この初戦敗戦はもう茫然自失、きちんと総括せずには眠られないというわけで、しっかり勉強した。その結果を少々。中日新聞の全二面をつかった報告、総括が実に為になった。スポーツを文化として扱っていることがよく分かる記事である。ただ、これを読むだけではあまりにも多くのことが書かれすぎていて、本当のところは分からないはずなのだ。さて、
サッカーのような敵味方22人が組織的に絡み合ったボールゲームの総括は本当に難しい。勝敗を分ける原因にも「幹、大枝、小枝」とあって、この区別、整理が僕も含めて普通の人にはまず出来ないからてんで勝手なことを語ることになってしまう。総括の幹にあたることよりも大枝はもちろん、小枝を第一視点にして語ることさえ起こるのである。特に日本のように組織力中心のチームが強力な個人技を武器とするアフリカ勢と戦った時には、日本代表組織論に通じていないと正しいゲーム総括などはまず望むべくもない。そこで、僕のような素人にはこれが一番。「全体が見える」監督経験者だったり、それに相当する過去の名選手(ただし、全体が見える人でないとダメ)、しっかりした専門スポーツ記者だったりの視点を借りて総括するのである。
さて、本日の中日新聞には専門記者の長文の記事以外にも、大木武氏と奥寺康彦氏お二人の「目」が載っていた。それぞれかなりの長文だが、前者はJリーグ監督も多く務めた南ア大会代表コーチ、後者はドイツでも活躍した元代表、世界的名選手だったマルチプレーヤーである。まず、このお二人が敗因を見た「目」をば、合体させることから始めてみよう。以下「 」は大木の、『 』は奥寺の言葉だ。
「両サイドバックの内田と長友は守備でもっと前に出て行くべきだった」
「(そのような)積極的な守備をせずにいたことで、香川と岡崎のMFが帰陣して対応せざるを得ない場面が多くなった」
『細かいボール回しから相手を崩す、日本の攻撃的なパスサッカーができなかった』
『香川は自分を使ってくれる味方がいることで輝く選手。(中略)ボールが回ってこず、パスをもらおうと下がったことで長所が消えてしまった』
さて、ザック戦術を一応まとめたことがある人なら、上のお二人の言葉がこの敗戦のすべての「幹」を物語っていると分かるはずだ。
① 「前半の残り20分ぐらいから守りに入って(これはザックや選手らの言葉)」、両サイドバックが下がりぎみになった。その場合に香川と岡崎も敵SBに着いていくことになって、両サイドが押し込まれ、基本戦術コンパクト布陣が採れなくなった。これは、ここでも再三述べてきたように、得意な攻撃戦術をも殺してしまい、日本負けパターンの典型形となる。以下②のように。
② ①は日本の攻撃にもこんな欠陥をもたらす。コンパクト陣型が崩れると、まず敵ボールを追い回すだけで奪えないから、疲労だけが溜まる。この場合、トップの大迫と本田、両サイドバックなどが特に疲れる。次いで、ボールが奪えた時でもその位置が低すぎたり選手間の距離も遠かったりしてボールをつなげず、悪い形でボールを失うことも多くなって逆襲を喰らいやすいということだ。こうしてそもそも、ボール保持率で43対57では、この相手には勝てない。疲労で後半勝負も出来なかったのだし。
この二つがザックの講評でも「幹」であると分かる。ここに「大枝」が二つ加わってきた。
③ ザックが自ら述べているように、彼の采配ミス。長谷部と大迫の交代はパスをさばけるようにとの意図からだが、これは誤りである。長谷部は効いていたし、大迫は攻守に孤軍奮闘、頑張っていた。そしてなによりも、DFラインが下がったままでは、パスがさばけるわけがない。左サイドからだけでもなんとか上げる道はなかったかを探るのでなければならなかった。
④ 『コートジボアールの速さには驚かされた』と奥寺氏も語っていたが、これは選手たちにとってはなおさら脅威であったろう。ジルビーニョなんかもう、速すぎる。①②などからこの脅威に押しつぶされつつあった後半17分に、ドログバ。見事な采配である。彼にロングボールを集めてこれをキープさせ、延びた日本陣地がさらに殺されてしまっては、失点は時間の問題であった。
