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東條英機首相への熱狂ぶりとその源泉   文科系

2020年10月06日 10時59分41秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など

 こんな時代がこの日本にどうして生まれたのか。そういう実例を一つ。この時代、男性だけだが普通選挙制度もあったのだけれど。人間社会って、最近でもヒトラーも、プーチン独裁・恐怖政治も産んできたのです。選挙制度があってもこうなることがあるって、どうしてなのだろう? 社会の様々な要素がそのように悪循環していく時代というものがあるということでしょう。それにしても、当時の東條英機首相へのこの国民の熱狂ぶりって、どのように説明できるのだろう。ヒトラーへの熱狂も含めて、後の時代から観ればまるで集団狂気です。21世紀になっても同じ事がありました。イラク戦争直前の米国、マスコミと国民こぞって開戦へと一丸となって世論を盛り上げ、進んでいた。

 

【 東條英機首相への熱狂ぶりとその源泉  2010年11月24日

 
 はじめに
 本日ネット虫さんが興味深い記事を載せて下さった。41年12月8日、この日を当時の子どもがどう覚えていたか。これを一気に読んで、すぐに表記の記事を書こうと、僕は思い立った。当時の子どもたちの心にさえ深く刻み込まれた「戦争への感動」、その象徴的存在であった東条首相への熱狂ぶりについて書いてみようと。僕の同人誌にも軍国少年、軍国少女がお一人ずついらっしゃる。お二人とも、その後の人生はなかなか優秀だったろうとお見受け出来る方々である。今は多分、その正反対の人生観をお持ちのはずだが。
 東条英機は、A級戦犯の象徴的存在。41年12月8日開戦時の首相にして内相であって、陸軍大臣までを兼務した、現役の陸軍大将である。また、陸軍参謀総長も兼任していたから、大元帥・天皇の大本営の幕僚長でもあった。彼の前歴には、関東憲兵隊司令官というものもあった。満州国の治安の要に位置する機関であって、35年9月から37年2月のことである。娑婆、「地方」(軍隊は軍隊の外の世界をこう呼んだのでした)、世相にも、よく通じているのである。
 彼は、天皇の信任は篤く、水戸黄門まがいの「民衆査察」を行い、ラジオ、新聞を上手く使って民心を躍らせ、掌握した。ヒットラーにも劣らないその掌握術を、ご紹介したい。種本は例によって、岩波近現代史シリーズ10巻本の第6巻「アジア・太平洋戦争」。この巻の著者は吉田裕・一橋大学大学院社会学研究科教授である。【 】がほとんどであるが、ここからの抜粋を示している。 

1 人々の東条支持熱
 その人気は、一時の小泉旋風などという次元のものではない。戦争の英雄たちの、そのまた大元締、空前絶後の国民的大英雄なのである。そういう大英雄が、マスコミによって実に身近な存在に描かれるところがまた、お見事というほかはないのである。
 【 東条首相は、各地で国民に熱烈に歓迎された。42年7月27日、大阪の中央公会堂で開催された「大東亜戦争完遂国民総力結集大講演会」の折には、講演を終えて退場する東条首相を熱狂した群衆がとりかこんだ。28日付の『朝日新開』は、その場の状況を、「熱狂した数千の聴衆は帽子、扇子を打ち振り打ち振り、〃万歳々々″と歓声をあげ、(中略)あつといふ間に東条さんを取り囲む。「しつかりやります、やりますとも」「米英撃滅だ、東条閣下お願ひします」「東条首相万歳」と群がる市民は熱狂して全く感激のるつぼだ」と報じている。これが誇張でないことは、同日の首相秘書官の記録に、「公会堂発」、「総理自動車会衆の圧倒的歓迎に取り囲まれ約十分、会衆の中を徐行す」とあることからもわかる(伊藤隆ほか編『東条内閣総理大臣機密秘録』東京大学出版社1990年)。
 さらに、東条に関するすぐれた評伝をまとめた作家の保阪正康も、この頃の東条について、「東京・四谷のある地区では、東条が毎朝、馬に乗って散歩するのが知れわたり、その姿を一目見ようと路地の間で待つ人がいた。東条の乗馬姿を見ると、その日は僥倖に恵まれるという〈神話〉が生まれた」と書いている。東条は、一般の国民にとって、「救国の英雄」だった(保阪『東条英機と天皇の時代(下)』) 】

