海側生活

「今さら」ではなく「今から」

本物の香り

2017年07月30日 | 好きなもの

(象鼻杯/光明寺)
強い刺激性のある独特の香りがカウンター越しに香ってきた。

山葵(わさび)は清冽な水を好み、谷間の渓流の砂礫に栽培される。
しかし本物の山葵は高価だ。しかもあの香気と辛味は摩り下ろして暫くすると無くなってしまう。だからその都度摩り下ろさなければならない。白髪まじりの店主の請け売りだが、近年は粉わさびやチューブに密閉された練りわさびが出回るようになって久しい。これらは実はセイヨウワサビで、この根茎を乾燥粉末にしたものに葉緑素を混ぜて作られているか、又はこの粉末に西洋辛子と合成着色料を加えて作っているそうだ。

店主は問いに答えて話は続く。本物の山葵を摩り下ろす時は、葉つきの部分を鉛筆を削るようにクルリと包丁で削ぎ落とし、髭根を取り、タワシで表皮の汚れを丹念に掃除する。そして、いかに細かく細胞を破壊し、香り・辛みを出させるかです。香りを最大限に引き出すため、ゆっくりと「の」の字を書くように擦り下ろします。「山葵は笑いながら擦れ」とも言われるように力を入れずに鮫皮おろし器のような目の細かいおろし器で擦り下ろすと、本山葵の風味をご堪能いただけます。擦り下ろしたものは辛みを十分に出させるために、小さな容器に入れてふたをする、又は逆さにして置きます。擦り下ろして3~5分で香り・辛みはピークに達し、美味しく感じるのはその後30分程度です。

そう言えば、刺身を食べる時、醤油の中に山葵を入れるのは良くない。山葵の香りが抜けてしまう。刺身の上に山葵を乗せて、それを付けて食べるのが美味い食べ方である。また刺身につている穂紫蘇も、刺身の合間につまんで食べる、醤油の中に入れるものではない。日本酒が好きだったオヤジに聞いたことも思い出す。

しかし、自分の舌は山葵を口に出来ない。最初の口の底の癌手術の際、メスが味覚神経の一部に止むを得ず触れたらしく、それ以来、濃い目の塩分や酢、刺激のある薬味などに敏感に反応する。口にした瞬間に舌がカッと熱くなり、10秒後には目の周りが火照ってくる。そして額から頭にかけて汗が噴き出してしまう身体になってしまっている。つまり赤ちゃん舌に変わってしまっている。全ての食べ物は赤ちゃんの離乳食のような薄味で十分だ。もう10年以上も山葵や生姜などの薬味、寿司やカレーなどの食べ物は口にしてないし、また口に出来ない。

穴子の白焼きを注文した、もちろん本山葵を添えてもらった。眼の前の皿から、刺激性のある独特の香りが、舌の両横にジワッ~と沁みてくる。タップリと香りを舌に沁み込ませてから穴子の白焼きを口に運ぶと、穴子の柔らかさと山葵の優しい風味が口中に広がる。

やはり本物は香味も素晴らしく美味くて薬味には欠かせない。

男の魅力 女がそそられる身体的特徴

2017年07月18日 | 感じるまま

             (手水舎/妙本寺)
「年齢だけでなく、見た目にもジジイになった、俺たちは---」と前回の旧友が呟くように話す。
手渡された一枚の紙の下段には『女がそそられる身体的特徴-魅力の大きい順』の大きめの字が並んでいる。
① 引き締まった体の線 ②がっしりした肩と胸、筋肉隆々の腕 ③小さく締まった尻 ④豊かな髪 ⑤官能的な唇 ⑥優しそうな目 ⑦はっきりした鼻と顎 ⑧細い腰 ⑨鍛えられた腹筋 ⑩大きいペニス(この資料の出所記載なし)

人類がこの世に誕生して以来、女や子供を守り、食べ物を獲り持って帰ってくれる強くて健康な男が女の好みだった。狩りをする男の身体は、肩から腰に掛けて細くなってゆく。反対に女の身体は肩が細く、腰が広がっている。男は重たい武器を持って長距離を移動し、帰りは大きい獲物を引きずり女子供が待つ場所へ戻らなければならないため、こんな体格に進化した。

