海側生活

「今さら」ではなく「今から」

宇宙人のクッキー 

2010年01月17日 | 感じるまま

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早朝、浜に行くと思わず眼を取られ、「お菓子」と呟いた生き物が海老網に入っていた。

丸っこくて花びらを形取ったお菓子のようなものを手に取り、忙しく立ち回っている“せいちゃん”に「この名前は?」と聞くと、横目で見ながらすかさず「タコノマクラ」と返事が返ってきた。

茶色っぽくて、10cm弱ぐらいの大きさで、やや楕円形だ。何よりも眼を引くのは身体表面の花びら模様で、短い棘に覆われているが、触っても痛くはない。

ウニの仲間らしい。
普段は海底の砂地や泥地に生息し、海草などを身に纏っている。体中の棘を使って砂の中に潜って身を隠しているらしい。
良く診ると一つの花びらの前端が開いている。花びらの中心部分に生殖孔がある。聞くと生きている時は濃茶色だが、傷付いたり死ぬと緑色に変わるとの事。

“せいちゃん”の5歳になる息子に「お菓子みたいだね」と言うと「宇宙人のクッキーだよ」と言う。既成観念のない幼い子の想像力にはいつも驚かされる。

思えば、上昇志向に何の疑いも持たず、より強く、より早く、より多くと、ただ前のめりにだけ生きてきた自分達の世代も、今体力の衰えに促され、走ってきた道を振り返るようになった。
疲れがそうさせるのか、ふと足元を見る機会も有る。足元を見る自分の視線を新鮮に感じる瞬間もある。

立ち止まらないと見えないモノ、耳を澄まさないと聞こえない音、ビルの中に身を置いていたのでは感じられない風もある。

今日もまた、5歳の幼い子に気付かされた。