◆ 映画「母(かあ)べえ」の新春公開に期待する。◆
戦争に突き進む時代を背景に、国民弾圧の治安維持法下の庶民を描いた映画「母(かあ)べえ」が完成し、1月26日から公開されます。
主役の「母べえ」こと野上佳代を演じるのは、34年ぶりに山田洋次監督の作品に帰ってきた吉永小百合さん。山田監督は、吉永さんがいなければ作れなかった作品だといいます。
◆原作◆
原作は、黒澤 明監督作品のスクリプター(制作現場の記録係)を務めた野上照代さんの自伝的小説『父へのレクイエム』。
野上さんは「映画を見て、父を尊敬しました。多くの人にあの時代を感じてほしい」と語っています。
◆あらすじ◆
物語の舞台となる野上家は、互いを「父(とう)べえ」「母べえ」「初べえ」「照べえ」と愛称で呼び合うむつまじい家族。
1940年、治安維持法違反で父べえが連行され、一家の団らんは突然に奪われます。父べえは平和を願うドイツ文学者。
特高警察に縄をかけられた姿に、娘たちはショックを受けますが、母べえは、父べえの正しさを言って聞かせます。
警察官である実父からは、夫に変節を薦める言われますが彼は間違っていないと突っぱね、親子は絶縁。
母べえは、戦争反対の信念を曲げず拘置所で踏ん張る夫を尊敬し、周囲の圧力に抵抗します。
◆あの時代に戻らないように◆
11日に開かれた完成記者会見では、吉永さんの実人生と母べえの生き方は、重なる部分があるのでは?との質問がでました。
被爆二世を描いたテレビドラマ「夢千代日記」(1981年)への出演をきっかけに、吉永さんが原爆詩の朗読をライフワークにしてきたことは有名な話。平和を訴え続け、20年になります。
「自分の意見をきちんと言って、それで投獄されてしまうなんて悲しい。父べえと母べえのような時代に二度とならないよう、祈りながら演じました」と吉永さんは言います。
◆「反戦平和」がなぜ罪に・・・庶民の本音を温かく描く◆
天皇は神様で、「臣民」には人権など無かった時代。しかし、土足で踏み込んできた特高を除き、野上家に出入りする人々に、「お国のため」との意識は希薄です。
父べえ(坂東三津五郎)の妹・久子(壇れい)と、叔父・仙吉(笑福亭鶴瓶)。「華美な服装は慎みましょう。指輪は全廃しましょう」と訴える贅沢品撲滅運動に、「女性ががきれいになろうとしてなぜいけないんですか?」「指輪はわしの財産や!」と、堂々意見します。
父べえの教え子で母べえと娘たちに慕われる心やさしい青年・山ちゃん(浅野忠信)。警察に呼び止められ「護国の鬼となって散華する覚悟です」と「正論」を開陳したあと、こっそり「よく言うよ」。
平和な暮らしをそっと望んだ庶民の本音を、山田監督ならではの温かいユーモアで描きます。しかし、戦況が厳しさを増し、一人ひとりと、戦争の犠牲になってゆきます。
◆想像力磨き◆
体が弱く徴兵を免れていた山ちゃんの元にもついに届いてしまった赤紙。もう会えないの?と問う母べえに「戦地に行くのだから、(死ぬ)覚悟はできています」「何が覚悟よ、偉そうに。なんで山ちゃんが、そんな覚悟をしなくちゃいけないの」。監督がせりふを8回書き変えた見せ場です。吉永さんにとっても、最も印象に残るシーンになったといいます。
「今も戦争はなくならず、イラクやアフガンで毎日死者が出ていますね。その人たちの人生や生活について、みんなが想像力を磨いて思いをはせれば、戦争はなくなるのではないか。そんなふうに考えながら映画を作りました」と山田監督。
反戦平和、主権在民を唱えることが罪となった治安維持法をとらえた注目作です。
◆治安維持法◆
国体の変革、私有財産制の否認を目的とした結社の組織、加入とその協議、宣伝、扇動、財政援助を禁じた結社禁止法。
1925年制定、28年に最高刑を10年から死刑に変更。
治安維持法によって数十万人の人々が弾圧されました。45年に廃止。