サッカーのような敵味方22人が組織的に絡み合ったボールゲームの総括は本当に難しい。勝敗を分ける原因にも「幹、大枝、小枝」とあって、この区別、整理が僕も含めて普通の人にはまず出来ないからてんで勝手なことを語ることになってしまう。総括の幹にあたることよりも大枝はもちろん、小枝を第一視点にして語ることさえ起こるのである。特に日本のように組織力中心のチームが強力な個人技を武器とするアフリカ勢と戦った時には、日本代表組織論に通じていないと正しいゲーム総括などはまず望むべくもない。そこで、僕のような素人にはこれが一番。「全体が見える」監督経験者だったり、それに相当する過去の名選手(ただし、全体が見える人でないとダメ)、しっかりした専門スポーツ記者だったりの視点を借りて総括するのである。
さて、本日の中日新聞には専門記者の長文の記事以外にも、大木武氏と奥寺康彦氏お二人の「目」が載っていた。それぞれかなりの長文だが、前者はJリーグ監督も多く務めた南ア大会代表コーチ、後者はドイツでも活躍した元代表、世界的名選手だったマルチプレーヤーである。まず、このお二人が敗因を見た「目」をば、合体させることから始めてみよう。以下「 」は大木の、『 』は奥寺の言葉だ。
「両サイドバックの内田と長友は守備でもっと前に出て行くべきだった」
「(そのような)積極的な守備をせずにいたことで、香川と岡崎のMFが帰陣して対応せざるを得ない場面が多くなった」
『細かいボール回しから相手を崩す、日本の攻撃的なパスサッカーができなかった』
『香川は自分を使ってくれる味方がいることで輝く選手。(中略)ボールが回ってこず、パスをもらおうと下がったことで長所が消えてしまった』
さて、ザック戦術を一応まとめたことがある人なら、上のお二人の言葉がこの敗戦のすべての「幹」を物語っていると分かるはずだ。
① 「前半の残り20分ぐらいから守りに入って(これはザックや選手らの言葉)」、両サイドバックが下がりぎみになった。その場合に香川と岡崎も敵SBに着いていくことになって、両サイドが押し込まれ、基本戦術コンパクト布陣が採れなくなった。これは、ここでも再三述べてきたように、得意な攻撃戦術をも殺してしまい、日本負けパターンの典型形となる。以下②のように。
② ①は日本の攻撃にもこんな欠陥をもたらす。コンパクト陣型が崩れると、まず敵ボールを追い回すだけで奪えないから、疲労だけが溜まる。この場合、トップの大迫と本田、両サイドバックなどが特に疲れる。次いで、ボールが奪えた時でもその位置が低すぎたり選手間の距離も遠かったりしてボールをつなげず、悪い形でボールを失うことも多くなって逆襲を喰らいやすいということだ。こうしてそもそも、ボール保持率で43対57では、この相手には勝てない。疲労で後半勝負も出来なかったのだし。
この二つがザックの講評でも「幹」であると分かる。ここに「大枝」が二つ加わってきた。
③ ザックが自ら述べているように、彼の采配ミス。長谷部と大迫の交代はパスをさばけるようにとの意図からだが、これは誤りである。長谷部は効いていたし、大迫は攻守に孤軍奮闘、頑張っていた。そしてなによりも、DFラインが下がったままでは、パスがさばけるわけがない。左サイドからだけでもなんとか上げる道はなかったかを探るのでなければならなかった。
④ 『コートジボアールの速さには驚かされた』と奥寺氏も語っていたが、これは選手たちにとってはなおさら脅威であったろう。ジルビーニョなんかもう、速すぎる。①②などからこの脅威に押しつぶされつつあった後半17分に、ドログバ。見事な采配である。彼にロングボールを集めてこれをキープさせ、延びた日本陣地がさらに殺されてしまっては、失点は時間の問題であった。
せめて1970氏のように事前から問題点を端的に指摘しなくては論にはならない。
彼の言葉を拝借するならば、問題点を想定できず夢を見るばかりだったことが最大の敗因でしょうな。
そして対戦国はシビアに日本の香川君という弱点を分析していたのでしょう。
オシムという敬愛すべき監督が香川君と本田君の2人は並び立たないと以前話していたことが、昨日の試合を見て、そして1970氏の以前からの分析を読み、なるほどと、理解できた次第。
1970さんにも最近徹底的に愛想尽かされて、また変名に復帰? さらにトロイ事批判のだめ押しが以下ね。
『これは組織論ではなく結果論ですな』
結果論でないゲーム分析なんてあるわけがないって、分からないのかな?
批判のための批判ならば誰にもでも簡単に、いくらでも出来るのですからそれこそ「論にはならない」。
文科系さんも見抜いていたなら私の上の書き込みは余分でした。
ザックの采配ミスについてですが、私の見解は少し違います。理由は、あのまま長谷部と大迫を残していても追加点は見込めなかったからです。
あの展開ではあのまま90分を無失点に抑えるのは困難ですので1-0というプランは厳しそう、なんとかして追加点を取りに行こうとハーフタイムでも話したはずと思うのです。そして追加点を取る可能性が高い交代を考えると、そこまで最悪な交代でも無かったように感じます。
さて、ザックの意図は貴方の述べた通りで、ザックも「戦況好転狙い」と語っている。「後半遠藤」によって、DFラインが前半よりも10メートルも上がって勝ったゲームもあったしね(ベルギー戦?)。
この狙いの結果についてザックは、狙いがはずれて失敗したと語った後にこう述べている。
「もっとやるべきことがあったかもしれない」
つまり、それほどに難しい局面だったということでしょう。でもこういう時こそ、1970さんの言う打ち合い覚悟しかなかったのではないか。3対2で勝つというあれね。
敵の右が来るなら、内田と岡崎の側は上げるとか(現に内田は良い攻撃をしていた)。そしてとにかく、ラインを上げてオフサイドトラップに掛ける「決意」「勢い」がなければ話にならないのだ。
ただ、ここには、ザックと選手がすれ違いやすいある相性の悪さがあると思う。こんなふうに。
ザック「本番になると選手は、こんなにもいつもと違って僕の言うことを守るのか!」
選手「指示通りにしているが、ラインが上げられなくて何も出来ないし、凄く疲れてきたぞ!」
ここは、本当にしっかりと総括しないと、ギリシャ戦も全く期待できないと思います。
「決意」「勢い」この二つは、器用さと柔軟性とは逆に日本人が得意とすることだと思います。「決意」によって恐怖を克服しさえすれば、「勢い」はついてくると。
その典型例がコンフェデのブラジル戦後のイタリア戦だったと思います。1970さんが言われた通りイタリアの本気度は低かったとしても、ブラジル戦と見違えるように自分たちが「普段通りのサッカーができた」ことが大事で、切り替えができた結果かと。
という訳でギリシャ戦は大いに期待しますよ!それまでに私も敗戦ショックから切り替えないと・・・。
さて、強化試合(親善試合)のコスタリカが日本のスカウティング(=視察・戦力分析)なんかするわけない。が、真剣にスカウティングすれば香川が守備の穴だということはすぐわかる。ギリシャ戦も香川がスタメンだと厳しいな。スーパーサブで!
『このチームが、これだけシュートを打たれた相手は、過去に皆無である』
切り替えて欲しい。
また、「かぶった」はちゃんと理解していましたから何のご心配もなく、今まで通りによろしく。
僕は上の書き方で一歩引いたような言葉使いをしていますが、土台にあるのは159~160の「ザック戦術論」。それが、幹であることには全く変わりはありません。それから観たことが、大木、奥寺氏と同じだったので、上の文章で両氏を使わせていただいた入り方をしただけです。
ゲーム分析の幹、大枝という考え方も改めて書きたかったし、 時節柄初めてここへ来る方々もいるかも知れないと思いましてね。
念のためにコートジボアールとの戦い方は、159の文章末尾でこう締め括っていますから、カカシさん、159~160をお読み願えれば嬉しいです。
『 こうして僕としては、コートジボアール戦、特にその前半のここに注視するつもりだ。
①良いビルドアップパスを上げさせない前プレス。特に、ヤヤ・トゥーレと、相手サイドバック(の上がり)とへの良いパスを上げさせない。特に、日本右サイドの攻防で、相手左サイドバックを押さえる。
②前半の攻撃は①に留意するためにも、攻勢(的守備)はとっても基本的に無理をしない。長友が上がった左からの安全な攻撃と敵裏への抜け出し攻撃とが中心になろうが、できるならどんどんパスを回して、相手の体力を奪うやり方も取る。
③こういう前半の「我慢」が出来るなら、勝利は目の前に来ると思う。相手は組織性と走力に難点があるのだ。』
このままズルズルは要らない。
しかし、それと試合は又別もの。
コートジボワールに何故ボコボコにされたか、それを分からなければ気持ちを切り替える意味も無い。
ザックの采配は特におかしくは無かった。交替要員も正しい。間違いがあるとすれば香川を残した事位だろう。まあそれが最大の敗因だったんだが(笑)。
親善試合やテストマッチでは相手の分析よりも自チームの戦力発掘やシステムのテストに重点を置く。勝ち負けよりも内容を問うというのはそこから来ている。しかし、本番では当然結果を取りに来る。従ってスカウティングを重要視する。当然自分達がやりたいサッカーを相手に殺される場面が多々出て来る。それに対処出来なくては意味は無い。
日本の穴は右サイドと認識された以上、そこを変えなければ同じ試合の繰り返しになる。又、ギリシャ戦は只勝つだけでなく大量点が必要なのだから必然的にボール支配率を上げなくてはいけない。長友が香川のケアに追われてるようではそれもままならなくなる。気持ちの切り替えだけでなく、戦い方の修正が最も必要。同じメンバーの同じような試合は見たくないね。