(天王祭/逗子・小坪)
「こんな空気が美味しい所で暮らしていると、東京になんか行きたくないでしょう」とよく言われる。
確かに海側の暮らしは快適で、二度と都会に住まいを移すつもりはない。しかし時には都会の空気を吸いたくなる。「時々は悪い空気を吸わないとココロに悪いから」と、自分に言い聞かせる。
一度都会に出たら、身体の定期検査をする。展覧会を観て、そして友人と会い、美味しいものを食べて、洒落た店で好きなブランディを飲む。興に乗ればカラオケで自分の声の張り具合を確かめたりする。かなり下手になった、腹から声が出なくなった。そして翌朝になると、やっぱり海側生活の雰囲気が恋しくなり家路につく。帰り着いた時の空気の美味しさは格別だ。
ある意味で、海側生活の良さを確かめるための都会行きをしているのかもしれない。
しかし現役の人にとっては、氾濫する情報と汚れた空気が生活の必需品かもしれない。
最近、地方創生をキーワードに様々なニュースが耳に飛び込んでくる。
日本の人口減少と東京一極集中是正の必要性から、政府は地方への移住希望者のニーズを満たす環境整備をする、と。
技術の進歩で地方と都会の感覚距離が無くなってきたのは事実だ。「地方でも出来ることや、地方だから出来ることがある」と行政は言う。一方で地方に居ては出来ない事も多くあることも事実だ。
地方移住を考えている人は、先ず自分に問うと良い。
「自分は何をやりたいのか?また自分は何が出来るのか?」と。
空気がキレイだけでは生きてはいけない。