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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

今は真冬の帰り道

2010-01-11 11:31:38 | 日本のロック

真冬の帰り道 / ザ・ランチャーズ (東芝)

昨日は久々におやじバンドでライプやってきました。

まあ、出来はそれなりでしたが、気の合う仲間が集って音を出すのは、やっぱり楽しいですね。

さて、本日のご紹介は、そんなサイケおやじが高校生の時に入れてもらっていた同好会のバンドで、最初に演じた思い出のメロディ♪♪~♪ 今やGSの定番でもあるランチャーズの大ヒット曲です。

ご存じのようにランチャーズと言えば加山雄三のバックバンドとしてスタートし、何回かのメンパーチェンジもあったわけですが、昭和40(1965)年の爆発的なエレキブームの頃から、その中心になっていたのが、加山雄三の従兄弟にあたる喜多嶋瑛と修の兄弟でした。

しかし当時は「エレキは不良」という不条理な社会の掟の所為で、特に高校生だった喜多嶋修に芸能活動は許されず、このあたりの事情は「夜空の星」や「ブラック・サンド・ビーチ」のところでも書きましたが、実際のステージやテレビ出演時には別のメンバー編成になっていました。

そしてようやく喜多嶋修が高校を卒業した昭和42(1967)年、既にGSが大ブームになっていた真っ只中の11月に発売されたのが、加山雄三から独立したランチャーズのデビュー曲「真冬の帰り道」です。

憧れの女の子と歩く真冬の道行き、それでも彼女に愛の告白が出来ない弱気な男の心情吐露を綴った歌詞にジャストミートの胸キュンメロディは、もちろん喜多嶋修の作曲で、全体としては「ラバーソウル」期のビートルズに深く影響されたフォークロック歌謡の決定版ですから、忽ちの大ヒットになりましたですね。

当時を体験されなかった皆様にしても、聴けば納得という、お馴染みの歌と演奏のはずです。

ちなみに当時のメンバーは喜多嶋修(vo,g,key)、大矢茂(vo,g)、渡辺有三(b)、喜多嶋瑛(ds) の4人組で、爽やかなルックスとスマートなファッションセンスは、明らかに「エレキは不良」では無く、ハイソなイメージも強く漂わせていました。

そして発表されるレコードには正統派GS歌謡、フォークロック、サイケデリック、クラシック趣味、さらにビートルズからの様々な影響が、喜多嶋修というグループでは音作りのほとんどを手掛ける若き天才によって表現されていたのです。

ただし、それが当時としては進み過ぎていたのも、また事実でした。そうした洗練された部分は評論家の先生方や業界の一部からは認められていたものの、一般的なファンはある意味での下世話な感覚の方を好んでいたのが、昭和40年代だったのです。

それが突然、当時の東宝ではトップのアイドル女優だった内藤洋子と喜多嶋修の恋愛関係が報じられことから再び、この「真冬の帰り道」の歌詞が意味深に取り上げられたのは皮肉でした。

ただし、後に知ったところによれば、その頃の喜多嶋修は内藤洋子に対しても、ビートルズの話ばっかりしていたそうですし、最終的には結婚した二人にしても、この歌は面映ゆいのかもしれないなんて、余計なお世話を想像するのは私だけでしょうか。

まあ、それはそれとして、ランチャーズは後に高く評価されるアルバムを2枚作っているのですが、やはり「真冬の帰り道」を抜きにしては語れないバンドでしょう。実際、この曲は何時聴いても、イイですよねぇ~~♪

最後になりましたが、若き日のサイケおやじが演じた「真冬の帰り道」の経緯について、実は高校の時のバンドは私が入学する前年までは歴とした「部」扱いでした。それが秋の学祭で学校側の警告を裏切る形で先輩諸氏がギンギンのサイケデリックをエレキの大音響で演じたとかで、「同好会」に格下げされ、しかもブラスバンド部の預かりという肩身の狭さに……。

もちろん存続出来たのは、当時の流行になっていた生ギター主体の歌謡フォークを歌いたいという隠れ蓑があったからですし、実際、エレキを使うバンド形式をやりたがっていたのは、私が入った時には僅か4人になっていました。

ですから、幸か不幸か、とにかく直ぐにレギュラーに入れたというわけですが、そんなこんなの経緯から練習はともかくも、発表会の演目は極めて制限が強く、なんとか許可を得たのが、この「真冬の帰り道」だったというわけですから、その楽曲には大人にも許容される魅力があるということです。

そしてサイケおやじは恥ずかしながら、その時にエレキギターでリードを弾かせていただきましたが、ランチャーズの演奏に聞かれるような間奏での凝ったアンサンブルを再現出来る技量はもちろん無く、オリジナルの曲メロを無難になぞるのが精いっぱいでした。

このあたりは今でも難しいと思いますよ、言い訳じゃありませんが。それほどランチャーズの演奏は洗練されたフィーリングが強かったのです。

ということで、今でも額に汗が滲む思い出なんですが、そんな初々しい気分がすっかり居直りに変化している現在の私は、やっぱり中年者の独り善がりを反省するのでした。

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トッド対フェリックスのグルーヴィン節

2010-01-10 12:58:11 | Rock

Felix Cavaliere (Bearsville)

フェリックス・キャヴァリエはご存じ、ラスカルズの中心メンバーだった、個人的にも最高に好きなボーカリストですが、現実的には知る人ぞ知る……。今日では局地的な再評価もあるようですが、ラスカルズ解散後は決して再浮上出来ていないのが本当のところでしょう。

本日のご紹介は、その悲運の実力派ともいうべきフェリックス・キャヴァリエがラスカルズ解散後の1974年に発表したファンキーロックの隠れ好盤♪♪~♪

 A-1 A High Price To Pay
 A-2 I'm A Gamblin' Man
 A-3 I've Got A Solution
 A-4 Everlasting Love
 A-5 Summer In El Barrio
 A-6 Long Times Gone
 B-1 Future Train
 B-2 Mountain Man
 B-3 Funky Fliday
 B-4 Been A Long Time
 B-5 I Am Free

以前にも書いたと思いますが、私はフェリックス・キャヴァリエというボーカリストが非常に好きなんですが、しかしこのアルバムをゲットしたのは、実はプロデュースをやった元ナッズのトッド・ラングレン経由だったのが、本当のところです。

何故ならば、このアルバムは全くヒットしなかったからに他ならず、私にしてもトッド・ラングレンの繋がりから後追いの1976年頃に聴いたわけですが、それにしても大好きなフェリックス・キャヴァリエが、ここまで私好みのソロアルバムを出していた事実は知りませんでした。