 当時、東条報道を新聞がどう行ったかもなかなか興味深い。【例えば、42年8月18日付の『読売報知』は】として、こんなことが抜き出されていた。
【 「忙中忙を求める東条さん」、「割引市電で街の視察 鋭い観察力と推理力の種は正確なメモ 拾った民情必ず”決済”」という見出しの記事を掲載し、「キビキビした政務の処理、そして電撃的な民情視察・・・国民は曾てこれほど”首相”を身近に感じたことはなかった。・・・とにかく、そこに新しい一つの”指導者の形”が打ち出されているのは確かだ」と論じている 】

2 民心操縦術
【 総力戦の時代は、多数の国民の積極的な戦争協力を必要不可欠なものとする。そうした時代にあっては、力強い言葉と行動で、直接国民に訴えかけるタイプの指導者が求められる。東条は、そのことをよく理解していた。43年9月23日、東条は側近に次のように語っている(伊藤隆ほか編『東条内閣総理大臣機密秘録』東京大学出版社1990年)
  国民の大多数は灰色である。一部少数の者が批判的言動を弄するものである。そこで国民を率いてゆく者としては、此の大多数の国民をしっかり摑んでぐんぐん引きずつてゆくことが大切である。大多数の灰色は指導者が白と云へば又右と云へばその通りに付いてくる。自然に白になる様に放つておけば百年河清を待つものである。
 東条の芝居がかったパフォーマンス、特にたびかさなる民情視察は、識者の反発と顰蹙をかった。特に、東条が住宅街のゴミ箱をチェックしてまだ食べられるものや再生可能なものが捨ててあると非難したことは多くの国民の失笑をかった。首相として他にやるべきことはないのかという批判である 】

3 政治的力の源泉、宮中工作など
 マスコミ総動員で作ったこういった東条の「表の顔」の他に、政治家としての裏の顔があるのもまた当然。
 【 政治資金の面でも、東条首相は有利な立場にあった。陸相として陸軍省の機密費を自由に使うことができたからである。この点については、いくつかの証言がある。例えば、元陸軍省軍務局軍事課予算班長の加登川幸太郎は、「何に使ったかわからんけど、東条さんが総理大臣になった時、(中略)三百万円という機密費三口を内閣書記官長に渡せ、と来るんだね。(中略)あの頃二百万円あったら飛行機の工場が一つ建ったんだから」と回想している(若松会編『陸軍経理部よもやま話』)。 (文科系による中略)
 なお、臨時軍事費中の機密費の支出済額をみてみると、42年段階で、陸軍省=4655万円、海軍省=2560万円、44年段階で、陸軍省=1億2549万円、海軍省=1865万円であり、陸軍省が機密費を潤沢に使用していたことがわかる。
 東条首相の政治資金の潤沢さについては、44年10月15日に、反東条運動の中心となっていた政党政治家の鳩山一郎が、近衛文麿と吉田茂(戦後の首相)との会談の中で語っている内容が参考になる。同席していた細川護貞は、その内容を次のように記録している(『細川日記』)。
  一体に宮内省奥向に東条礼賛者あるは、附け届けが極めて巧妙なりし為なりとの話〔鳩山より〕出で、例えば秩父、高松両殿下に自動車を秘かに献上し、枢密顧問官には会毎に食物、衣服等の御土産あり、中に各顧問官それぞれのイニシアル入りの万年筆等も交りありたりと。又牧野〔伸顕元内大臣〕の所には、常に今も尚贈り物ある由。
 この後、鳩山は、「東条の持てる金は16億円なり」と語り、近衛は東条の資金源は、中国でのアヘンの密売からあがる収益だと指摘している。アヘン密売との関係については確証がないが、46年7月の国際検察局による尋問の中で、近衛の側近の富田健治が、東条はアヘン売買の収益金10億円を鈴木貞一陸軍中将(興亜院政務部長)から受けとったという噂があると指摘している。興亜院は、アヘンの生産と流通に深くかかわった官庁である。皇族への「附け届け」については、史料的に確認することができる。42年12月月30日付の「東久邇宮稔彦日記」に、「この度、陸軍大臣より各皇族に自動車をさし上げる事となれり」とあり、この日、東久邇宮のところには、陸軍省関係者から、アメリカ製の自動車が届けられているからである 】

 


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異論を封殺すると・・ (文科系)
2020-10-06 13:41:25
 マスコミの世論作りというものに、こういう側面があると、つまり時の政治と相乗作用でこういう雰囲気に国を持って行ってしまう時代というものがあることを、覚えておきたい。たとえば、「嘘の理由を盛り上げて起こったイラク戦争開戦に、国民までがなぜ熱狂したか?」

