海側生活

「今さら」ではなく「今から」

書けない

2013年06月26日 | 感じるまま

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                    (ため息の粒/妙本寺)

この五年間で初めての経験だ。

パソコンに向かっても、アイデアが浮かばない。言葉が出てこない。全くキーを叩けない。そして、後回しにしてしまう。すでに二週間以上も新しいブログは載っけていない、そんな日々が続いた。気持ちだけが逸る。

気の置けない友人Y,Mさんと合う約束を取り付ける際に意見を求めた。
彼は言う。
『じぶんの生き様を語る事だから、普通の出来事を綴ったら、
・最近目にした印象に残ったこと
・出会った人のこと
・美味しい店
・きれいな景色
・珍しいもの
・愉快な話
・読んだ本の中から
やっぱり体験が一番でしょうね。楽しみにしている人が沢山いるので頑張ってください』。

その通りだ。
外出が極端に少なくなった。またあれだけ読んでいた本も、最近は雑誌ぐらいに読書量が減ってしまっている。やはり外出し、季節の風や陽を全身に感じ、人に会い、あらゆる刺激を直接に受けないと気持ちも澱んでしまうのか。

四月の日銀による異次元緩和以来、株式市場が、二十年振りくらいに愉しそうだとばかりに株式の売買を始めた。
全くの素人だけに、様々な失敗も繰り返しながら夢中になってしまった。少なくとも午前中はパソコンの前に座りっぱなしになる。写真を撮りに出掛けても、株価の動きが気に掛かり落ち着かない。
自分の身の丈サイズに合った取引をしているが、ココロに余裕が無くなっていた。でも、稼ぐ事は何とも心地良い。

しかし真の愉しさは、森羅万象に触れる事だ。今までもそう生きてきた。又そうでないと生きている意味が無い。改めて実感する。

何とか両立させる方法はないものか。


やはり天然モノ

2013年06月20日 | 魚釣り・魚

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                                       (日没/相模湾)

思わず聞いた。『この鮎は、どこの川で生まれたのでしょうか?』

今年も、前の小さな湾で、鮎の稚魚の捕獲作業が終わった。
二艘に漁師が10人ぐらい乗り、長さが100メートルはあると思われる網を使っている。網目が小さい。網の両端をそれぞれに結わえた二艘は左右に分かれ進み、湾の中心部分で輪を描くように網を閉じる。そして獲った鮎を波止場に待機していた車に積まれた大きな水槽に放つ。

作業をしている人達の中に、一人だけ制服みたいなものを着ている。水産試験場の担当者、だと言う。
『この湾には、今は道路の下を流れていますが、一本だけ川が流れています』

日頃、人と話す機会が少ないと言う彼は、質問に対して待っていましたとばかりにスラスラと教えてくれた。
『鮎は年魚といわれるように寿命はほぼ一年です。秋に卵から二週間ぐらいで孵化し、海や湖へ下る。翌年春、川と海の水温が同じになる頃から川へ遡上して成長し、秋に成熟して産卵した後、その生涯を終ります。遡上中は群れを作るが、中流域に達する頃には群れを離れ「縄張り」を持つようになり、5月頃から本格的に成長のスピードが増し、2~3ヶ月で体長は20cm以上になります。石に付着する藻類の繁殖が盛んになる夏場は、一日3cmは成長します』

彼は、聞いてよと言わんばかりに、仕事の苦労話や鮎に関係する様々事を話してくれる。自分はただ相槌を打つだけだ。
『鮎は年魚とも呼ばれ寿命は一年です。しかし雌には越年するのも珍しくない。人間に限らず鮎だって、女性のほうが長生きするのですね---』

また、『アイナメと言う魚がいます。主に煮魚として賞味されますが刺身でも美味い。この魚は「鮎魚女」とか「鮎並」と表記される。どこと言って鮎に似ていませんが---。多分、見た目の姿ではなく、鮎のように縄張りを持つからでしょう。アイナメは、魚偏に“六九”と表記する場合もあります。実際にそんな漢字は無いので、紙に書いて下さい、分りますか。なぜ魚偏に“六九“と書いてアイナメと読むのか。ここはアラビア数字で”69“と書いた方が良いですね。これ以上は説明出ません』
この瞬間だけは、彼の眼は笑っていた。

『しかし最近は養殖モノが多くなった。やはり鮎は天然モノでなければ?-。ではどこで見分けるか。天然モノには黄色の斑があり、そして顔付きが違います』
天然モノは鼻ペチャが多いそうだ。

話は尽きそうにも無い。

改めて彼の顔を覗きこむと、鼻ペチャだが、帽子に隠れていた彼の眼は、まるで魚のようにまん丸でキラキラと輝いていた。