海側生活

「今さら」ではなく「今から」

明かりを消して

2016年07月04日 | 鎌倉散策

(雪ノ下教会/鎌倉)
女の話には仄めかしや暗示が多いが、それにはちゃんとした理由がある。
対立や不和、攻撃を避けて他人との関係を築いて円満にやっていくためには攻撃的にみられないように、そうした話し方が必要なのだ。また婉曲な話し方は調和を保とうとする女の気質にもピッタリ合っていると、離婚後30年以上にわたり、観光客に手作りの鎌倉らしいアクセサリーを販売している妙齢のオネェさんはおっしゃる。

遠回しな話し方も女同士でやっている分には全く問題が無いし、真意は充分に伝わる。しかし相手が男となると目も当てられないことになる。男は直接話法を使い、字面で解釈するからだ。構成も無ければ目的もハッキリとしない女の話に男は面食らうばかりで、つい「要するにどういう事?」とか「この話はどこに向かっているんだ?」と聞いてしまう。挙句に、この女は頭がおかしいのではと言わんばかりの態度で「その話はもう何度も聞いた」、「この話がいつまで続くんだ?」、「実りの少ない会話だな」などと言った暴言を吐く。

カウンターだけの小料理店で、オネェさんの日本酒のグラスが二杯目も終わる頃、「全く男はいくつになっても女が理解できないのだから」とおっしゃる。
「貴方も覚えておきなさい!」と、まるで幼子を諭すような口調で教えは続いた。
女が「私達○○する必要があるわ」と言う時の本音は「私は○○したいの」。また「あなたが決めることよ」と言う時は「私が良いと言えばだけどね」が本音だし、「怒っていないわよ」と言う時の本音は「怒っているに決まっているでしょ」。さらに「明かりを消して」と言う時の本音は「お腹もタルんできたのよ」など延々と続いた。

男を思いもよらず長い間やって来たが、一言一言が改めて腑に落ちた時間だった。何だかお酒の酔いも妙に早かった。

しかし、いくら教えを頂いても、今だに女性は不可解だ。理解しようと思う事自体が間違っているのか?