今、アメリカの刑務所は
ここまで何回かに分けて要約してきた堤未果著「(株)貧困大国アメリカ」に、アメリカの刑務所民営化のことが書いてあった。アメリカという国、その政治の性格を知る上で案外重要な社会的意味を持った内容と思う。また、アメリカの現状は日本の未来を予測することに関わっても極めて貴重なものというのは、言うまでもない。この事の書き出しはこうなっている。
『ALEC(米国立法交流評議会、以下すぐに説明します)は過去数十年間、アメリカ国内のあらゆる分野を、企業がビジネスをしやすい環境にする取り組みを続けてきた。90年代から急速に花開いた刑務所産業もその一つだろう。世界最大の収容率を維持するアメリカの囚人人口は1970年から2010年までの40年で772%増加、今や600万人を超えている』
なお、ALECとはこういう組織である。議員らが、州議会に提出する法案を300ほどの民間企業や基金などと一緒に検討するNPO。全米50州の州議会議員の三分の一、下院議員、州知事なども入った主として共和党の大組織である。日本の武田薬品も入っているなど国籍を問わないところが興味深い。
さて、このALECが音頭を取った諸法案通過から刑務所産業が大発展を遂げている。「全米最大の更正企業」二つなどが、「刑務所労働への企業参入」を許可する法律の各州採択によって大々的に形成されてきたのである。そしてそこでもウォール街が介入して、こんなものが出来上がったと言う。「刑務所不動産投資信託」。この発展に目を付けてどんどん投資を進め、共存共栄を図っているということだ。その発展は例えばこんなふうである。02年から07年の5年間で独占企業の一方CCA社の株が5倍になったという。これらの会社は移民収容業務に特に熱心で、その収容者の17%を請負業者に委託しているということだ。なお、囚人労働者への最低時給は17セントなのだそうだ。
さて、刑務所というのはこういうものだと僕は理解してきた。国民が国の主人公で、犯罪を犯してしまったその主人公を国家が心ならずも強制的に矯正などに努めさせるものと。ところが、上記のような刑務所民営化が進むにつれてこんな法律が全米各州にどんどん広がっていったと著者は語っている。不法移民を令状も無しにどんどん収容できる(「移民排斥法」)。刑期の85%が終わるまでは釈放させない(「真の刑期法」)。刑の重さに関係なく3回目で終身刑になる(スリーストライク法)。学校の懲戒規定に違反した生徒は例外なく処分する(ゼロトレランス法、トレランスとは忍耐とか寛容の意)。
そして著者の結論。
『(これらの法律は)どれもALEC会員の多い州で成立し、刑務所人口と企業利益拡大に大きく貢献してきた法律だ』
ここまで何回かに分けて要約してきた堤未果著「(株)貧困大国アメリカ」に、アメリカの刑務所民営化のことが書いてあった。アメリカという国、その政治の性格を知る上で案外重要な社会的意味を持った内容と思う。また、アメリカの現状は日本の未来を予測することに関わっても極めて貴重なものというのは、言うまでもない。この事の書き出しはこうなっている。
『ALEC(米国立法交流評議会、以下すぐに説明します)は過去数十年間、アメリカ国内のあらゆる分野を、企業がビジネスをしやすい環境にする取り組みを続けてきた。90年代から急速に花開いた刑務所産業もその一つだろう。世界最大の収容率を維持するアメリカの囚人人口は1970年から2010年までの40年で772%増加、今や600万人を超えている』
なお、ALECとはこういう組織である。議員らが、州議会に提出する法案を300ほどの民間企業や基金などと一緒に検討するNPO。全米50州の州議会議員の三分の一、下院議員、州知事なども入った主として共和党の大組織である。日本の武田薬品も入っているなど国籍を問わないところが興味深い。
さて、このALECが音頭を取った諸法案通過から刑務所産業が大発展を遂げている。「全米最大の更正企業」二つなどが、「刑務所労働への企業参入」を許可する法律の各州採択によって大々的に形成されてきたのである。そしてそこでもウォール街が介入して、こんなものが出来上がったと言う。「刑務所不動産投資信託」。この発展に目を付けてどんどん投資を進め、共存共栄を図っているということだ。その発展は例えばこんなふうである。02年から07年の5年間で独占企業の一方CCA社の株が5倍になったという。これらの会社は移民収容業務に特に熱心で、その収容者の17%を請負業者に委託しているということだ。なお、囚人労働者への最低時給は17セントなのだそうだ。
さて、刑務所というのはこういうものだと僕は理解してきた。国民が国の主人公で、犯罪を犯してしまったその主人公を国家が心ならずも強制的に矯正などに努めさせるものと。ところが、上記のような刑務所民営化が進むにつれてこんな法律が全米各州にどんどん広がっていったと著者は語っている。不法移民を令状も無しにどんどん収容できる(「移民排斥法」)。刑期の85%が終わるまでは釈放させない(「真の刑期法」)。刑の重さに関係なく3回目で終身刑になる(スリーストライク法)。学校の懲戒規定に違反した生徒は例外なく処分する(ゼロトレランス法、トレランスとは忍耐とか寛容の意)。
そして著者の結論。
『(これらの法律は)どれもALEC会員の多い州で成立し、刑務所人口と企業利益拡大に大きく貢献してきた法律だ』