 国が異論を封殺し始めると、こういう時代への一里塚と覚えている。政治が、学問に誠実な人間の一部を社会の表面から除き始めるのは、そういう学者らの考え方を押さえ込む方向への大きな社会誘導なのだから。
 そして、一端これをやり始めると、学会での出世主義も絡んでなかなか後戻りが出来なくなって、曲がった政治と、政治論・世論との悪循環が始まる。全体主義国家は必ずそのようにして出来たものだ。

 全体主義国家というものこそ、異論を排除した「全体」を美とか正義とか見せるものなのだから。
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これをお読みの方へ (文科系)
2020-10-06 21:14:38
 このエントリーをお読みの方、是非昨日の「学術会議6名却下」をお読み下さい。人類世界史の中で全体主義の歴史を学び、覚えている者には、これがいかに大変なことかが分かるのです。今の為政者達が、「民主主義を破壊する全体主義国家はどうして出来るのか」を全く分かっていない証拠でもある。但し今の彼らは「選挙に勝ちたいだけ。そのために異論をちょっと抑えるだけ」という程度の発想なのかも知れません。だから余計に怖いとも言えます。
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但し、日本会議は・・・ (文科系)
2020-10-06 21:22:27
 上のコメントへのただし書きです。但し、日本会議会員の方々は、明らかに意識してある全体主義日本国家を目指しています。「天皇を象徴という政治機関としか観ない人々」には、「日本国民とは言えぬ」というほどに対処しようとしていこうというのが明らかなのですから。
 そういう自覚さえ今はまだない全体主義というものは、本当に怖いものです。民主主義の敵と言えるはずです。ある国民達をどうしても排除するようになる論理ですから。
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異論の封殺とは税金の投入なのです。 (シン)
2020-10-06 23:03:17
映画でも漫画でも小説でも音楽でも、
自由競争の世界です。

しかし、そこに、税金を投入し、大々的に宣伝を
行えば、どうなるか?

税金を投入され、大々的に宣伝してもらう方が
圧倒的に有利になります。

さらに、ナチス政権の味方をすれば、
莫大な制作費が手に入る。
あるいは、
最高級の楽器がもらえる。

このように、全てを
つまり、
映画でも漫画でも小説でも音楽でも、
ナチス一色にする。
これが、異論の封殺なんです。

ですから、河村市長は、公金の支出をしてはいけない、
とっいているのです。

残念ながら、明白な事実であるこれらの事に
目をつぶり、河村市長を悪く言うとは、
嘆かわしい限りです。
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日本とは天皇を中心にまとまるということなのです (シン)
2020-10-06 23:17:23
天皇を否定する人は公務員になれない。 〇
天皇を否定する人は日本人ではない。  ×

なんどいっても、分かりませんねー。

さらに言えば、政治家も公務員ですが、政治家は
自由に皇室を否定できます。

公務員であっても、職務時間でなければ、
つまり、プライベートな時間であれば、
自由に皇室を否定できます。


国旗も国歌も天皇を意味しています。

つまり、国旗も国歌も団結のためのシンボルです。
国旗も国歌も団結のための象徴です。

つまり、日本は天皇を中心にまとまる、という事です。

とはいえ、それは、式典を神道式で行うという事であって、
さらに、公務員でなければ、そもそも式典に参加する義務はありません。

もしも、公務員になりたいのであれば、神道式の儀式に参加する義務を負いますが、
もちろん、職務中の間だけです。

繰り返しになりますが、
天皇を否定する人は公務員になれない。 〇
天皇を否定する人は日本人ではない。  ×


返信する
この意味を問う (文科系)
2020-10-07 00:47:48
 貴方の言い分の最も肝心なところが意味不明である。この二つの意味を問う。
 一つは、「税金を投入し、大々的に宣伝を
行」う「異論の封殺」には、次のことなどは入らぬのか。教育勅語を暗唱させる幼稚園に大金を投入したり、それで罪を問われた官僚の栄転。「やらせの公聴会」の大々的開催。桜を観る会のインチキ招待。それらにくらべたら、ある芸術展への補助などあって当然だと言える。その上で、あれがなぜいけないのか。

 次いで「天皇を否定する人」とは、なんぞや。この場合の「否定」の意味を問う。こんないい加減な定義もない言葉でなにかものが言えたと考えている思考が、僕には恐ろしくいい加減なものに思えるから、このことに限定して応えが欲しい。いつものように長々しい不明確な言葉の羅列ではなく。