つまりそれほどフェリックス・キャヴァリエの存在感が業界から疎外されていたんでしょうねぇ……。いくら発売元が新興のレコード会社とはいえ、きちんとプロモーションがされていたとは思えません。以下はサイケおやじの完全なる妄想ですが、ラスカルズ時代から人種差別に対する過激な抵抗姿勢を示していた過去と無関係ではないのかもしれません。

まあ、それはそれとして、内容は本当に熱くてカッコイイ! ハートウォームにして一抹の胸キュンフィーリングも、サイケおやじの感性にはジャストミートしています。そしてなによりもフェリックス・キャヴァリエの歌いまわしが、あの「グルーヴィン節」にどっぷりなんですねぇ~~♪

実にカッコ良すぎるパワーポップなA面ド頭「A High Price To Pay」は、ブルーアイドソウルの1970年代的な進化系でしょうし、ブルースロックとフィリーソウルが融合したような「I'm A Gamblin' Man」、カントリーロックの「I've Got A Solution」に続く「Everlasting Love」は一転してラテンロックなんですが、何れもフェリックス・キャヴァリエが持ち前の暑苦しくなる寸前という凝縮歌唱で聞かせてくれるメロディの良さは、後のAORに直結するものかもしれません。しかし決して軟弱ではありませんよ。

実に熱く、力強い情熱に溢れています。

それは白人ソウルがど真ん中の「Summer In El Barrio」から「Long Times Gone」へと続くA面の終盤の気持良さに収斂していくのです。

そしてB面では、いきなりのハイライトが「Future Train」で、まさに当時の流行だったフィリーソウルの味わいをロック的に解釈した名曲名唱の決定版! シンセを多用したキーボードロックでもあり、ソウルビートとファルセット系コーラスも最高に気持良いという、後のホール&オーツにも通じる私の大好きな世界です♪♪~♪

そういえばプロデュースを担当したトッド・ラングレンは同時期にホール&オーツのアルバム「ウォー・ベイビーズ(Atlantic)」を手掛けていて、しかも両方とも売れなかったというあたりが意味深でしょうか……。

ちょいと話はそれますが、当時のトッド・ラングレンと言えばプロデューサーとしてはグランド・ファンク・レイルロードを再ブレイクさせ、また自己名義のシングルヒットも放っていた上昇期でしたからねぇ。売れずとも良質な音楽をクリエイトしていたのは、後追いするに充分な価値があったと、何時も言い訳しているのがサイケおやじの本性です。

そうした流れの中ではレゲエやサルサなんていう、これも当時の流行が入った「Mountain Man」や「Been A Long Time」も潔く、タイトルに偽り無しの「Funky Fliday」では、あえてロック寄りの音作りで迫って来るあたりが、完全にトッド・ラングレンの世界じゃないでしょうか。

それはオーラスの「I Am Free」で、アルバムの流れを完全に覆すようなプログレハードな世界を展開するという、まさに禁じ手の締め括り!

ちなみにセッションに参加したのはトッド・ラングレン(g,key) 以下、ジョン・シーグラー(b,key)、ロジャー・パウエル(key)、ケヴィン・エルマン(ds,per) という後のユートピア組がメインになっているのも、なかなか味わい深いところですから、ラスカルズ時代のフェリックス・キャヴァリエが十八番としていたソウルフルなオルガンやピアノの響きは薄れています。

しかし、それゆえでしょうか、フェリックス・キャヴァリエのボーカルに逆の意味での黒っぽさが強く滲み出ているのも、また事実だと思います。そしてシシィ・ヒューストンやジュディ・クレイといった有名女性コーラス歌手とのコラポレーションも最高♪♪~♪

またランディ・ブレッカー(tp) やバリー・ロジャース(tb) 等々の超一流ホーン隊の熱演も聴き逃せません。

ということで、シブイ中にも実に熱気溢れるアルバムです。

言うまでもなくフェリックス・キャヴァリエは山下達郎に影響を与えた歌いまわしが大きな魅力ですから、両者の共通的にシビレるのも許されるところだと思います。

近年はCD化もされているようですから、お楽しみ下さいませ。

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TYAの熱演一番、もう一丁

2010-01-09 11:37:18 | Rock

I'm Going Home / Ten Years After (Deram / キングレコード)

今は昔のある時期、世界中で突発的にブレイクしたバンドのひとつが、テン・イヤーズ・アフターでした。

そのきっかけは1969年に開催された大規模ロックフェスティバル「ウッドストック」への出演で、もっと厳密に言えば、その記録映画の中でもハイライトになった「I'm Going Home」の熱演でしょう。

それは実にR&Rでシンプルなブルースロックなんですが、とにかく徹底して早弾きを披露するアルヴィン・リーのギターが痛快至極だったんですねぇ~♪ 同時に強引な歌いっぷり、いかつい容貌が如何にも当時のロック野郎の典型という感じでした。

しかしテン・イヤーズ・アフターというバンドは、それ以前から局地的には注目されていた本格的なブルースロックとロックジャズを演じるイギリスのグループで、メンバーはアルヴィン・リー(vo,g)、チャック・チャーチル(key)、レオ・ライオンズ(b)、リック・リー(ds) という4人組の実力派です。

そして正式デビューしたのは1967年だったのですが、実はそれまでの下積み時代には、いろんな歌手のバックやスタジオでの仕事がメインだったそうですから、ブルースやロックばかりでなく、ジャズや民族音楽の素養も現場で身につけていたと、メンバーが後に語っているほど、バンドとしての音楽性は深くて多岐にわたるものだったようです。

しかし、そんなところが逆にスタジオで作られたレコードではイマイチ、煮え切らないのも、また事実だったと思いますし、逆にライプでのストレートで熱いブルースロックをメインにした歌と演奏は、忽ち人気を集めたのです。

それはデビューから2作目のアルバムがライプ盤だったことでも明らかですし、前述した「ウッドストック」での熱演がウケまくったのも当然が必然でしょう。

さて、その「ウッドストック」の人気演奏となった「I'm Going Home」は、もちろんサントラ音源としてアナログ盤3枚組で発売された「ウッドストック(Cotillion)」に収録され、そのLP片面の半分を使った長尺の演奏はギターロックの聖典曲になったのですが、それはなにしろ、高価な3枚組ですからねぇ……。当時の中高生には簡単に手に入るものではありませんでした。

で、そんな間隙を突いて発売されたのが、本日ご紹介のシングル盤です。

ところが結論から言うと、これは同じ曲でありながら、しかもジャケ写が「ウッドストック」での熱演を強く意識したものであるにもかかわらず、全く別の演奏!?!

その実態は前述したバンドの2枚目のアルバム「テン・イヤーズ・アフター・イン・コンサート / Undead (Deram)」からのシングルカットだったのです。

う~ん、このあたりの詐術は強烈な商魂を痛感させられるところですが、アルヴィン・リーの驚異的な早弾きは充分に楽しめますし、グループとしての纏まりも凄いと思います。ただし「ウッドストック」では10分以上あった演奏時間が、ここで半分程度なのが物足りず……。

はっきり言って、これを入手した当時の若き日のサイケおやじは、決して騙されたとは言わないまでも、複雑な心境になったことは確かです。

ただし、そうした悔しさゆえにテン・イヤーズ・アフターの他のレコードを聴きたくなったのも、また率直な気持ちでしたし、実際に後追いながら聴いた諸々の作品には、なかなかジャズっぽい演奏があったりして、目からウロコ♪♪~♪

お目当てだったアルヴィン・リーのギタープレイにしても、早弾きの正体がスケール練習寸前だと気がつく瞬間があるとはいえ、モダンジャズからの強い影響を感じさせるピッキングの上手さとか、簡単に到達出来る境地ではありません。

また、ジャケ写でも確認出来る「ピースマーク」がペイントされた「ギブソン335」の潔さが、まさに時代の象徴でした。

今となっては、あまりにも時代がかったテン・イヤーズ・アフターの存在は、本当に1970年前後の時期だけに輝いた一発屋かもしれません。しかしリアルタイムに接した私のような者には、この「I'm Going Home」が確実に血を騒がせる名曲名演として忘れられません。

もちろん度々述べているように、その極みつきは「ウッドストック」でのバージョンですが、それより早いこちらの演奏も捨て難く、ついでに本篇収録のライプ盤「テン・イヤーズ・アフター・イン・コンサート / Undead (Deram)」も併せて聴けば、ますますテン・イヤーズ・アフターの虜になる皆様がいらっしゃるはずと思います。

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山内テツの凱旋帰国

2010-01-08 13:19:48 | Rock

玉突きリチャード / Faces (Warner Bros.)

世界で最初に成功を掴んだ日本人ロックミュージャンは、ベース奏者の山内テツでした。

まあ、こういう話になると、業界には坂本九という全米ナンバーワンヒットを放った偉大なロックンローラーもいるわけですが、山内テツは「ロックンロール」が「ロック」になった1970年代に、堂々とイギリスのトップバンドでレギュラーメンバーに起用された実績が不滅ですし、実際、当時の我国の洋楽ファンは喜びというよりは、驚愕が本当のところじゃなかったでしょうか。

ところが肝心の山内テツについて、私は当時からよく知りませんでした。

ただ、最初に注目されたのが昭和47(1972)年にあったフリーの来日公演で、この時はエマーソン・レイク&パーマーの前座扱いだったんですが、そのフリーと言えば、前年の初来日公演が今日でも伝説化しているほどの壮絶ライプでしたから、期待は高まるばかりの状況の中、なんとやってきたのはポール・コゾフとアンディ・フレイザーが抜けて、ラビット(key) と山内テツ(b) が入っていたという臨時編成でした。

そして当然ながらと言えば失礼なんですが、この時のライプは気抜けのビールというか、実は私も行ったんですが、あまり冴えたステージではなかった印象です。

しかし山内テツという日本人が、超一流のロックバンドのメンバーとして「来日」したことは大きな話題となっていました。

ですから、その山内テツが昭和48(1973)年になって、フェイセズのレギュラーメンバーに迎えられたというニュースは、さらに驚愕の事実だったのです。なにしろ当時のフェイセズはロッド・スチュアートという看板スタアを擁した最高のR&Rバンドのひとつでしたからねぇ~♪

そして翌年2月の来日公演では、まさに凱旋帰国だったのが、山内テツです。

この時は本当に我国の音楽マスコミが率先して大騒ぎしたのが夢のようで、またファンの多くも、本当に嬉しい気持でライプへ行ったんじゃないでしょうか。

ただし、これは昔っから言われていたことですが、洋楽に対する日本人プレイヤーのリズム感は合っていない!?! という既成観念が言わずもがなの真実として、評論家の先生方はもちろんのこと、実際のプロの演奏者達にもコンプレックスがあったと言われていますから、リズムとピートが命のペース奏者たる山内テツの存在感や如何に!?!

そのあたりを意地悪く注目するマニアも確かにいたのです。

これについては諸説があるところでしょう。ただ、個人的には、前述した臨時編成のフリーのライプに接した時の経験からして、山内テツのペースプレイは安定感があったと思います。

そしてフェイセズが人気絶頂時の来日公演では、バンドの持ち味であるルーズでファジーなノリを、がっちりと支える役割を充分に果たしていたと思いますし、バンドの面々も、また会場に参集したファンも、山内テツを盛り上げんとする実に良い雰囲気のコンサートでした。確かMCも山内テツがやる場面がありましたし、マイクスタンドを豪快に振り回して熱唱するロッド・スチュアート、タイトでファンキーなケニー・ジョーンズのドラミング、テキトーなギタープレイが好ましかったロン・ウッド、イアン・マクレガンが楽しさ満点に弾きまくるピアノも忘れられません。

さて、そこでようやく本日のご紹介ですが、これはジャケットに偽り無しという、山内テツが参加後の初録音となった「玉突きリチャード / Pool Hall Richard」をA面に収録したヒット盤♪♪~♪ 後にはベストアルバムにも収録されるフェイセズの代表曲ではありますが、当時はシングルオンリーの発売だった痛快なR&R!  ハナからケツまで飛ばしまくった歌と演奏の中で、どっしり構えた山内テツのペースが良い味出しまくりです。

もちろん来日公演の興奮が冷めやらぬ時期に買ったものですよ。

ちなみにB面収録の「雨に願いを」はご存じ、黒人R&Bグループのテンプテーションズが放ったヒット曲のカバーですが、これに山内テツが参加しているか否かは諸説ありますので、ここではあえてふれません。ご容赦願います。

ということで、山内テツという日本人のロックミュージシャンが堂々と世界で活躍したのは、今もって驚きと喜びの二重奏です。しかし残念ながら、フェィセズはロッド・スチュアートの二重契約問題もあって活動に陰りが……。そしてついに解散となったのは、皆様が良くご存じのとおりです。

また山内テツのその後については、我国でリーダー盤も制作され、また様々なセッションに参加するなど、1970年代はそれなりに活発な動きもあったのですが、近年はどうしているのでしょう……。

なんかこの時期になると、前述したフェィセズの来日公演の気持良さもあり、思い出される山内テツなのでした。

※お詫びというか、弁解として、バンド名の「Faces」を日本語表記ではフェイシズ、あるいはフェイセスが多用されていますが、本日はレコードジャケットに記載のある「フェイセズ」を使わせていただきました。ご了承願います。

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オリバー・ネルソンの痛快ライブ!

2010-01-07 12:00:48 | Jazz

Live From Los Angeles / Oliver Nelson's Big Band (Impulse!)

1960年代に台頭したジャズ系のアレンジャーの中で、オリバー・ネルソンは一際カッコ良い作編曲で人気を集めました。とにかく分かり易くて痛快、グルーヴィでシャープなフィーリング、そして何よりもモダンジャズの保守本流を大切する姿勢がジャズ者の心を掴んだわけですが、もちろん広く大衆的な部分も兼ね備えていたのですから、ジミー・スミスやウェス・モンゴメリー等々、超一流プレイヤーのリーダー盤や多くの有名歌手へのアレンジ提供とヒット作作りへの貢献は言うまでもありませんでした。

そしてもちろん、自身のリーダー作品にしても、あの超絶の名盤「ブルースの真実(Impulse!)」を筆頭に、粒揃いのアルバムが幾つもあって、中でも本日ご紹介の1枚はジャズ喫茶の人気盤にして、学生バンドの聖典ともなった傑作です。

録音は1967年6月2~4日のロスンジェルス、「マーティズ・オン・ザ・ヒル」という店でのライプセッションで、メンバーはバディ・チルダーズ(tp)、コンテ・カンドリ(tp)、ボビー・ブライアント(tp)、フレディ・ヒル(tp)、ビリー・マイヤーズ(tb)、ピート・メイヤーズ(tb)、フランク・ストロジャー(as,ts)、トム・スコット(as,ts)、ビル・パーキンス(ts,bs)、ジャック・ニミッツ(bs)、フランク・ストラッゾーリ(p)、モンティ・バドウィッグ(b)、エド・シグペン(ds) 等々の実力派を擁したビッグバンドに、プロデューサーのボブ・シールが当時発見してきた黒人ギタリストのメル・ブラウンも加わっていますが、なによりもオリバー・ネルソンの作編曲と指揮が冴えまくりです。

A-1 Miss Fine
 ノッケからグルーヴィなムードが横溢した快演で、ちょいとカウント・ベイシー楽団を意識しまくったメロディリフやリズムアレンジがニクイところです。しかもトランペットでアドリブを演じるフレディ・ヒルが、これまた意識過剰ですから、たまりせん。
 肩慣らしとしては、あまりにも贅沢な名演じゃないでしょうか。とにかく聴いているうちに腰が浮くというか、ウキウキしてくるジャズ本来の魅力にどっぷりと惹きこまれてしまいます。

A-2 Milestones
 そして始まるのがマイルス・デイビスのオリジナルにして、モードジャズ聖典曲の痛快天国! 例の気持良すぎる音列が圧倒的なスピード感とシャープなアンサンブルで提示された後は、フランク・ストロジャーとトム・スコットが丁々発止のサックス合戦!
 ちなみにトム・スコットは後年、ミスター・ワンテイクと尊敬されるスタジオセッションの大名人となるのはご存じのとおりですが、この当時は本当に駆け出し時代ながら、既にオリバー・ネルソンに見い出されてインパルスと契約する寸前の頃とあって、そのプレイは荒っぽい中にも、なかなかモダンジャズのツボを掴みきった熱い吹奏には好感が持てます。
 もちろんそれをバックアップするリズム隊の安定感、バンドアンサンブルのスリルと興奮度の高さは言わずもがな、ついついアンプのボリュームを上げてしまうのでした。

A-3 I Remember Bird
 チャーリー・パーカーに捧げられた、これまたグルーヴィなジャズオリジナル曲ですから、メインで吹きまくるフランク・ストロジャーのアルトサックスが大ハッスル! オリバー・ネルソンのアレンジも原曲のムードを大切にした彩りが秀逸です。
 ちなみにこの曲はフィル・ウッズも十八番にしていますから、その聴き比べも興味深いところだと思います。

B-1 Night Train
 ここでいよいよ期待の新星ギタリストだったメル・ブラウンが登場! しかも演じられるのが、以前にオリバー・ネルソンがアレンジを担当したウェス・モンゴメリーとジミー・スミスの競演盤「ジミーとウェス(Verve)」で名演が残された人気曲ですから、同じアレンジが使われているのは言わずもがな、いろんな意味でたまらないものがあります。
 グイノリのリズムアレンジと豪快なフルバンドの魅力が見事に一体化した演奏の中でアドリブソロに没頭するのは、メル・ブラウンが唯一人! それはグラント・グリーンをさらに俗っぽくしたような、実にR&Bとモダンジャズの折衷スタイルということで、ちょっとぱかり気恥ずかしくなるのがジャズ者の本音かもしません。
 ですからジャズ喫茶の人気盤でありながら、中にはB面のリクエストが「お断り」になっていた店もありましたですね。
 しかその場の観客のウケも良いですし、バンドの面々も含めて、メル・ブラウンの一生懸命な姿勢には、かなりの好感を覚えてしかるべきものがあると思います。

B-2 Guitar Blues
 それがさらに凝縮されたのが、このオリバー・ネルソンのロックジャズなオリジナル♪♪~♪ もう完全にメル・ブラウンのスタイルを活かすべく書かれたソウルフルな曲調が、極めて強いロックビートで演じられるあたりは、これまた面映ゆい感じです。
 ただし、そのものズバリの曲タイトルにも象徴されるその姿勢は潔く、なかなか楽しい岐キメのリフはオリバー・ネルソンの真骨頂ですし、メル・ブラウンのギターには自らが楽しんでいるような歓喜があって、賛否両論の中にも、ついついノセられてしまいます。

B-3 Down By The Riverside
 これまた前述した「ジミーとウェス(Verve)」で演じられていた人気曲の再演として、もちろん同じアレンジが使われていますが、ここではバンドの4人のトランペッターが火の出るようなアドリブ合戦を繰り広げ、完全なるクライマックスを演出しています。
 あぁ、こういう素直に興奮を煽るような演奏って、1967年の最先端モダンジャズの現場では珍しかったような気が、これまでに残されている所謂「歴史的な名盤」ばかりを聴いていては、そう思うばかりです。
 しかし現実のライプステージとか、お客さんを前にした現場では、当たり前だったんでしょうねぇ~。悩んで聴く、なんていうのは我国のジャズ喫茶だけが率先して、そのムードに浸りながら喜んでいた現象なのかもしれません。例えそれが、昭和のジャズ喫茶全盛期の様相だとしても、こういうストレートに熱い演奏の前では、なんとなく虚しいものに思えてしまいます。

B-4 Ja-Da
 これはオーラスのバンドテーマというか、ジャケットに記載された解説によれば、セッションが録音された店の「マーティズ・オン・ザ・ヒル」では、出演者が必須の曲だったそうです。ちなみに誰もが一度は聞いたであろう、あの和みのメロディが、ここでは尚更のゆとりで演奏されていますよ。

