海側生活

「今さら」ではなく「今から」

友人の独り言

2009年11月04日 | 海側生活

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箒雲が気持ち良さそうにボーと浮かんでいる。
こんな昼下り友人が私の「海側生活」を覗きに尋ねてきた。
彼女は私と同じ歳だが、私が見る限り同年の女性と比較しても10歳以上は若く見える。

「聞いてよ」と彼女は話し出した。
老いのトバ口ではいろいろと辛い目に遭う。自分がひがんでいるせいだろうけど---。

街頭でティッシュペーパーを貰えなくなった。あんなもの、貰わなくても良いが、顔を見て鼻先で引っ込められると良い気がしない。
またこんな事もあった。ウチの亭主は恋人時代には並んで歩いてくれていたのに、今やスタスタと私を置いてけぼりにするから、時々モモイロ嬢に引っかかる。(男の人は少々老いてもまだカモになるのね---)ある夕暮れ渋谷で、モモイロ嬢にすり寄られた亭主は、咄嗟に後ろからヨタヨタついて来る私を指差して言ったらしい、「間にあっています」。その時のその女の子の軽蔑の眼差しと言ったら、「へえ、アンタこんな婆さんで我慢しているの」と言う目で私を見て嘲笑したのだ、決してひがみではない。

それにデパートもひどい。
ユックリとブラブラと見せてくれるのがデパートの伝統ではなかったのか。
いくら売り上げが落ちているとは言え、呼び込みまがいの売り方は止めたほうが良い。客に付きまとい、口煩く者を言うとは何事かと思う。しかも一寸ステキな服に足を止めると「お嬢様のでございますか」と言う。そのくせ地下の食品売り場は半分ぐらいがセルフサービスになっていて、老いてモノが捜せないのに知らんぷりだ。
私は早く完全婆になりたい。

彼女は喋るだけ喋ると、長い時間我慢をしていた用を足したような表情をして帰って行った。

ここでは、最寄りの逗子駅・鎌倉駅前辺りでも、モモイロ嬢は居ないし、ティッシュペーパーも手に入らない。
「海側生活」は、あらゆる事が街とはかけ離れている。

西の空を見上げると一面はモモイロに染まっていた