住まいの隣の浜にも春が来た。
冬の間、伊勢海老・サザエ・ナマコやメバル・カサゴなどを中心の漁が、この時期から春を告げるワカメ漁が加わり新たな忙しさが始まった。
浜の風景が一変する。
冬の間は漁を終え、海からまだ陽も当たっていない浜に上がると、浜には冷え切った身体に暖かいお茶と真っ赤に燃え上がる焚き火が待っている。
やはり待ってくれている人が居るという事はホッとする瞬間だ、と思う。
ワカメの時期になると焚き火も小さくなる。
作業も手間が掛かる。
獲ってきたワカメを舟から降ろすと、先ず水洗いをする。次に熱いお湯で短時間煮る。このお湯に入れる瞬間が驚きだ、ワカメの色が黒っぽい茶色から見る見る濃い緑色に変化する。
そして又水に戻し良く洗い、それから一茎ごとに浜一面に準備された干台に吊るし干していく。やがて滴り落ちる水が無くなった頃、大きすぎる茎を二つに分けて干す、前後してワカメの葉先の不純物が着いている部分を切り取る。
後は太陽の当たり具合と風次第で干す持間が決まってくる。
浜一面にワカメ独特の香りが漂う。
自分にもこの春が又迎えられるとはなんとも楽しい。
あの手術から2年が経過した。
人生の中締めをして1年だ。