ということで、実に痛快にしてモダンジャズがど真ん中のフルバン作品♪♪~♪

なによりも分かり易い演奏ばっかりなんですが、飽きてしまうなんて事は無く、何時聴いても素直にジャズの世界に惹かれてしまうこと請け合いです。

時代は既にビッグバンドには厳しくなっていたはずですが、それでもオリバー・ネルソンは散発的ながら、実際に自分の楽団を率いて巡業もやっていたそうですし、同時にスタジオでの仕事もジャズばかりではなく、コマーシャルの制作や映画音楽、テレビの劇伴、さらに若手の育成にも積極的に取り組んでいた勢いは、忘れられません。

ただし、それゆえに音源の散逸もあるようで、集大成的なボックスセットや復刻・発掘の積極的な展開が待たれますねぇ。

最後になりましたが、特に参加が注目されたギタリストのメル・ブラウンは幾枚かのリーダー盤を残しています。しかし結局、大きなブレイクも無く、我国では完全無視状態……。まあ、そのスタイルからして、当時のジャズ者からは軽視される雰囲気が濃厚だったんですが、個人的にもイマイチというか、もう少し強烈な個性とかアクがあればなぁ……、と不遜なことを思ったりします。

ただし後年にブームとなった所謂レアグルーヴとか、そのあたりの視点からすれば、なかなか面白い存在かもしれません。

ビックバンドのアルバムとしては最高級の痛快さと楽しさは保証付きです。

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QMSの愛しのシェイディ

2010-01-06 11:11:29 | Rock

Shady Grove / Quicksilver Messenger Service (Capitol)

サンフランシスコのサイケデリックロックが全盛期に登場したクイックシルバー・メッセンジャー・サービス=QMSは、常にバンドの方向性を変えながら、決して持ち味を失わなかった稀有な存在だと思います。

というのも、例えば本日ご紹介のアルバム「シェイディ・グローヴ」はデビューから通算3作目の人気盤なんですが、実は前作の大ヒットアルバム「愛の組曲」で見事に繰り広げられていたエレキギターのアドリブ合戦をメインとした、所謂ギターロックの真髄から大きく離れてしまった造りでありながら、それゆえに全く別次元の傑作になっています。

その要因は前作までのレギュラーメンバーだったゲイリー・ダンカン(g,vo) が脱退し、新たにイギリスの有名セッションプレイヤーとして既に重要な活躍をしていたニッキー・ホプキンス(p,key) が正式に参加したことによります。

もう、あえて書くまでもありませんが、ニッキー・ホプキンスと言えばストーンズやジェフ・ペックが作り上げた名盤群では歴史的な名演を披露し、また広くイギリスの音楽業界では重宝されていた名手ですから、それが何故にQMSにレギュラー参加したのかが、大きなミステリでもありました。

こうして新生QMSはジョン・シポリナ(g,vo)、ニッキー・ホプキンス(p,key)、デヴィッド・フライバーグ(b,vo)、グレッグ・エルモア(ds,per) という4人組として再出発のレコーディングが1969年初夏頃からスタートし、結果的に出来あがった「シェイディ・グローヴ」は最高の売り上げを記録したのです。

 A-1 Shady Grove
 A-2 Flute Song
 A-3 Three Or Four Feet From Home
 A-4 Too Far
 A-5 Holy Mply
 B-1 Joseph's Coat
 B-2 Flashing Lonesome
 B-3 Words Can't Say
 B-4 Edward, The Mad Shirt Grinder

ただし以前からのギターロックのアドリブ合戦を高く評価していた評論家の先生方や業界関係者からは、発売直後のウケが悪かったようです。

何故ならば、この「シェイディ・グローヴ」はニッキー・ホプキンスの流麗なピアノがサウンドの要であり、それまでのウリだったジョン・シポリナの哀愁を含んで泣きまくるギターソロが大きく減少していたからに他なりません。

しかし収録の各楽曲は、それまでのブルースロック的なアプローチに加えて、ニッキー・ホプキンスが持ち込んだと思われる流麗なポップクラシック風味、英国流儀のジェントルなフィーリング、さらにアメリカ南部というか、後に所謂スワンプロックと称される味わいも強く滲ませた名曲ばかりですから、売れまくったのもムペなるかな!

まず冒頭のアルバムタイトル曲「Shady Grove」からして、流麗なニッキー・ホプキンスのピアノを要に、実にドラマチックなバンドアンサンブルが力強いロックへと変転していく流れが最高の気持良さ♪♪~♪ ジョン・シポリナと金属的なギターとニッキー・ホプキンスの流石のピアノが見事に溶け合った名演だと思います。

そして続く「Flute Song」では不思議なストリングやキーボードの多重録音も駆使した、実に物悲しい世界は、キング・クリムゾンの「Epitaph」と双璧の美意識に満たされているのです。あぁ、たまりませんねぇ~~♪

また一転してブルースロックの脱力的展開という「Three Or Four Feet From Home」は、黒人ブルースの古典「Sweet Home  Chicago」を替え歌的にやってしまった最高の息抜きとなり、いよいよA面ではもうひとつのハイライト「Too Far」へと繋がるのです。

う~ん、それにしても「Too Far」のじっくり構えて熱く盛り上がっていくゴスペルロックの真相は、ニッキー・ホプキンスの参加があるとはいえ、当時のストーンズやヴァン・モリソンあたりにも演じて欲しかったという贅沢を言いたくなるほどですが、QMSの名演は唯一無二の名唱名演♪♪~♪ それが極めて自然に続篇的な「Holy Mply」へと続いていく流れも極みつきだと思います。後半のフェイセスっぽさも良い感じ♪♪~♪

こうしてB面に針を落とせば雰囲気は一変、力強いサイケデリックロックの保守本流という「Joseph's Coat」が絶妙の安心感ですし、哀しみが美しさにまで昇華された「Flashing Lonesome」は、ニッキー・ホプキンスの的確なピアノのサポートとジョン・シポリナのジャズっぽいギターが怖いほど冴えています。加えてデヴィッド・フライバーグのペースが、地味ながら良い仕事なんですねぇ~♪

さらにフォークロックからウエストコーストロックへの懸け橋っぽい「Words Can't Say」も味わい深いです。

そして始まるのが、ニッキー・ホプキンスが一世一代の名曲名演として屹立する「Edward, The Mad Shirt Grinder」で、もう、イントロから流れ出る熱くて美しいピアノと力強いロックジャズのビートに酔い痴れても許される世界が素晴らしいかぎり!

