OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

トッド対フェリックスのグルーヴィン節

2010-01-10 12:58:11 | Rock

Felix Cavaliere (Bearsville)

フェリックス・キャヴァリエはご存じ、ラスカルズの中心メンバーだった、個人的にも最高に好きなボーカリストですが、現実的には知る人ぞ知る……。今日では局地的な再評価もあるようですが、ラスカルズ解散後は決して再浮上出来ていないのが本当のところでしょう。

本日のご紹介は、その悲運の実力派ともいうべきフェリックス・キャヴァリエがラスカルズ解散後の1974年に発表したファンキーロックの隠れ好盤♪♪~♪

 A-1 A High Price To Pay
 A-2 I'm A Gamblin' Man
 A-3 I've Got A Solution
 A-4 Everlasting Love
 A-5 Summer In El Barrio
 A-6 Long Times Gone
 B-1 Future Train
 B-2 Mountain Man
 B-3 Funky Fliday
 B-4 Been A Long Time
 B-5 I Am Free

以前にも書いたと思いますが、私はフェリックス・キャヴァリエというボーカリストが非常に好きなんですが、しかしこのアルバムをゲットしたのは、実はプロデュースをやった元ナッズのトッド・ラングレン経由だったのが、本当のところです。

何故ならば、このアルバムは全くヒットしなかったからに他ならず、私にしてもトッド・ラングレンの繋がりから後追いの1976年頃に聴いたわけですが、それにしても大好きなフェリックス・キャヴァリエが、ここまで私好みのソロアルバムを出していた事実は知りませんでした。

つまりそれほどフェリックス・キャヴァリエの存在感が業界から疎外されていたんでしょうねぇ……。いくら発売元が新興のレコード会社とはいえ、きちんとプロモーションがされていたとは思えません。以下はサイケおやじの完全なる妄想ですが、ラスカルズ時代から人種差別に対する過激な抵抗姿勢を示していた過去と無関係ではないのかもしれません。

まあ、それはそれとして、内容は本当に熱くてカッコイイ! ハートウォームにして一抹の胸キュンフィーリングも、サイケおやじの感性にはジャストミートしています。そしてなによりもフェリックス・キャヴァリエの歌いまわしが、あの「グルーヴィン節」にどっぷりなんですねぇ~~♪

実にカッコ良すぎるパワーポップなA面ド頭「A High Price To Pay」は、ブルーアイドソウルの1970年代的な進化系でしょうし、ブルースロックとフィリーソウルが融合したような「I'm A Gamblin' Man」、カントリーロックの「I've Got A Solution」に続く「Everlasting Love」は一転してラテンロックなんですが、何れもフェリックス・キャヴァリエが持ち前の暑苦しくなる寸前という凝縮歌唱で聞かせてくれるメロディの良さは、後のAORに直結するものかもしれません。しかし決して軟弱ではありませんよ。

実に熱く、力強い情熱に溢れています。

それは白人ソウルがど真ん中の「Summer In El Barrio」から「Long Times Gone」へと続くA面の終盤の気持良さに収斂していくのです。

そしてB面では、いきなりのハイライトが「Future Train」で、まさに当時の流行だったフィリーソウルの味わいをロック的に解釈した名曲名唱の決定版! シンセを多用したキーボードロックでもあり、ソウルビートとファルセット系コーラスも最高に気持良いという、後のホール&オーツにも通じる私の大好きな世界です♪♪~♪

そういえばプロデュースを担当したトッド・ラングレンは同時期にホール&オーツのアルバム「ウォー・ベイビーズ(Atlantic)」を手掛けていて、しかも両方とも売れなかったというあたりが意味深でしょうか……。

ちょいと話はそれますが、当時のトッド・ラングレンと言えばプロデューサーとしてはグランド・ファンク・レイルロードを再ブレイクさせ、また自己名義のシングルヒットも放っていた上昇期でしたからねぇ。売れずとも良質な音楽をクリエイトしていたのは、後追いするに充分な価値があったと、何時も言い訳しているのがサイケおやじの本性です。

そうした流れの中ではレゲエやサルサなんていう、これも当時の流行が入った「Mountain Man」や「Been A Long Time」も潔く、タイトルに偽り無しの「Funky Fliday」では、あえてロック寄りの音作りで迫って来るあたりが、完全にトッド・ラングレンの世界じゃないでしょうか。

それはオーラスの「I Am Free」で、アルバムの流れを完全に覆すようなプログレハードな世界を展開するという、まさに禁じ手の締め括り!

ちなみにセッションに参加したのはトッド・ラングレン(g,key) 以下、ジョン・シーグラー(b,key)、ロジャー・パウエル(key)、ケヴィン・エルマン(ds,per) という後のユートピア組がメインになっているのも、なかなか味わい深いところですから、ラスカルズ時代のフェリックス・キャヴァリエが十八番としていたソウルフルなオルガンやピアノの響きは薄れています。

しかし、それゆえでしょうか、フェリックス・キャヴァリエのボーカルに逆の意味での黒っぽさが強く滲み出ているのも、また事実だと思います。そしてシシィ・ヒューストンやジュディ・クレイといった有名女性コーラス歌手とのコラポレーションも最高♪♪~♪

またランディ・ブレッカー(tp) やバリー・ロジャース(tb) 等々の超一流ホーン隊の熱演も聴き逃せません。

ということで、シブイ中にも実に熱気溢れるアルバムです。

言うまでもなくフェリックス・キャヴァリエは山下達郎に影響を与えた歌いまわしが大きな魅力ですから、両者の共通的にシビレるのも許されるところだと思います。

近年はCD化もされているようですから、お楽しみ下さいませ。

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