、ついつい意見を述べたくなりました。同じ日にコメントとして出せばよかったのですが、なにしろ半年で体重が15キロ近くも減ってしまっているため、なかなか文章を作ることが出来ません。遅くなってしまいましたが、「投稿」という形で寄稿させていただきます。ピント外れになるかも知れませんが、お許し下さい。

 「敗戦」と同時に膨大な証拠を処分(日本の降伏から占領軍到着までの2週間に「東京の空が煙で暗くなるほど多くの文書が焼却された」と言われる)し、あるいは隠匿したため、なかなか証拠が見つからない。それをいいことに“なかった、なかった”と喚き立てる人々や事実を歪めて主張する人たちがいます。「従軍慰安婦」の問題もそのひとつです。日本の政府もそうでした。
 ところが、日本軍がアジア全域で慰安所を設立し運営していたという公的文書が、1990年代の初めになんと防衛庁の図書館から発見されているのです。
 発見者は当時の中央大学の吉見義明教授です。陸軍省兵務局兵務課起案「軍慰安所従業婦等募集に関する件」(1938・3・4)などの通牒、これには帝国陸軍高級将校の印鑑まで押印されているのです。これをきっかけにいわゆる「公的文書」が続々と発見されています。これらの資料は次の文献で見ることが出来ます。
   吉見義明 編集・解説 「従軍慰安婦資料集」 大月書店  ¥6,500
※ 上記の「起案」も「資料集」のP105~107に全文が紹介されています。
  
 このことがあって、当時の日本政府も否定できなくなり、1993年の「河野談話」に至ったわけです。

 にもかかわらず、なおも否定する意見が絶えないため、教授らは1997年に別の著書を出版されています。
   吉見義明・川田文子編著 『「従軍慰安婦」をめぐる30のウソと真実 』 大月書店  ¥900

 “30のウソ”とはどんなものか、じつはわたしがまだ元気な頃、ある方との論争のために用意した原稿ですが、入院したために投稿出来なくなり眠ったままになっているものがあります。
 上記の本の目次になりますが、それをここに掲載します。

1 日本軍と慰安所

(1)“従軍”ということばは、軍属という身分を示すものだ。だから“従軍慰安婦”という用語を教科書にのせるのは、まちがいである。
(2) 軍と慰安所の関係は、たとえていえば、文部科学省とその庁舎内にある食堂と同じだ。だから、慰安所の運営に批判されるようなことがあったとしても、その責任は軍にはない。
(3) いまだってソープランドひとつ作る許可を得るにも警察や保健所など公共機関は関与している。慰安所だって軍が関与しているのは当然である。
(4) 軍がかかわっていたといっても、慰安所を直接経営していたのは、軍ではない。軍の関与はすべて“よい関与”であって、なんの責任もない。
(5) 慰安婦集めや、慰安所経営にかかわった業者の多くは朝鮮人だった。責任を問うなら朝鮮人業者を追及したらどうか。

2 「慰安婦」の徴募

(6) 軍や警察は、業者があちこちで違法な慰安婦集めをしないように、指導していた。その証拠が、1938年4月の陸軍省副官通牒・同年2月23日の内務省警保局長通牒である。
(7) 強制連行によって慰安婦を集めたケースはない。
(8) 吉田清治さんの本での告白が強制連行の証拠とされてきたが、現地でのその後の調査で、この告白はウソだと証明された。
(9) 日本人慰安婦のなかには、もともと日本国内で売春婦(芸妓・娼妓・酌婦など)だったものが多いという。朝鮮人・中国人など、他国・他地域から集められた慰安婦もそれと同じである。
(10) 慰安婦が10万人もいたというけれど、そんなに多くなかった。だから名乗りでている人数も少ない。 

3 慰安所の実務

(11) 日本軍兵士と慰安婦の関係は、当時の売春婦と客の関係に似たようなもので、加害とか被害とかいうほど悪いものではなかった。
(12) 慰安婦にはかなり自由があった。休みの日には買い物にもでかけたりもできたのだから、それほど悲惨な目にあったわけではない。
(13) 慰安婦は個室のある大きな家に住んでおり、前線にしては優雅とも見える生活に満足していた。
(14) 太平洋戦争で生じた200万人に近い戦死者の約7割が広義の“餓死”だったとされる。慰安婦より悲惨だったのが、激戦場の下級兵士だった。