しかも中盤からは、ジョン・シポリナが十八番のスペーシーなギターソロでニッキー・ホプキンスのピアノと最高のコラポレーションを聞かせてくれるんですねぇ~♪ もちろんドラムスとベースも完全無欠なサポートを繰り広げていますし、ニッキー・ホプキンスのオルガンが、これまた素敵な隠し味です。

あぁ、何度聴いても体内の血が逆流して、ヤル気が沸いてくる演奏ですよ。

ちなみにこの味わいは我国の井上バンドあたりが1970年代に担当していたテレビドラマの劇伴とか、同時期の映画サントラ音源に強い影響を与えていると思うのは私だけでしょうか。後半のオルガンソロやリズムパターンは、ほとんど太陽にほえたくなりますよ。

ということで、これも全くサイケおやじが大好きに愛聴盤です。

ウエストコーストロックという概念が何時、どうやって誕生したのかは知る由もありませんが、所謂ハリウッドポップスやサイケデリックロックとは明らかに違う何かが、このアルバムには濃厚に感じられます。

それはニッキー・ホプキンスという英国ロックのど真ん中で活動していたミュージシャンの参加が大きいのは言わずもがなでしょう。それゆえにジョン・シポリナのギターが時にはキング・クリムゾンのロバート・フリップに近くなったり、プログレやロックジャズの色合いを強く滲ませているところにも、その秘密があるのかもしれません。

そしてウエストコーストロックの初期というか、そのひとつの形が、この「シェイディ・グローヴ」だと、私は密かに思うほどですから、イメージ的には逆のものが融合しているのは、ちょいと不思議ですよねぇ。

しかしQMSという素晴らしいバンドにとっては、このアルバムでさえも通過点でありました。なんとまだまだ、その有為変転は続いていくのですが、それは別の機会に譲ることにして、まずは皆様には、この名盤をお楽しみいただきとうございます。

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ガッツあふれる黒い炎

2010-01-05 13:13:18 | Rock Jazz

黒い炎 / Chase (Epic)

昨夜の宴会はご推察のとおり、不景気によるボヤキ優先モードが支配的でした……。

しかし今日からは気持を取り直して、とにかく前を向いていくしかないですね。

そこで朝っぱらから猛進するプラスロックを聴きました。

ご存じ、トランペットが激しく咆哮し、ロックのビートが炸裂しまくった1971年の大ヒット! 原題は「Get It On」ですが、これを「黒い炎」とした邦題は秀逸の極みとしか言えない、熱血が最高です。

そして実際、我国でも洋楽というジャンルを超越した有名曲となって、豪快無比なイントロやエンディングのキメのフレーズが、今もワイドショウやニュース番組のジングルに使われていますから、当時をご存じ無い皆様も、あっ、これだったのか!?! とシビレること請け合いです。

ちなみにチェイスはウディ・ハーマン楽団の看板トランペッターだったビル・チェイスが結成した本格的なブラスロックのグループで、メンバーはビル・チェイス(tp,arr)、テッド・ピアースフィールド(tp,vo)、アラン・ウェア(tp)、ジェリー・ヴレア(tp,vo)、エンジェル・サウス(g,vo)、フィル・ポーター(key)、デニス・ジョンソン(b,vo)、ジェイ・バリッド(ds,per)、テリー・リチャーズ(vo,g) の9人組ですが、やはりホーンセクションがトランペッターばかりというのが痛快なサウンドの秘訣でした。

ちなみにメンバーは何れもがジャズ畑出身であり、オーケストラやスタジオの仕事の他に、有名ジャズプレイヤーのバンドレギュラーも務めた実力派揃いでしたが、中でもドラムスのジェイ・バリッドは一時期のビル・エバンス・トリオでの活躍もあったという超一流です。

で、この「黒い炎」はデビューアルバム「追跡 / チェイス」からのシングルカット曲として白熱の大ヒットを記録したわけですが、アルバムも当然ながらチャート1位のベストセラーとなり、巡業公演も大成功しながら、なんとその大ブレイクの最中にレギュラーメンバーの脱退が続くという、実に不可解な出来事があり、セカンドアルバムの「ギリシャの神々 /  エニア」は、なんとも中途半端な仕上がり……。

しかも再起をかけてビル・チェイスが新メンバーで作った1974年のアルバム「ビュア・ミュージック」は、なかなかの仕上がりだったのですが、その直後の巡業中、飛行機事故により、ビル・チェイスを含む多くのメンバーが他界……。

当然ながら、バンドは消滅してしまいました。

それゆえにチェイスと言えば、この「黒い炎」の一発屋かもしれませんが、それにしても痛快至極なブラスロックの超王道は不滅!

BS&Tやシカゴの大成功により、1970年前後の時期はブラスロックのバンドが数多く登場しましたが、チェイスこそ、いつまでも忘れられないバンドだと思います。なによりも、この強烈に熱い「黒い炎」を残してくれただけで、サイケおやじは感謝に堪えない気持です。

テンションの高いイントロから疾走していく演奏を聴いていると、さあ、今日もやるぞっ! という力が漲ってくるのでした。

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冬のビーチボーイズ

2010-01-04 17:13:32 | Beach Boys

Don't Worry Baby / The Beach Boys (Capitol)

新年仕事始めから、めちゃくちゃにハードワーク……。

心身ともに苛められました。

しかも、これから宴会で愛想笑いをしないとねぇ……。

で、本日の1枚はビーチボーイズのピクチャースリーヴで、珍しい厚着の彼等をご覧くださいませ。

新年買い初めしたんですが、とにかくお金を使わないと、景気は良くなりません。

なんて言い訳、失礼しました。

明日からは気合いを入れ直して、頑張ります。

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デクスター・ゴードンの不退転

2010-01-03 16:43:04 | Jazz

One Flight Up / Dexter Gordon (Blue Note)

最近はなかなかジャズモードに入れないサイケおやじではありますが、今日は意を決して堂々のモダンジャズを聴きました。

それはデクスター・ゴードンが滞欧中だった1964年、やはり現地に活躍の場を求めていた超一流の面々と吹き込んだ傑作セッション!

