(表参道/東京)
日常とは違う雰囲気を五感に感じながら神宮前駅から歩いた。
古都グラファーとして活躍中の我が写真の師・原田寛さんの個展を観に出掛けた。『古都櫻』出版記念の個展だ。鎌倉と奈良それに京都の桜だけを撮った写真30数点が展示されていた。自分の眼に映る風景の切り取り方と、作品は全く大違いだ。圧倒されて息苦しくなった。来週(4/9~4/14)は京都でもこの個展を開催するという。
外に出て呼吸を整えながら歩くと、高くはないビルの間に満開の桜がチラチラと見え隠れする。表参道を横切り通りに沿ったガラス張りのビルの二階でコーヒータイム。街路樹の欅の若葉が逆光を浴びて鮮やかな薄緑色が爽やかだ。
明治神宮への参道の一つが表参道だが、神宮前や青山を含めこの地区は、銀座と並んで高級ブランド店の集積地でもあり、若者文化や流行の発信地として活気を得ている。窓の外を見ながら、クリスマス時の街路樹への電飾は当時としては珍しく、ステキな空間の演出だなと、通りの端から端までそぞろ歩いたのを思い出す。
ビルの横の狭くて車は通れない道に多くの人が往来している。なんのアテもなく、興味本位で入って行った。
原宿・表参道には可愛くてプチプラな雑貨屋さんや、海外からセレクトされたお洒落なアイテムを揃えた店が並んでいる。見るだけでもワクワクする人も多いだろう。しかし路地を進み時間が経つにつれ、何だか妙に落ち着かない自分に気が付いた。アンタの居場所はここではないよと言われているような感覚だ。
狭い道を往来している若者たちは、凡そ半分ぐらいが外国人だ。皆が若い。やがて落ち着かない理由に気が付いた。居並ぶ店の看板やカフェのメニューに漢字や平仮名・片仮名などのいわゆる日本語の表記が殆どない。改めて野次馬根性で歩みを進めると、行列が出来ている店に行き当った。並んでいるのは殆ど全員が外国人で、しかも白人だ。看板を見上げると大きく太く墨字で描かれた店名があった、「○○ラーメン」と。
何となくホッすると同時に再び落ち着かなくなった。
原宿に居場所のなくて午後の春 峨々
だんだん居場所がなくなりますね。せめて我家だけでもしっかりと居場所を確保しておかないとなりません。何処へ行っても言葉も気持ちも通じなくなったらおしまいです。でも、案外そんな時は近いのかもしれません。気がついたら、ロボットだけが話し相手だったりして。オーコワ。