手にした瞬間は「ン?」何の数字かと思った。
かなり前から通っていたお店からの年賀状の中に書かれた数字171を目にした時の話。
災害時に安否等の情報を音声で登録・確認できるサービスにNTTの「災害用伝言ダイヤル 171」があるが、眺めているうちに分った。
そのお店は、古い小さなビルの中にあり、店内はまるでどこかの田舎の駅近くにあるようなレトロな内装に包まれていた。
お店側からは無駄な問いかけも無く、店内は静かで、自分にとっては居心地が良く、料金も六本木の割には安かった。見方を変えれば、女性達は会話が苦手で、他の客は殆ど居なくて、我侭が言え、サービスが良くない分料金も安い店だったと言えるかも知れない。
思わず間が抜けた計算をした。
仮に最初に行ったのが30年前だとすれば、彼女達の年齢は(171歳-30年×3人)÷3人=平均で27歳だったことになる。3人で171歳とか、ママが還暦を迎えるとか、正直に書いてある。こんな年齢の事を印刷したのかと目を凝らすと、この部分はペンで書き加えられていた。
不思議なのは、お店が30年以上も続いているのか、続けられたのか。
また自分は飽きもせず長い間足を運んだのかと自問してみたが、今になり改めて想えるのは、自分の感覚ではビジネスとプライベートとの中間にあって、唯一ホッとする空間だった。
あと10年も続けたら、世界遺産ならぬ六本木歴史遺産に認定されるかも知れない。
しかし歳だけは誰もが、想定外と言う事も無く平等に重ねてゆく。