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海蔵寺/鎌倉
それにしても喫煙者は、まるで何かの罪を犯した者のように追いやられたものだ。
端から見ていると可愛そうでたまらない。空港ロビーのガラス張りの喫煙所は、あらゆる種類のタバコの煙が見た眼にも充満し、喫煙者さえ入口で思わず咽てしまいそうな臭いは強烈だ。また新幹線の車両の繋目辺りに設置してある喫煙室はまるで小さな“檻”だ。排気が良くないし狭い。パンダでももっと広い自分の空間がある。通路に面しているから通る人は必ずガラス張りの中を見る。「何見てんだよ、見世物じゃないんだよ!」と言いたげな表情で通路に目を向ける愛煙家など、すでに“檻”の中から看守を見る姿を思わせ、可愛そうと言うよりむしろ悲しいくらいだ。街中でのカフェでも喫煙者用の“檻”が設けられている店が殆どだ。
どんな瞬間に喫いたくなるのか。人は様々だろうけど、自分の場合は起き抜けに、食事の直後に、酒を飲んでいる時に、コーヒーを飲む瞬間に、又眠くても眠ってはいけない時など、いわゆる習慣化した喫煙行動だ。
三度の禁煙経験がある。
息子と禁煙を約束した一回目は、息子の大学入学と同時に何となく吸い始めた。膵臓癌で二カ月にわたる長い入院生活、退院と同時に喫った一服は頭はクラクラとしたがココロはホッとした二回目。三回目は現在だ。頸動脈内に付いた石灰化したモノを切除して一か月経過した。石灰化の理由の一つに喫煙習慣があった。この手術を機会に完全に禁煙しよう。しかし先日、友人との快気祝いの席で、友人の細やかな気遣いのアレコレに感情が緩んだのか、眼の前のカウンターの灰皿を見て、ついバッグのタバコに手が伸び喫ってしまった---。
もう喫煙はしない!止められる、大丈夫と幾度となく自分に言い聞かせている。
今、ポケットにノンカロリー飴や禁煙ガムを常時忍ばせている。やはり口寂しい。
禁煙した友人は言う。
私は禁煙外来で言われました。「禁煙するのは難しいですが、喫煙者に戻るのは簡単です。だから貴方の場合は420円のたばこを一日一箱吸うと、1年間に約15万も使うことになります。タバコを止める事で一体どんなものが買えるか!を考えて下さい」と。
これからタバコを喫う場所を探したり、周囲の非喫煙者への気遣いも無くなる。“檻”にも入りたくない。
何よりも末梢神経が再成長を始めることを期待しよう。
味覚がパワーアップし、更にご飯やお酒が美味しくなるに違いない。