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自民党憲法改正案のルーツは大日本帝国憲法     大西五郎

2013年06月29日 19時13分50秒 | Weblog
96条改正は立憲主義の否定

 自民党が憲法の条文、なかんずく9条の改正を行うのに先立って改正手続きを定めた96条の改正を先行させ、衆参両院それぞれの議員の三分の二の賛成による発議から過半数にハ-ドルを下げようとしていることに対して改憲論者の憲法学者からも批判の声が挙がっています。
 すなわち、憲法は国民の権利を権力に認めさせるもの(立憲主義)を、権力の側が好む憲法に変やすくしようとするのは間違っている。安倍首相が「国会で三分の一を少し超える勢力があると国民は憲法改正の意思表示もできなくなるのはおかしい」と云ったが、ある政冶勢力が国会で過半数を占めて政権が変わる度に基本的な人権や宗教に関わる国民の権利を変えるようなことはすべきではないというのがこの三分の二条項で、世界の多くの国が憲法改正に厳しい条件を付しています。
 96条の改正を持ち出す裏には、憲法は国民の権利を権力に認めさせるものから、憲法を権力(政府)が国民を統治するための道具にしようという考えがあるのです。
思想信条・言論の自由を「公益」で制限
 そのことが自民党の憲法改正案の「国民の権利及び義務」の項目に表れていると言われています。

(現行憲法)
第19条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。(政府が侵すことを禁ずる)
第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
   2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。(同)

(自民党改正案)
第19条 思想及び良心の自由は、保障する。(侵すことを禁ずるのではなくて政府が保障してやる)   
  2 何人も、個人に関する情報を不当に取得し、保有し、又は利用してはならない。(国民よ)
第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。
  2 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社することは、認めない。(公益で制限する)
  3 検閲は、してはならない。通信の秘密は、侵してはならない。
第98条 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。(同条2~4手続き略、非常事態条項は自民党案で新設)
第99条 (1~2略)
  3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。(以下略)

大日本帝国憲法にそのルーツがあった
(大日本帝国憲法)
第26条 日本臣民ハ法律ニ定メタル場合ヲ除ク外其ノ信書ノ秘密ヲ侵サルヽコトナシ
第28条 日本臣民ハ安寧秩序ヲ妨ケス及臣民タルノ義務ニ背カサル限ニ於テ信教ノ自由ヲ有ス
第29条 日本臣民ハ法律ノ範囲内ニ於テ言論著作印行集会及結社ノ自由ヲ有ス
第31条 本章ニ掲ケタル条規ハ戦時又ハ国家事変ノ場合ニ於テ天皇大権ノ施行ヲ妨クルコトナシ

 どうです。「自民党改憲案のルーツは大日本帝国憲法」といった意味がお分かりいただけたと思います。
 このほか自民党改憲案では、前文で「日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって・・」「日本国民は、良き伝統とがの国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する」としていますが、大日本帝国憲法を発布した時(1889年・明治22年)の天皇の勅語に「万世一系の帝位を継ぐ朕(天皇)が親愛し、朕の祖先も恵撫慈愛し給わった臣民の幸福を増進するためにこの憲法を発布する」という主旨のことが述べられており、それが自民党案の前文に引き継がれているように思えます。

 なお、この小論は6月22日に愛知大学名古屋校舎(笹島)で行われた愛知大学人九条の会と愛知大学九条の会の合同講演会における愛敬浩二名古屋大学教授の講演とその時いただいた資料を基に大日本国憲法のことを少し勉強して書いたものです。大日本帝国憲法を改めて読んでみてまだまだ勉強しなければならないと感じました。
国民は街中に幟を立てるなどして帝国憲法の発布を大喜びしたそうですが、福沢諭吉は「ヨーロッパでは人民が王の専制を嫌って人民が王に人民の権を認めるよう迫ったそうだが、人民の精神の自立を伴わない憲法発布に不安を感じる」と主宰する時事新報に書いています。
コメント (6)
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「規制の虜」の復活(2) フクシマ燃料取りだし新計画?  文科系

2013年06月29日 10時41分39秒 | 国内政治・経済・社会問題
 フクシマの核燃料取り出し工程表が、従来計画よりも早く取り出し開始できるというように改訂されたのだそうだ。経産相を議長とし、政府・東電などで作る廃炉対策推進会議が27日にそういう新工程表を決めたとのこと。これのどこに現実的根拠があるか!? 中日新聞にそう笑われている。28日金曜日朝刊下面の小さな記事である。

 何よりも、新工程表自身にこんな記述が入っていると、笑っている。
『準備が難航すれば、(中略) 従来の計画時期より遅れることも想定されるという』
 さらに、記事中にこんなやりとりまでも、
『核燃料取り出しに必要な技術開発費などを問われた東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は「現時点で、個別根拠に基づいて見積もれるほど中身が具体化されていない」と話し、今回の改定は必ずしも明確に裏打ちされたものではないことを示唆した』
 この下りの表現は丁重だが、中身はこうだ。「記者の質問でやっと答えたのが、これだ。こんなことで前倒しのキャッチコピーとは、笑っちゃうよね!」と。
 記事中には他に、こんな表現もある。
『ただ、核燃料がどこに溶け落ち、どんな状態か正確なことは不明の状態で、格納容器を開ける際に不可欠な水張りによる放射線の遮へいが可能かどうかも分かっていない』
 新工程表の真の狙いは、むしろこうなのだろうと愚考した。当初計画よりも大幅に『遅れることも想定される』と手直しした文言を、「前倒し決定」として売り出した。文書さえこう手直ししてしまえば、前おこなった楽観的大嘘は訂正できたということなのだろう。羊頭狗肉よりも一歩上を行く悪巧みではないか。犬の肉は食えるが、前の嘘を取り消すという腐った肉を売らねばならなかったというわけだから。賢い人々は違うものだ。

 今後根拠もないこの手の楽観的「計画」「声明」をどんどん垂れ流して、世論鎮撫が進められていくのだろう。自ら作った原発政策という長期計画には、どんな被害が起こっても何の反省もしないということだ。長良川、諫早、八ッ場ダム、すべて同じ手法だったと思う。地震自身がフクシマを起こしたという地震原因説はまだ打ち消されていないどころか、その一部は既に当事者によって認められているのである。それもあってか、地震原因説に関わる現場資料は隠されたままという行為だけが続けられてきた。だから、地震が多い日本ではフクシマがまた起こるという国民の不安も全く否定されていないのである。東海とか東南海とかは近く起こるそうだが、本当に原発付近が地割れを起こしたらどうするつもりなのだろうか。それへの回答もないままの再強行は、「後は野となれ山となれ」というやり口としか思えない。

 先祖伝来のものも含めて土地も建物もなくし、無数の人々が直接間接に命を落としまた縮め、漁師さんも含めて職業を奪われた人々は数知れず。そんな超長期的国家計画を、それによって起こされた大々的事故責任というものを、この人達は一体どう考えているのだろうか。こういう人々への心を込めた反省とか、2度と原発事故を起こさないとかに関わって、納得できる言葉などどこからも聞いたことはないのである。


コメント (1)
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