海側生活

「今さら」ではなく「今から」

誕生日に考えてしまった

2016年09月30日 | 感じるまま

(英勝寺/鎌倉)
ずいぶん遠くの未知の世界まで来てしまった思いがある。

敬老の日に総務省が発表した。
65歳以上の人口は全体の27.3%で3461万人。その内訳は女性が30.1% 男性は24.3%。(730万人が就労している。)
また日本人の平均寿命は男性80歳、女性は87歳。男女平均で84歳、これは世界一らしい。平均寿命とは0歳の平均余命を平均寿命と言う。

高齢者と仕分けされる年になれば、誰もが願うのは、健康で元気なまま、やりたいことが出来る状態で長生きしたいと言う事だ。
しかし酒を飲もうとタバコを吸おうと、長生きする人は長生きする。どんなに気を付けていようと病気になる人は病気になる。医師には口に出来ない言葉だろうが、突き詰めて言えばそういう事ではないか。問題は何歳まで生きるかではなく、いつまで生活の質を保てるかである。そう考えるとただ数字が伸びるのを無心に喜ぶ訳にはいかない。

別に健康寿命と言う言葉がある。これは介護が必要だったり、日常生活に支障が出る病気にかかったりする期間を除き、自立して過ごせる期間を示す。
それには男性は71歳、女性は75歳とある。平均寿命との数字の差は男性が9歳、女性が12歳の違いがある。これは何なのか。日常生活に制限のある「不健康な期間」を意味する。つまり意識のない患者にチューブで栄養を送り続ける胃ろうや自力で呼吸できない患者を生存させる人工呼吸器など。そういった機械に頼って、何ら自発活動もできないまま生かされている人々が“平均寿命”を引き上げている現状がある。
つまり“健康である”ということと“生存している”ということはイコールではない。

尚、75歳以上の後期高齢者は13.4%だと言う。

自分の意志で活動し、家族や友人と心を通わせること、そういった当たり前の人間らしい活動あってこその生命だ。

誕生日に改めて考えた。

介護人と秘書を置いた

2016年09月20日 | 海側生活

(花生姜/東慶寺)
「眠れない夜はどうなさいますか」と言う友人の問いに
「そんな夜はめったにありません。たいていは頭を枕に付けたら3分もしないうちに眠りについています」

自分は眠りの達人の部類に入ると思っている。
午前中はパソコンに向かい、ずいぶんと神経を集中し、慣れない株式取引を行う。午後からは台風で天候が大荒れで無い限り、カメラ片手に5キロメートルは歩く。どんなに疲れていても、今晩も、またあの深い眠りを持てると思うと夕食が、そして夜が待ち遠しい気分になる。
そんな自分でも、長い人生の途上には、眠れない夜々の時代も数々あった。だが二度にわたる癌の手術以来ここ10年、アレコレ工夫して上質の眠りを持続している。

手術後、周囲の人々に我が儘を通して好きな海側生活を始めた時、身近に介護人を置いた。その介護人は常に自分にアドバイスをしてくれた。
「好きな日本の中世歴史を学び直したら」
「起きる時間と、寝る時間を決めて」
「毎日二時間は歩いて」
「着心地良いパジャマを奮発したら」
「野菜をもっと摂って」
「お酒は二杯まで」等。
自分は言いつけを良く守った。

やがて介護人は少し重くなったので、秘書に変えた。それも快活でしかも癒される雰囲気を持った色白でとてもチャーミングな女性に。時折、朝早く目覚めて、眠り足りない時もある。そんな時、秘書はこう言う。「四時間しか眠っていないけど、熟睡したから大丈夫。さぁ、パソコンに向かって!」
介護人や秘書と付き合っているうちに、彼等にいろいろと言われなくても、自分は一人で生活を上手くこなせるようになった。やがて秘書も辞めてもらい、時々だけ来てもらうようにした。

今思えば何の事はない。介護人とは、また秘書とは他ならぬ自分自身なのである。
今でも上質の睡眠を保っている。

ベビーベッドに慌てた

2016年09月03日 | 感じるまま


(台風の合間に/材木座海岸)
三か月振りの病院に行ったついでに都心のデパートに入ってみた。
定期検査も異常が無かった。また、株の取引で今週はプラスが続き気分よくウインドーショッピングをする。足取りも軽い。カメラバッグも色褪せてきたし---。

トイレに行きたくなり、特選品フロァーの男性用洗面所に向かった。壁も床も白い大理石張りの造りだ。だが室内に入って最初に目に飛び込んできたのは、赤ちゃん用のベッドである。「あっ、いけない!間違えた、女性用に入ってしまった」。相当焦った。慌てて引き返し、表示板を確かめると、青いシルエットは、やはりスーツ姿の男の図案だ。
もう一度洗面所に戻った。おむつ替えのベッドの先を曲がると、ちゃんと男性湯の便器が並んでいる。そこで気が付いた。すでに男性用の洗面所にも、育児のための施設が欠かせない時代になっていたのだ。海側生活を長くやっている間に時代は変わったのだ。

気になって、一人っ子・少子化・晩婚化などのワードでWEB検索してみた。
その中に、独身女性が結婚相手に求めるものは何かというアンケート結果の記載があった。第一位は経済力とか人柄ではなかった。ダントツの第一位と二位は、家事や育児への協力と、仕事への理解だったのだ。

この内容に驚いた、ショックすら感じた。
数十年前の自分の答えと同じではないか。家事と育児にも熱心で上手で、忙しい仕事に理解のある賢い妻。現代の女性たちは、同じ役割を男性に求めているのだ。現代の世相や経済状況下では、共働きをせざるを得ないのだろう。それよりも仕事は経済的なメリットを得るだけではなく、自己実現を目指す為にも大切な、いわばライフワークなのだ。

これからモテる男のタイプは、家事や育児を進んでこなし、女性の残業や会社の付き合いも大目に見られる男性なのだ。男はいじらしいところがあるから、そうなるとセッセと家事や育児も頑張ってみたりするものである。

男性用トイレの赤ちゃんベッドに驚いた自分とは違い、デパートのトイレの設計者は、時代をみる確かな目をもっていた。