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(光明寺/鎌倉)
裏の山は高さ100メートルもないが岬を形成し相模湾に緩やかに突き出ている。潮風がいつも吹きつけている。
それでも岬の尾根伝いや頂上の平坦部分には数種類の桜が五分咲きだ。更にもう少し暖かくなれば多くの山菜が芽を出す。山肌の窪みや日頃歩かない藪に足を踏み入れると、普段は気が付かない山菜が目につく。
蕗、蕨、薇、芹、タラの芽と摘み歩くこともできる。一方、駅近くの青果店でも山独活、茗荷、行者大蒜、明日葉と並び、今や野菜との区別がつき難くなっている。
昨年あたりからのパクチーブームは、以前の自然志向や健康食品ブームに似ている。元々、山菜は山間の農家などで、一年中利用できるようにと、乾燥品や漬物などの保存食品にされていたものである。しかし観光地などで大量に売られる山菜の漬物には気を付けたい。保存のために、自然食品とはほど遠い添加物が使われていることが多い。名物だからと勧められても山菜蕎麦などを口にしないのはそのためだ。袋詰めの蕨や薇や屈に使われる緑色の色素が体に良いわけがない。瓶詰の場合でも味がグッと落ちる。
山菜はやはり現場で本の少し「春」を感じられれば良い。大量に口にすると。灰汁が強いだけに体調までおかしくなる。
好きな山菜はタラの芽と蕗のトウだ。タラの芽はサッと熱い湯に通し醬油とオカカを添える。蕗のトウは味噌と炒めると独特な芳香と苦味に旬を感じる。温かいご飯が欲しくなる。
春の靄がかかった山や空を見ていると、生きていることの有り難さをしみじみ感じる。
パソコンとアニメにしか興味を示さない40代の知人は山菜に興味を示さない。
「それ、全部草でしょう」
「草?」
「やはり大根やキャベツ、玉ねぎや人参の方が美味いと思うな」
「-----」
久し振りに会うから山菜料理をと準備していたら、品の無いことを言う。仕方がないのでレンコンも一緒に揚げると「美味いな」と眼を細めている。そして「アスパラガスも揚げてよ」と言った。
花冷えもつかの間、いよいよ春本番だ。