4 戦争と性暴力

(15) 慰安婦を持っていたのは、日本軍だけではない。どこの軍隊にも慰安所と同じようなものがあった。 
(16) アメリカ軍も占領軍のための慰安所設置を日本政府に命令した。
(17) 慰安所のおかげで、戦地にいる兵士のすさんだ気持ちはやわらげられた。だから、こういう施設はどうしても必要だった。
(18) 軍隊にレイプはつきものだ。それを防ぐために慰安所は役にたった。

5 軍慰安所と公娼制度

(19) 当時の日本では、法律で公娼制度が認められていたのだから、慰安婦も公娼(娼妓)とおなじだ。
(20) 慰安婦は通常の商行為をしていただけだ。しかも、ふつうの兵士の100倍の収入があった。

6 歴史教育と「慰安婦」問題 

(21) 97年度から採用された中学校の7つの教科書が“慰安婦が強制連行された”と書いているのは、事実に反する。
(22) 中学生に慰安婦を教えるのは早すぎる。
(23) こんな問題を子どもに教えようとするのは自虐的な考えで、日本人としての誇りを失わせることになる。

7 「慰安婦」問題と過去の克服

(24) 被害を受けたという人たちの証言にはまちがいもあって、信用できない。保証金ほしさの自称“慰安婦”もいる。
(25) いわれるような被害を受けていたとしたら、どうして戦争の終わったあとすぐ訴え出なかったのか。
(26) 男女同権などといういまの価値観からすれば悪いことだとしても、その時代にはその時代としての価値観があったのだから、いまさら批判しても仕方がない。
(27) たしかにほめることではないかもしれないが、ご先祖の恥をさらすことはないだろう。
(28) 日本は国際法に反することはしていない。していたとしても、国家だけに責任を負わせるのは酷である。そもそも、60年以上も前のことなのだから、すでに時効が成立しているのではないか。
(29) 第二次大戦後の各国との条約で、戦争中の被害への保障については処理ずみだ。
(30) 自分とは関係のないことで、いつもアジアから謝罪を要求されてムカつく。

 こんなにも多彩?です。反論するのも大変です。ただここでは、「慰安婦」の「存在を否定するもの」はひとつもありません。

 最後になりますが、コメントを寄せられた「Unknown」さんがご推奨の「小林よしのり」氏の見解については、上記の著書の中できっぱり批判されています。「資料集」とともに今でも入手出来ますので、ぜひご覧下さい。 
 
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7 コメント

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「へそ曲がりさん」復帰、大感激!! (ブログ管理人)
2007-04-05 14:37:39
 今回の投稿に感激しております。
 医学の進歩は信じており、必ず復帰、再登場していただけるとおもっておりましたが、術後六ヶ月未満の投稿を拝見し感激しております。

 そして、今回は従軍慰安婦をめぐる論点を本の紹介の形で提起していただき、我々の議論を深める事が出来そうです。
 有り難うございました。

 転移や糖尿の心配が検査結果でクリアーされたとのこと、安心しました。ただ胃切除によるダンピングが大変とのこと、一日も早く安定した状態に戻られる事を願っております。

 「へそ曲がりさん」の復活投稿については管理者ばかりでなく、当ブログに関わる投稿者や読者の皆さん
の喜びでもあります。

 今後も十分に体力回復に専念していただきたいと思います。
 投稿などにつきましては、くれぐれも無理をされることの無い様、気分・体調の良い時にキイをたたいてください。

 何よりの復帰をお祝い歓迎してご挨拶を申し上げました。

  
 
返信する
お帰りなさい。 (平 和平)
2007-04-05 15:35:40
 お久しぶりです。ブルグへの復帰早々に長文のご意見! 凄いの一言です。              実は、私も以前急性膵炎を患い、すい臓の三分の一が壊れています。その時、生死の境を三度ほど経験しましたが、六ヶ月ほど入院したことがあります。15年も前の話です。                  その病気を契機に酒を止め(いまは金曜日の夜とお祝い事の時すこしは飲む)、残りの人生を社会をよくする活動に捧げる事を決意し、不登校の子どもたちの相談や生活支援活動を重ねています。
 へそ曲がりさんは、すい臓の半分を摘出されたそうですから「糖尿病」やはりは心配です。       私の場合もすい臓が破壊されましたが、「糖尿病」の発症は術後10年経ってからです。いまはインシュリンを朝晩打っています。脅かすつもりはありませんが、残ったすい臓の頑張りがどこまで続くか・・・・がポイントのような気がします。食事療法に十分気をつけてください。
 貴兄には余分なことを言ったかもしれませんが、私やすい臓を患った他の患者の経験からあえてコメントさせていただきました。
 身体に留意され、ご活躍されるのを祈っています。          
返信する
お久しぶりです。 (落石)
2007-04-05 17:58:19
お元気な投稿を読んで、安心するとともに
よく頑張ってこられたと感激しました。
(今、頑張るは禁句らしいですが。)