この傾向は21世紀になってからもあまり変わってないと言う。しかし現代の女たちは、遠い祖先よりも少し欲張りになっていて、感情的な欲求を満たしてくれることも条件に付け加えた。つまり男はハード面とソフト面の両方で女の要求に応えなければならなくなった。

それにしても10年前の手術後、治療の一環で一か月以上も水一滴すら口から摂らなかった、その結果体重は15㎏も落ちた。現在は落ちたままでその時と同じだ。我が身体全体を入浴の際、鏡に映しマジマジと見ると萎びた茄子みたいだ。また現代のある紛争地域の飢餓状態にある子供みたいに、肋骨が浮かんでいる。上記の10項目から大きくかけ離れてしまっている。旧友も12年前の胃がんの手術の結果、体重が10㎏以上落ちて以来、元に戻っていない。
首回りが40cmから38cmに細くなった。身長も2.5cmも低くなっている。手や足のサイズは変わっていないと思うが、或は着るモノと違い、微妙な差に気が付かないのかもしれない。上記の⑩も、身体のあらゆる部分が細くなったのに比例して変化があるのかは自分では判断がつかない。もちろん太く長く変化したとは思わないが、細くもなっていないようにも感じる。

しかしほとんどの女は、そのものの大きさは少しも気にしていないと言う。女の脳は男のそのものを見ても刺激を受けるようにはプログラムされていないとも言う。これは男の場合と正反対だ。
以前と違いがあるかどうかを知る方法はあるだろうか?


目は口ほどに物を言う

2017年07月05日 | 感じるまま

(大仏/高徳院・鎌倉)
「女性に出会った時、先ず、最初にどこを観る?」って、旧友が杯を傾けながら聞いてきた。
全ての女性は基本的に美しいとココロに刻んでいるが、一瞬考え「やはり、目かな~」と返事をした。

彼が上着の内ポケットから取り出し、手渡した一枚の紙には『男がそそられる身体的特徴-魅力の大きい順』の文字が飛び込んできた。
①引き締まった身体つき ②官能的な唇 ③豊かな乳房 ④長い脚 ⑤くびれたウエスト ⑥丸みのある尻 ⑦魅力的な目 ⑧長い髪 ⑨小さい鼻 ⑩平べったい腹。(この資料の出所記載なし)

花にも美しいのには理由がある。鮮やかな色彩の花は、動物や虫たちに自分の存在を示している。栄養源がここにある、今が食べごろだと伝えている筈だ。
人間も花を見て美しいとか可愛いと感じる。花や植物から自分たちの生存に関わる情報を取り入れるために、そういう反応を進化させてきた。果実が未熟か、それとも食べられるか、酸っぱくないかなどを、食べる前に判断しなければならないからだ。果物や花だけでなく、人間の美しさに対しても同じプロセスが働いている。
どんな人も、異性が魅力を感じるシグナルを発している。ハッキリ分かるものもあるが、ほとんど意識できないものもある。いずれにしてもシグナルにはいわば暗号化されたメッセージが入っていて、異性はそれを解読し、目的に相応しい相手かどうかを判断する。

男にとっては、次世代に自分の遺伝子を上手く伝えられるかどうかが、生物学的なレベルで女に魅力を感じる決め手になる。また女にとって生物的に魅力的な男は、妊娠して子供を育てる間は食べ物と安全を満たしてくれることが条件になる。
男も女も、生物学的なレベルで相手のシグナルに反応するように脳にしっかり古代より組み込まれている。だから美しいことと、性的魅力があることは基本的に同じなのだ。

しかし、これまでを思い起こしてみると、女の人の多くは、女と言うものは顔や姿ではなくココロだと思っている。ココロやアタマではなく女は顔と姿だと思っている人は少ない。女はココロやアタマより顔や姿だとハッキ言うと大抵の女の人はいやな顔をする。女は頭がいいより器量がいいほうが幸せだなんて言うと大抵の女の人は怒ってしまう。

透き通った濁りの無い目に出会うと、今でもドキツと一瞬息が止まり、ココロが騒ぐ。
『眼は心の窓』、『目は口ほどにものを言い』という表現があるではないか。