九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

金融グローバリゼーションの改革(2)   文科系

2016年11月10日 17時53分37秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 2 各国などの対応や議論

「金融危機国への外貨融通制度、銀行など」が各地域に国家連合的に創出、拡大され始めた。世界金融資本が各国通貨などに仕掛ける空売りから、中小国家を守る互助会のような側面も持つと考えてよいだろう。
 古くは、アジア通貨危機から学んだASEANプラス日中韓が、日中等の支出でより大きな資金枠を持つことになった例がある。岩波新書「金融権力」(本山美彦京都大学名誉教授著)は、南米7カ国が形成したバンコデルスル(南の銀行)に注目している。
 こういう独自の外貨融資制度が国際通貨基金(IMF)に対抗する側面を持ったものとすれば、世界銀行に対抗する動きも起こっている。最近アジア開発銀行に対抗して創られたアジア・インフラ開発銀行がそれだ。
 前回にも述べたように、『独自のBRICS格付け機関を設けることを検討する』とBRICS諸国が最近発表したが、これも同じ一連の趣旨のものと言える。
 IMFや世銀が金融グローバリズム寄りになり過ぎているという非難が中小国家に多いが、以上はそれらを取り込んでいく取り組みと言うことができる。南米とアフリカの代表、および大国インドが入っているのが注目ということになる。

 また、金融中心主義を排して実体経済中心へと回帰せよという声がますます強くなっている。まず、「グリーンニューディール」政策などの新実業開発を強調する人々は、そこに新たに雇用を求めているのだ。このように雇用問題・格差の解消一般をなによりも強調する人々は、金融規制、実業開拓の方向と言えよう。なお、「グリーンニューディール」とはこういうものだ。
『用語の起源は、イギリスを中心とする有識者グループが2008年7月に公表した報告書「グリーン・ニューディール」である。ここでは、気候・金融・エネルギー危機に対応するため、再生可能・省エネルギー技術への投資促進、「グリーン雇用」の創出、国内・国際金融システムの再構築等が提唱されている。
 同年10月には、国連環境計画(UNDP)が「グリーン経済イニシアティブ」を発表し、これを受けて(中略)オバマ大統領は、今後10年間で1500億ドルの再生可能エネルギーへの戦略的投資、500万人のグリーン雇用創出などを政権公約として打ち出した。(中略)』(東洋経済「現代世界経済をとらえる Ver5」、2010年発行)

 グリーンニューディール政策には雇用対策も含まれているわけだが、雇用対策自身を現世界最大の経済課題と語る人の中には、こんな主張もある。
『私は非自発的雇用の解決には労働時間の大幅な短縮が必要だと考えている。具体的には、週40時間、1日8時間の現行法定労働時間数を、週20時間、1日5時間に短縮するように労働基準法をあらためるべきだと考えている。企業による労働力の買い叩きを抑止するためには、年間実質1~2%の経済成長を目指すよりも、人為的に労働需要の逼迫を創り出すほうが有効だからだ。経済学者は、そんなことをしたら企業が倒産すると大合唱するかも知れない』(高橋伸彰立命館大学教授著「ケインズはこう言った」、NHK出版新書、2012年8月刊)
 8時間労働制とは、歴史的には既に19世紀の遺物と見うる。20世紀の大経済学者ケインズが現状を見たら何よりも8時間労働制が続いている事に驚くはずだ。これだけ豊かになった世界がこれを短縮できない訳がないとも、叫ぶことだろう。ただ、これを実現するのは、金融グローバリズムの抵抗を排してのこと。国連などがイニシアティブを取って世界一斉実施を目指す方向になるはずだ。イギリス産業革命後などの10数時間労働時代が世界的に8時間制度になったことを考えれば、ただ空想という事でもあるまい。最近よく使われる言葉に換えればワークシェアとも言えるのだから。

 米英日独が国家資金で株価を支えるなど、世界的不況の中でそれぞれに内向きの保護主義的な動きが大きくなっている。これに加えて、世界金融の各国搾取がバブル破裂のその都度どんどん見抜かれ始めて来ただけに、BRICS諸国などを筆頭とする反ワシントンコンセンサス方向と実体経済重視方向との動きが、その賛否は別問題として、注目されるのである。

(その3に続く。3で終わります。)
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする