ピュリツァー賞(14.4.19 中日新聞 編集局デスク)
新聞人にとって、うれしく心強いニュースが飛び込んできました。米国家安全保障局によるプライバシー侵害の情報収集活動を暴露した米紙ワシントン・ポストと英紙ガーディアンが、報道界で最も権威あるピュリツァー賞を受賞したのです。
両紙は、米中央情報局のスノーデン元職員が持ち出した機密文書を基に、テロ対策と称して米国民だけでなく同盟国首脳の電話まで盗聴していた実態を明らかにしました。
国内の批判を受けたオバマ大統領は一月、情報収集活動の見直しを発表せざるを得なくなりました。報道をつぶそうとする圧力に屈しなかった両紙と、スパイ活動取締法違反容疑で訴追されロシア亡命を余儀なくされた元職員の“勝利”でした。
「社会が変わるべきかどうか社会が自ら決めるきっかけを提供する」ことを望んだ元職員の告発が、「プライバシーと安全保障をめぐる政府と市民の関係に議論を巻き起こした」(賞を主宰する米コロンビア大学)報道につながったのです。
国家はとかく公を優先して個を軽んじ「全体の利益のため」と称して秘密を増殖させたがります。「秘密保護法を恐れず、使命を果たせ」。今年のピュリツァー賞は、日本の新聞人をこう叱咤しているかのようです。(編集局次長・岡安大助)
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ピュリツァー賞はニューヨークワールド紙の発行者だったジョセフ・ピュリツァーの遺志によって遺産の一部がコロンビア大学に寄託されました。コロンビア大学ではこの基金を基にジャーナリズム部門の大学院を設けるとともに、優れた報道を顕彰するピュリツァー賞を創設しました。ピュリツァー賞は1917年以来、世界で最も権威あるジャーナリズムに対する賞となっています。
賞には公益、報道、社説、写真などの部門があり、今回2紙が受賞したのは公益部門です。
(4月5日中日新聞夕刊より)
米国家安全保障局の情報収集活動を告発した米中央情報局の元職員スノーデン氏は「(報道によって)よりよい未来と責任ある民主主義がもたらされた」と歓迎する声明を発表した。
スノーデン氏はこれらの報道機関の熱意や献身がなければ「私の努力も無駄になっていただろう」と指摘。当局からの圧力に屈せず報道を続けた「勇敢な記者とその同僚たち」を賞賛した。
ガーディアンのラスブリッジャー編集長も「われわれの報道を(当局が)つぶそうとする中で、ガーディアンを支えてくれた世界中の同僚たちに感謝する」とコメントした。
そうです、世界中のジャーナリストが報道を制限しようとした当局に抗議し、両紙を支援したのです。「編集局デスク」で岡安さんが指摘されたように、今、日本のジャーナリズムにも「秘密保護法を恐れず、政府が隠そうとするものに迫って真実を明らかにし、報道の使命を果たす」ことが求められています。
※ピューリッツァ賞と表記する場合もあります。
大西 五郎
新聞人にとって、うれしく心強いニュースが飛び込んできました。米国家安全保障局によるプライバシー侵害の情報収集活動を暴露した米紙ワシントン・ポストと英紙ガーディアンが、報道界で最も権威あるピュリツァー賞を受賞したのです。
両紙は、米中央情報局のスノーデン元職員が持ち出した機密文書を基に、テロ対策と称して米国民だけでなく同盟国首脳の電話まで盗聴していた実態を明らかにしました。
国内の批判を受けたオバマ大統領は一月、情報収集活動の見直しを発表せざるを得なくなりました。報道をつぶそうとする圧力に屈しなかった両紙と、スパイ活動取締法違反容疑で訴追されロシア亡命を余儀なくされた元職員の“勝利”でした。
「社会が変わるべきかどうか社会が自ら決めるきっかけを提供する」ことを望んだ元職員の告発が、「プライバシーと安全保障をめぐる政府と市民の関係に議論を巻き起こした」(賞を主宰する米コロンビア大学)報道につながったのです。
国家はとかく公を優先して個を軽んじ「全体の利益のため」と称して秘密を増殖させたがります。「秘密保護法を恐れず、使命を果たせ」。今年のピュリツァー賞は、日本の新聞人をこう叱咤しているかのようです。(編集局次長・岡安大助)
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ピュリツァー賞はニューヨークワールド紙の発行者だったジョセフ・ピュリツァーの遺志によって遺産の一部がコロンビア大学に寄託されました。コロンビア大学ではこの基金を基にジャーナリズム部門の大学院を設けるとともに、優れた報道を顕彰するピュリツァー賞を創設しました。ピュリツァー賞は1917年以来、世界で最も権威あるジャーナリズムに対する賞となっています。
賞には公益、報道、社説、写真などの部門があり、今回2紙が受賞したのは公益部門です。
(4月5日中日新聞夕刊より)
米国家安全保障局の情報収集活動を告発した米中央情報局の元職員スノーデン氏は「(報道によって)よりよい未来と責任ある民主主義がもたらされた」と歓迎する声明を発表した。
スノーデン氏はこれらの報道機関の熱意や献身がなければ「私の努力も無駄になっていただろう」と指摘。当局からの圧力に屈せず報道を続けた「勇敢な記者とその同僚たち」を賞賛した。
ガーディアンのラスブリッジャー編集長も「われわれの報道を(当局が)つぶそうとする中で、ガーディアンを支えてくれた世界中の同僚たちに感謝する」とコメントした。
そうです、世界中のジャーナリストが報道を制限しようとした当局に抗議し、両紙を支援したのです。「編集局デスク」で岡安さんが指摘されたように、今、日本のジャーナリズムにも「秘密保護法を恐れず、政府が隠そうとするものに迫って真実を明らかにし、報道の使命を果たす」ことが求められています。
※ピューリッツァ賞と表記する場合もあります。
大西 五郎
スノーデンさんが命を賭けてあれだけの事を成した意図がこういう事だったとは感じてはいましたが、改めて認識した次第。
『「社会が変わるべきかどうか社会が自ら決めるきっかけを提供する」』
身柄引き渡し外交を巡って、彼の命は風前の灯火の時期があったようにも観たものでしたが、ここまでのことになるなんて。
僕はウィキリークスから流れたいろんなニュースで世界政治の見方がちょっと変化したほどでした。アメリカの骨の髄まで染み渡った民主主義を押しつぶすような陰険・悪辣さ。日本政府の情けなさ。特に日本外務省の、スパイもどきなまでの反日本政府的米追随。対するにドイツ政府・メルケルの骨っぽさなどなど。