OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

カリフォルニアに憧れた歌

2010-01-21 11:59:50 | Pops

夢のカリフォルニア / The Mamas & The Papas (Dunhill)

今となっては、何故もあそこまでアメリカ西海岸、所謂ウエストコーストが持て囃されたのか不思議になるほどですが、しかし実際、何時も青空が広がっている開放的な雰囲気は、やっぱり憧れの地だったのが1960年代を知っている者には共通の認識だったと思います。

で、そんなイメージを増幅させたのが、あまりにも有名な本日ご紹介の大ヒット曲「夢のカリフォルニア / California Dreamin'」でしょう。

ハリウッドポップスとフォークロックの美味しい部分を抽出凝縮し、最高に上手く融合させたサウンドと曲メロの素晴らしさ、気だるく、そして爽やかなコーラスで歌われる自由の天国を綴った歌詞より、カリフォルニアという理想郷の存在が世界に広められたのです。

まあ、しかし現実は明らかに違っているわけですが、そんなドロドロしたものを打ち消してくれるだけの力が、この歌にはあったということだと思います。

そして演じているママス&パバスは、主な曲を書いているジョン&ミシェール・フィリップスの夫婦、太った天使と呼ばれたキャス・エリオット、シブイ歌声のデニー・ドハーティという男女混声の4人組でしたが、メンバーは本来、ニューヨーク周辺でフォークソングや伝承ブルース曲を歌っていたキャリアがありました。

また、今では良く知られているように、ママス&パパスはアメリカの音楽業界では敏腕プロデューサ&マネージャーとして活躍していたルー・アドラーのプロジェクトだったわけですから、つまりは東海岸のハードな部分とハリウッドの虚構が巧みに混ぜ合わせられた、ある種の産業ロックだったという解釈もあるようです。

それは実際、この「夢のカリフォルニア」で聴かれる演奏パートが、間奏のジャズっぽいフルートや完璧なビートを提供するスタジオミュージシャンの助太刀によって作り出された点を考慮しても、あまりに業界主導の成果として、イヤミさえ感じられるほどの素晴らしさだと思います。

だからこそ、「夢 / Dreamin'」という言葉が、最高の効果を上げたのかもしれません。

とにかく「夢のカリフォルニア」は1966年に世界中で大ヒットし、我国でも国民がアメリカに、まだ純粋に憧れていたリアルタイムで大当たりしています。と、同時に、ママス&パパスの歌声から滲み出る一抹の儚さも魅力的に感じられ、それは追々、日本人にも分かってくるわけですが、そうした光と陰が甘酸っぱい1960年代の魅力に繋がっているのも事実でしょう。

今日、ママス&パパスといえば、完全に「夢のカリフォルニア」だけといって過言ではないと思いますが、ジョン・フィリップスは他にも素敵な曲を沢山作っていますし、グループとしてジャストミートするコーラスの魅力、その時代を象徴する存在感は、例え意図的に作られたものであったとしても、所謂ヒッピー文化のひとつの側面として評価されるべきでしょう。

いや、そんなことよりも、素直にママス&パパスの音楽を楽しむことが第一義でしょうねぇ。実際「Manday, Manday」「Dedicated To The One I Love」等々、他にも出ているヒット曲は、心地良いものばかりですよね。イーグルスが登場する前までは、このあたりがアメリカ西海岸に憧れる源のひとつだったのです。

そして連日、書いているうちに理屈が先行してしまうサイケおやじは、この歌を聴きならがら、反省しているのでした。

コメント (4)
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