肉のような美味しいものは、体がNOと言っているかもしれませんね。
私もすい臓で美味しいものは全くダメです。
今は、食べられるものを、ゆっくりと味わう術を
身につけてきました。
数年かかりました。
ゆっくりがキーワードみたいです。
ゆっくり療養して下さい。
返信する
ほんとに良かった! (文科系)
2007-04-05 22:29:48
へそ曲がりさん、ダンピングはともかくとして、転移その他も心配なくて、ほんとに良かった!好きな物を見つけつつ膵臓に負担がかからないようにするのは大変なことと思いますが、とにかく食事のご努力をと、祈っています。

今回も、大切な投稿でしたね。ぼつぼつと、よろしく。
返信する
おひさしぶりです (キャッチホン)
2007-04-06 07:30:45
復帰、おめでとうございます
従軍慰安婦のこと、とても参考になりました
この世にあっての精神力には励まされています
とはいえ、ご無理はなさらないように願います
返信する
慰安婦問題なにが問題なのか。  (タカマサの気まぐれ時評より)
2007-04-06 21:21:58
広義の狭義のと、安倍がこの問題についてロクに知らないのがよくわかる。手元に資料がないので大雑把になるが、従軍慰安婦問題の何が問題なのか、簡単に整理してみる。

 第一に、軍の行く先々に慰安所を開設することは日本軍が立案して業者を手配している、つまり、日本軍が完全にイニシアティブをとっているという点がある。日本軍にとって慰安婦は軍需物資であり、慰安所は兵站の一部だった。業者が軍の需要を見込んで慰安所開設を持ちかけた、という形のものではない。

 第二に、業者が慰安婦を徴用する際に、「兵隊の食事の煮炊きなどのお手伝いの仕事がある」などの嘘による勧誘、前借金や暴力的威圧などによる強要といった手段が多く用いられた点がある。多くの証言から、兵隊や官憲が直接行ったというケース(狭義の強制)は報告されておらず、軍の依頼を受けた業者が行った(広義の強制)のが一般的だった、ということになっている。ただ、いずれにせよ慰安婦たちの多くが意に反して集められたという点、意に反して集められた慰安婦の移動(輸送)等々に軍が便宜を払っており、てゆーか元々完全に軍の発案で進められていたことだからこうした徴用の実態を「知りませんでした」で通るわけもなく、日本軍・日本政府の責任は当然あったと考えられる。

 第三に、こうした意に反して連れてこられた多くの慰安婦たちが、その自発的意思に基づいて故郷に返される、ということもなく、しばしば長期に渡って奴隷的監禁状態に置かれたということ。慰安所の設営や管理の多くの面で軍が関与しており(慰安婦が逃げ出さないように警備するといったことも含む)、日本軍・日本政府の責任も当然あった。

 以上のことは、たとえば発見されている資料であるとか、元慰安婦や元日本兵たちの証言とも整合的であり、歴史学的には当面決着がついている。絶対覆らないとは言わないが、そのためには画期的な新史料の発見が必要。まぁ、ちょっとあり得ないけど。と同時に、政治的にも一応、決着がついた問題である。河野談話は、以上の内容をすべて認めているのだから。これをひっくり返すというのであれば、つまりは一国の外交上の公式見解として発表したものをひっくり返すのであれば、それ相応の新史料が持ち出されるのでなければならないが、もちろん、そんなものは存在しない。

 安倍がうわ言のように「狭義の強制はなかった」と繰り返しているのは、第二の論点に関わるもの。当初、吉田清治という人物が「自分が慰安婦狩りをやった」(=狭義の強制があった)と証言したが、後に秦郁彦が調査して嘘だったことが判明したという一件がある。ただし、この論点は、第二の論点=徴用に関わる論点の、そのまた一部でしかない。「徴用において日本軍・日本政府の責任はあったか」という問いならば、文句なしに「あった」となる。ただ、その徴用の仕方に違いがある、という、さらに派生的な話。繰り返しになるけれども、全体として日本軍・日本政府の関与と責任が否定できないという点において、日本の一部の歴史修正主義者以外は一致している。・・・その歴史修正主義者が政権トップとそのブレーンにうじゃうじゃいる、というのが末期的な状況なわけだけど。頼むから、これ以上「国益」を損なわないうちに退陣してほしい。
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Unknown (すすきの ソープ)
2007-05-30 16:17:08
すすきののソープ情報を掲載中です。
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