 論が厳密という意味で学問的とは、言葉、定義を厳密、正確に使うことに他ならない。これらの問にはダラダラした返事などは不要なはず、先ず数行ずつで済むだろう。
 貴方と話したくないのは、だらだら、だらだらと話が流れていくからだ。今回もそうなったら、また無視するだけだと警告しておく。
返信する
解答しますよ(^0^) (シン)
2020-10-07 02:07:46
8億円の土地の所有権は国に戻っています。
佐川官僚は無罪なのだから、栄転しても問題はありません。
で、真相は、自殺をした職員が森友さんからお金を貰って、値引きした、だから自殺したし、遺書にも何の新事実もなかった。
忖度などなかった。自殺した職員の私的な犯罪です。

山口県から東京までの往復の交通費は、数万円に及びます。
桜を見るだけでは特典とはいえませんし、
遠路はるばる来たお客様へのおもてなしとしては、料理はむしろ質素でありました。
そもそも、様々な式典やお祭りなどでも無料で飲み物や料理が振る舞われる事はあります。

本来、総理大臣と国民がふれあう機会を持つことは、何の問題もなく、総理の熱烈なファンが会えるようにしてあげるべきです。

上級国民と下級国民に分けようとする民主党が、桜を見る会を問題視しているのです。

下級国民が総理にあうなどけしからん、というのが、真相です。
このような政党が野党第一党なのですから、嘆かわしい限りです。


ついでに言うと創価大学にもミッションスクールにも、さらに、中国の学校にまで補助金は払われています。
北朝鮮の学校だけが補助金をもらえません。拉致問題の解決のためです。

愛知トリエンナーレは、ヒトラーそのものですから、補助金を出すべきではありません。



天皇の否定には十を超える具体例があります。
徹底的に探せば、百を超えるかも知れませんが、
ニ例を挙げれば、
皇室にタメ口を聞く、
皇室に向けて唾を吐く、などなどがあげられますが、繰り返しになりますが、公務員でなければ、何の処分も受けません。

公務員で、職務中であれば、減俸か謹慎処分、あるいは、その両方になるそうです。

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法的根拠や出典と、判例・前例 (文科系)
2020-10-07 14:15:01
 標記がない、「・・・・だそうです」では、根本的に回答になっていない。ただ無視は気の毒過ぎて、そういう答えだけは書いておく。
 以上。

 追伸。学術会議推薦却下問題でも、政府のやり方、回答は「国家行政職員一般法の適用」というだけであった。専門学者はこう反論している。
「ならば、なんのために特例法があるのか」
 特例法は、この国家公務員だけは特別の理由があるからそれを規定するというもののはずだ。この前の黒川検事問題や、さらに前の内閣法制局長官問題でも、今回と同じ同類の異例が行われた。安倍内閣になってからはこんなのばかりである。だからこそ、「内閣独裁開始・学会や官界の出世主義忖度堕落という悪循環」を僕は指摘してきたのである。

 というように、自分の言い分の「法的根拠や出典と、判例・前例」を君は示すべきだったのである。が、もう遅い。無視してよい、駄目な回答と言うだけだ。
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慣例は既得権益 (シン)
2020-10-09 23:42:26
慣例というのは、
つまりは、既得権益です。

自民党は既得権益と戦う、
つまり、慣例を廃止しているだけで、
法律にのっとっているのです。

慣例を破っても何の問題もありません。
法律にのっとって人事権を行使する、

菅内閣は、
当たり前の事を
当たり前に行っているのです。
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反論 (文科系)
2020-10-10 17:52:18
 人文科学、社会科学の日本最高級の学者の意見を無視するということは、さらに、そういう学者を社会の表面から消していくという権力者の言動は、既得権益とかのちっぽけなものではありません。政治が、根本的に大きな道を誤ったということです。このままで進んでいけば、後世多分、滝川事件とか天皇機関説事件とかと同じようなことを安倍政権がやるに至ったと、そういうことです。滝川幸辰事件とか、美濃部達吉事件とかを、シン君、君は知らないのでしょうね。社会科学、人文科学の学者は、そういうことをこそ研究しているのです。人類世界についての、数百年単位の真理の探究ですから。

 日本国家が、その民主主義、平和について、10年ほどの視野しかない判断誤りをしたと言うことです。
 
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