OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ボブ・ディラン偏食主義

2010-01-14 11:49:11 | Singer Song Writer

Highway 61 Revisited / Boy Dylan (Columbia)

若い頃、もはや強迫観念のようにボブ・ディランを聴かなければっ!?! そう思っていた時期がありました。

それは爆破的ブームになっていた歌謡フォークに対する反発もありましたし、ジョージ・ハリスンが主催した例の「バングラデシュ」のコンサートに登場した、初めて接する動くディランの圧倒的な存在感とカッコ良さ! 何よりも、いったいこの偉人は何を歌って、神様扱いになったんだろう!? という素朴な疑問がありました。

そこで友人から借りたベスト盤の1&2集、また自分で買った新譜の「新しい夜明け」を聴きこんで、ついに辿りついたのが、本日ご紹介の歴史的名盤アルバルです。

 A-1 Like A Rolling Stone
 A-2 Tombstone Blues
 A-3 It Takekkkkks A Lot To Laugh, It Take A Train To Cry
 A-4 From A Buick 6
 A-5 Ballad Of A Thin Man
 B-1 Queen Jane Approximately
 B-2 Highway 61 Revisited
 B-3 Just Like Tom Thumb's Blues
 B-4 Desolation Raw

ご存じのとおり、ボブ・ディランのフォークロック期の傑作にして、アメリカンロックの代表曲とされる「Like A Rolling Stone」がA面ド頭ということで、如何にも尖がった印象があろうかと思います。

しかし収録の曲メロは全てにおいて、妙に人なつっこい「ディラン節」が全開していますし、それを彩るバックの演奏はツッパリR&Rやブルースロックはもちろんのこと、不思議にメロディアスで和みすら滲んでくる親しみ易さがあると思いますが、いかがなもんでしょう。

特に個人的にはB面トップに収録の「Queen Jane Approximately」が大好きで、お好みの曲を入れたカセットを作る時には必須でしたねぇ~。実際、こればっかり聴いていた時期が確かにありました。

ちなみにセッションに参加したメンバーはマイク・ブルームフィールド(g)、チャーリー・マッコイ(g)、アル・クーパー(p,org)、ポール・グリフィン(p,org)、ハービー・ゴールドスタイン(b)、ボビー・グレッグ(ds) 等々、いずれもがニューロックやスタジオミュージシャンの世界では有名な者ばかりですから、演奏の充実は納得する他はありません。

特に「Like A Rolling Stone」における、バカでかい音のオルガンはアル・クーパーが生涯の名演だと思いますが、実はセッション当日にはギターを弾くためにスタジオにやって来たところ、現場には名人のマイク・ブルームフィールドが既に到着しており、居場所を失った末に、ほとんど弾いたこともなかったオルガンを担当したとか!?

まあ、事の真偽は出来過ぎというか、エピソードとしては面白いと思いますが、何よりも、そういう瞬間的な判断が、ファジーな成り行きとして許されていたところに歴史の必然があったように思います。

それは現場を仕切った黒人プロデューサーのトム・ウィルソンの手腕でもあり、この人は実は1950年代中頃、自らのモダンジャズ愛好癖を満たすために「トランジション」というマイナーレーベルを主催し、極僅かですが、最高に素晴らしい作品を送り出した辣腕オタク派! しかも、このディランのセッションの最中、同じく担当していたサイモン&ガーファンクルの「Sound Of Silence」のアコースティックバージョンに、歴史的なエレクトリック&ロックビートのダビングを施して大ヒットに結びつけたという功労者でもあります。もちろん、それを演じさせたのは、ここに参加したセッションミュージシャンなんですねぇ~♪

そして肝心のボブ・ディランは、何時にもまして強い存在感を打ち出す歌いっぷりが、何を歌っているのか分からない現実とは裏腹の説得力! こういう聴き方は邪道かもしれませんが、私が入手したのは輸入盤ですから、対訳付きの歌詞カードはもちろんありませんし、例えあったとしても、結局は理解不能の世界なんですよ、私には……。

しかし、それでも「ディランが聴きたい!」という衝動は大きくなるばかりでした。

告白すれば、それは1970年代中頃までのザ・バンドと共演していた頃や、それに続く「ローリング・サンダー・レビュー」とか「ラストワルツ」を経て、待望の初来日公演があった時期がメインという、非常に偏った嗜好です。

そういう偏食が許されるのか否かは、本当のディラン信者には堪え難い話でしょうね。

ということで、本日は「私のディラン」というお粗末でした。

コメント (6)
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