録音は既に述べたとおり、1964年6月2日、メンバーはデクスター・ゴードン(ts)、ドナルド・バード(tp)、ケニー・ドリュー(p)、ニールス・ペデルセン(b)、アート・テイラー(ds) という鉄壁の布陣です。

A-1 Tanya
 ドナルド・バードが書いたファンキーにしてモードがど真ん中の大名曲♪♪~♪
 グイノリのリズム隊を従えたデクスター・ゴードンとドナルド・バードが力強く吹奏するテーマのダークな雰囲気、そしてヘヴィなアプローチがハナからケツまで浸透していく全員の心意気がダイレクトに伝わってきますから、それだけで気分はモダンジャズにどっぷりです。
 実際、思わせぶりに満ちたテーマの前半部分が如何にもモードジャズの本流ですし、それが後半、一気にファンキーへと場面転換される痛快さは筆舌に尽くし難い最高の極致! しかもリズム隊の淡々として粘っこいグルーヴが、決して乱れないんですねぇ~♪
 そしてデクスター・ゴードンが披露するアドリブパートの最初のワンフレーズが、ほとんどマイルス・デイビスの「カインド・オブ・ブルー」期のジョン・コルトレーンを強く想起させられる味わいですから、これはもう確信犯という他はありません。もちろん後はデクスター流ハードバップというか、モダンジャズのテナーサックスがあるべき真の姿を堪能させてくれるのです。
 あぁ、この力強さ!
 威風堂々の不惑の姿勢!
 こういう人に私はなりたいっ!
 それほどに充実したアドリブが提出されるのですから、続くドナルド・バードは作者の強みを活かしても尚、神妙にならざるをえないようです。ただし、そこが結果オーライというか、マイルス・デイビスっぽいアプローチと十八番のファンキーな資質が、まさに最高のスタイルに昇華した、これも名演だと思います。
 また当然ながらリズム隊の安定感とスリルの提供は申し分ありません。若手の駿英として注目のニールス・ペデルセンは幾分神経質なベースワークかもしれませんが、豪胆なアート・テイラー、相性の良いケニー・ドリューに支えられ、存分に個性を発揮していますし、なによりも演奏全体に新しい感覚を効かせるには欠かせない人選だったのでしょう。
 結論としてLP片面を占有した長尺の演奏ですが、全くダレたところの無い仕上がりは、流石にブルーノートの作品に相応しいと思いますし、我国のジャズ喫茶黄金期に店内でこれが鳴り出すと、その場の空気がピリッとした気持良さは、今も忘れられません。

B-1 Coppin' The Heven
 これもまたダークな雰囲気に満ちたモード系ハードバップの名曲にして大名演!
 まず作者のケニー・ドリューを要にしたリズム隊の熱気を内側に秘めたようなテンションが、全篇で素晴らしいと思います。
 そしてアドリブ先発のデクスター・ゴードンがハードなグイノリを聞かせれば、後に続くドナルド・バードもケニー・ドリューも薬籠中のフレーズだけを演じれば許されるのですから、その貫録は本当に凄いです。中でも絶妙の泣きを滲ませるケニー・ドリューが、個人的には高得点♪♪~♪

B-2 Darn That Dream
 そしてアルバムの締め括りが、この滋味豊かな歌物パラード演奏ですから、たまりません。もちろんデクスター・ゴードンが心をこめたメロディ解釈が冴えわたりです。
 ちなみにテナーサックスの魅惑の音色というか、ハード&ソフトなここでの鳴りをきちんと録ったのは、ブルーノート御用達のヴァン・ゲルダーではなく、Jacques Lubin とジャケットにクレジットされた、おそらくは欧州の録音技師なんでしょうが、なかなかブルーノート保守本流の音作りには好感が持てます。
 まあ、このあたりはカッティングマスターを作ったヴァン・ゲルダーの手腕でもあるんでしょうが、迷いの無い制作姿勢が良いですねぇ。

ということで、これが作られた1964年といえば、ビートルズの世界的な大ブレイクにより、大衆音楽の趨勢が一気にロックへと向かった時期でしたが、モダンジャズそのものにしてもフリーやモード、そしてジャズロックやソウルジャズが最先端とされていましたから、保守本流の4ビートは本場アメリカでは肩身が狭く……。

しかし、そんな状況であっても、そして欧州であったとしても、デクスター・ゴードンやここに参加の面々は決して怯むことのない本物のジャズ魂を持ち続けていたのです。それがクッキリと残されたのが、このアルバムの凄さなのでしょう。

まさに不退転の決意を聞かせてくれるデクスター・ゴードン!

当時は四十代になったばかりだと思いますが、自分が同じ年齢の頃に、これだけの決意表明が出来ていたとは、とても恥ずかしくて言えません。

最初に「意を決して」なんて、大仰に書いてしまいましたが、素直な気持で、ただただ、このアルバムを聴き入れば、その感動は今でも新鮮なのでした。

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ストーンズとオルタモント、もうひとつの40周年

2010-01-02 11:41:49 | Rolling Stones

Altamont Free Concert 1969 40th Anniversary Special Edition
                   / The Rolling Stones & Guests (Idol Mind = bootleg)

昨年末には40周年に事よせた名盤ライプ「Get Yer Ya-Ya's Out!」のデラックスエディションが発売され、やはり世界一のロックバンドはストーンズだっ! を再認識させられたわけですが、実はその裏盤として、例の「オルタモント」の決定的なブツが登場していましたので、ご紹介致します。

それはなんとディスク4枚セットの音源&映像集で、もちろんプートながら「40th Anniversary Special Edition」と付けられたサブタイトルが潔いと言っては不謹慎でしょうか。しかし1969年12月6日の歴史に刻まれた真実の一端を間違いなく追体験出来るのです。

しかも結論から言えば、音質は過去最高!

特にこれまで流通していたストーンズのパートが、各種のソースから継ぎ接ぎで構成されていた所為で音質や音圧がバラバラだった欠点が、可能な限り補正修復され、かなり聴き易くなったのは嬉しいところです。

☆Disc-1:Opnning Acts
 01 PA Sound Check with Moog
 02 Opening Announcement
 03 Savor / Santana
 04 Jingo / Santana
 05 Evil Ways / Santana
 06 Announcement
 07 The Other Side Of This Life / Jafferson Airplane
 08 3/5th Of A Mile / Jafferson Airplane
 09 Fat Angel / Jafferson Airplane
 10 White Rabbit / Jafferson Airplane
 11 Free Bird / Jafferson Airplane
 12 Ballad Of You & Me & Pooneil / Jafferson Airplane
 13 Six Days On The Road / Flying Burrito Bothers
 14 High Fashion Queen / Flying Burrito Bothers
 15 Cody Cody / Flying Burrito Bothers
 16 Lazy Day / Flying Burrito Bothers
 17 Black Queen / Crosby, Stills, Nash & Young
 18 Pre-Road Downs / Crosby, Stills, Nash & Young
 19 Long Time Gone / Crosby, Stills, Nash & Young
 20 Down By The River / Crosby, Stills, Nash & Young
 21 Announcement for The Rolling Stones