戦争に突き進む時代を背景に、国民弾圧の治安維持法下の庶民を描いた映画「母(かあ)べえ」が完成し、1月26日から公開されます。
主役の「母べえ」こと野上佳代を演じるのは、34年ぶりに山田洋次監督の作品に帰ってきた吉永小百合さん。山田監督は、吉永さんがいなければ作れなかった作品だといいます。
◆原作◆
原作は、黒澤 明監督作品のスクリプター(制作現場の記録係)を務めた野上照代さんの自伝的小説『父へのレクイエム』。
野上さんは「映画を見て、父を尊敬しました。多くの人にあの時代を感じてほしい」と語っています。
◆あらすじ◆
物語の舞台となる野上家は、互いを「父(とう)べえ」「母べえ」「初べえ」「照べえ」と愛称で呼び合うむつまじい家族。
1940年、治安維持法違反で父べえが連行され、一家の団らんは突然に奪われます。父べえは平和を願うドイツ文学者。
特高警察に縄をかけられた姿に、娘たちはショックを受けますが、母べえは、父べえの正しさを言って聞かせます。
警察官である実父からは、夫に変節を薦める言われますが彼は間違っていないと突っぱね、親子は絶縁。
母べえは、戦争反対の信念を曲げず拘置所で踏ん張る夫を尊敬し、周囲の圧力に抵抗します。
◆あの時代に戻らないように◆
11日に開かれた完成記者会見では、吉永さんの実人生と母べえの生き方は、重なる部分があるのでは?との質問がでました。
被爆二世を描いたテレビドラマ「夢千代日記」(1981年)への出演をきっかけに、吉永さんが原爆詩の朗読をライフワークにしてきたことは有名な話。平和を訴え続け、20年になります。
「自分の意見をきちんと言って、それで投獄されてしまうなんて悲しい。父べえと母べえのような時代に二度とならないよう、祈りながら演じました」と吉永さんは言います。
◆「反戦平和」がなぜ罪に・・・庶民の本音を温かく描く◆
天皇は神様で、「臣民」には人権など無かった時代。しかし、土足で踏み込んできた特高を除き、野上家に出入りする人々に、「お国のため」との意識は希薄です。
父べえ(坂東三津五郎)の妹・久子(壇れい)と、叔父・仙吉(笑福亭鶴瓶)。「華美な服装は慎みましょう。指輪は全廃しましょう」と訴える贅沢品撲滅運動に、「女性ががきれいになろうとしてなぜいけないんですか?」「指輪はわしの財産や!」と、堂々意見します。
父べえの教え子で母べえと娘たちに慕われる心やさしい青年・山ちゃん(浅野忠信)。警察に呼び止められ「護国の鬼となって散華する覚悟です」と「正論」を開陳したあと、こっそり「よく言うよ」。
平和な暮らしをそっと望んだ庶民の本音を、山田監督ならではの温かいユーモアで描きます。しかし、戦況が厳しさを増し、一人ひとりと、戦争の犠牲になってゆきます。
◆想像力磨き◆
体が弱く徴兵を免れていた山ちゃんの元にもついに届いてしまった赤紙。もう会えないの?と問う母べえに「戦地に行くのだから、(死ぬ)覚悟はできています」「何が覚悟よ、偉そうに。なんで山ちゃんが、そんな覚悟をしなくちゃいけないの」。監督がせりふを8回書き変えた見せ場です。吉永さんにとっても、最も印象に残るシーンになったといいます。
「今も戦争はなくならず、イラクやアフガンで毎日死者が出ていますね。その人たちの人生や生活について、みんなが想像力を磨いて思いをはせれば、戦争はなくなるのではないか。そんなふうに考えながら映画を作りました」と山田監督。
反戦平和、主権在民を唱えることが罪となった治安維持法をとらえた注目作です。
◆治安維持法◆
国体の変革、私有財産制の否認を目的とした結社の組織、加入とその協議、宣伝、扇動、財政援助を禁じた結社禁止法。
1925年制定、28年に最高刑を10年から死刑に変更。
治安維持法によって数十万人の人々が弾圧されました。45年に廃止。
治安維持法で死刑された人はいません。日本はドイツと違うのです。数十万人、99万人ですか、何処の牢獄に入れたのでしょう。
山田監督も、フウテンのトラだけで終わった人です。