 このパートは前座出演したサンタナ、ジェファーソン・エアプレイン、フライング・ブリトー・ブラザース、クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングという超豪華なバンドの演奏が楽しめるわけですが、音源はサウンドボードと会場からの隠し撮りのミックスながら、全く普通に聴けるレベルですから、たまりません。その臨場感とリアルな音声感覚は、まさにロック全盛期の熱気の凄さを今に伝えるものだと思います。
 特にジェファーソン・エアプレインの演奏は強烈至極! しかも途中で勃発するトラブルの状況までもが、克明に記録されていますから、その緊張感は筆舌に尽くし難いものがあるのです。激烈なギター、ドライヴしまくるベース、ド迫力のボーカル、炸裂するビート! 荒っぽい中に、これがロックという真実が堪能出来ますよ。
 そしてキース・リチャーズと友達関係にあったグラム・パーソンズが率いるフライング・ブリトー・ブラザースの痛快なカントリーロック大会、人気絶頂だったCSN&Y、デビューからいきなりのブレイクを果たしていたサンタナの熱演も期待どおりですから、時にはフェードアウトしたり、あるいは劣悪になる音質であっても、贅沢は禁物だと思います。

☆Disc-2:The Rolling Stones
 01 Introduction
 02 Jumping Jack Flash
 03 Carol
 04 Sympathy For The Devil
 05 The Sun Is Shining
 06 Stray Cat Blues
 07 Love In Vain
 08 Under My Thumb
 09 Brown Sugar
 10 Midnight Rambler
 11 Live With Me
 12 Gimme Shelter
☆Dics-3/part-1:The Rolling Stones
 01 Little Queenie
 02 Satisfaction
 03 Honky Tonk Women
 04 Street Fighting Man
 これが後々まで問題となったストーンズの苛烈なライプのパートですが、既に述べたように、これまでに流通していたブツの中では一番に感度良好な音質ですから、ますます、そのリアルな凄みが堪能出来ます。
 演奏や現場の状況については、拙稿「転石音盤史 1969 part 6」に詳しく書いたつもりですが、やはり何度聴いても、この日のストーンズは逆境をエネルギーに変えてしまう魔性のテンションが最高潮! リズムはワイルドだし、バンドアンサンブルもギリギリの危うさがストーンズ本来の魅力に直結しているようですから、途中までは半ベソ状態だったミック・ジャガーも後半では開き直りの熱唱を聞かせてくれます。
 気になる音質は過去最高! 様々なソースのミックスながら、各音源のレベルとピッチを上手く調整した、実に良い仕事になっています。特にこれまで頭が切れていた「Jumping Jack Flash」「Carol」「Stray Cat Blues」が改善されたのは高得点♪♪~♪ カセットっぽい録音がモロ出しだった「Brown Sugar」にしても、なかなか迫力のある音質で楽しめますよ。
 肝心の演奏は、個人的にはミック・テイラーの頑張りというか、本当は現場の状況にビビっていたと思われるのですが、持ち味のギタープレイは冴えまくり♪♪~♪ 中でも「Carol」でのキースとのギターアンサンブル、「Gimme Shelter」での爆発的なアドリブソロ等々、全篇で大暴れしていますよ。
 もちろんキースのヘタウマギターも気合いが入っていますし、ビル&チャーリーの場数を踏んだ姿勢は、どんな状況でも腹の据わったビートを生み出す原動力として、他のバンドでは絶対に出すことの出来ないグルーヴを提供しています。

☆Dics-3/part-2:Local Radio Broadcast
 05 MC by The Taper on Radio
 06 Introduction
 07 Jumping Jack Flash
 08 Carol
 09 MC by The Taper on Radio
 10 Sympathy For The Devil
 11 Evil Ways
 12 Jumping Jack Flash
 13 Carol
 14 Mick Jagger Live MC
 15 Sympathy For The Devil

 このパートは某ローカルラジオ放送番組からの音源で、当時の状況を語るのは、この中の貴重音源を提供したテープ所有者だと言われています。そして流石は放送音源とあって、聴き易さは言うまでもありませんし、幾分ペラペラした音質が如何にも当時のラジオという雰囲気で懐かしくなります。まあ、これはリアルタイムを知っている者の気分かもしれませんせんが、こんな感じで洋楽を楽しんでいたんですよ、なんていうところを、お若い皆様にも知っていただければ宜しいんじゃないでしょうか。

☆Disc-4/part-1:Altamont Was The Nightmare (DVD-R)
 01 IMP Slate
 02 Prologue
 03 The Altermont Venus
 04 CSN&Y Live Scene
 05 The Stones Live Scene

 4枚目は映像ディスクで、このパートはリアルタイムの現場で観客によって撮影された貴重なサイレントの8ミリフィルムにプートからの音声を被せ、さらに撮影者によって当時の状況が語られるというのが凄いところだと思います。
 ネタバレがありますから、詳しい中味は伏せますが、イギリスからビーチボーイズに憧れてアメリカ西海岸へやってきた撮影者が、実は違っていたアメリカの現実に失望し、さらにオルタモントのフリーコンサートで幻滅した当時をリアルに語ってくれるその内容を、親切な日本語字幕付きで知ることが出来ますから、思わず唸りますねぇ。
 肝心のライプシーンは本当に極僅かなのが残念ではありますが、臨場感は満点!

☆Disc-4/part-2:Altamont Weekend (DVD-R)
 06 IMP Slate
 07 Opening MC
 08 Jumping Jack Flash
 09 Carol
 10 Let’s Get Together
 11 Report & Interviews
 12 Evil Ways
 13 Carol
 14 Mick Jagger Live MC
 15 Sympathy For The Devil
 16 Report & Interviews
 17 Ending MC
 18 Let’s Get Together

 続くパートは、1969年12月8日に放送されたテレビニュース番組「Newswatch」の音声に、当時の貴重な現場写真やフィルムを合わせたもので、もちろん日本語の字幕が付いていますから、所謂「オルタモントの悲劇けが当時、どのように報道されていたかが興味深いとろこでしょう。
 その中では無料コンサートだったはずが、裏ではお金に纏わるあれこれが混乱の原因のひとつだったとか、現場での暴力、悪いクスリ、夥しい群衆……等々、報道されることそのものが、今となっては虚実入り乱れたものと感じられます。
 このあたりは、十人十色の感想になるでしょうねぇ……。
 マスコミの身勝手な結果論も含めて、誰が悪者かなんて決めつけられないわけですが、とにかく歴史となったイベントをさらに深く堪能するためには、最適の資料になったことは間違いないと思います。

ということで、まさに40年前の、もうひとつの事実が浮かび上がってくる秀逸なブツです。もちろん本篇映画「ギミー・シェルター」も必見ですし、公式ライプ盤の「Get Yer Ya-Ya's Out!」も聴いてから後に接するのがベストでしょう。

つまり物事は多角的に検証してこそ、その真実に近づけるという世の中の仕組みがある以上、例え海賊盤であるにしろ、こうしたブツが出るのは喜ばしいことではないでしょうか。

一般的に言われているように、ブート業者なんて金儲け主義の塊というのも、また真実ではありますが、流石は「Idol Mind」というメーカーの熱意が伝わってくる良い仕事として、サイケおやじ的には高得点なのでした。

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