OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

デヴィッド・Tのメロウファンクなギターが好き♪

2010-01-29 12:25:18 | Soul Jazz

Press On / David T. Walker (Ode)

今では固定ファンも大勢ついているデヴィッド・T・ウォーカーも、1970年代には単なる凄腕のセッションギタリストでした。しかし、一旦でも、とろけそうでメロウな味わいと激しく熱いソウルの虜になったが最後、中毒症状は必至!

そう言い放つサイケおやじにしても、最初にデヴィッド・T・ウォーカーを強く意識したのは、キャロル・キングのアルバム「ファンタジー」を聴いて以降なんですが、実は後に知ったところからすれば、以前にも私は、この名人のギターを無意識に聞いていたのです。

何故ならば、1960年代からプロとして活動している多くの黒人ギタリストの例にもれず、デヴィッド・T・ウォーカーもまたモータウン系列のスタジオセッションや巡業バンドで働いていたからですし、一番有名なのはジャクソン・ファイブ関連の音源のほとんどに参加していると言われています。

また一説によれば、リトル・リチャードのバックバンドではジミヘンと一緒だったこともあるとか!?

まあ、それはそれとして、とにかく1970年前後から世に出たR&Bやソウルジャズ系のレコードに参加したクレジットは、当時からようやく表記されはじめた裏ジャケットを見る楽しみにも繋がりましたですね。

で、本日ご紹介のアルバムは、そんな下積みから業界で評価された頃に作られたリーダー盤のひとつで、発売されたのは1973年頃らしいです。というのも、私が入手した経緯は当時、楽器屋に集う諸先輩方に交じって前述の「ファンタジー」とデヴィッド・T・ウォーカーの話をしたところ、強く勧められたというのが真相です。

ちなみに当時の楽器屋は、そうした情報交流の場としても、世界が広がっていく場所でしたねぇ、今とちがってネットも無い時代でしたから。

そして私が入手したのは既に翌年になっていましたが、一聴、シビレて驚愕♪♪~♪

 A-1 I Got Work To Do
 A-2 Brother, Brother
 A-3 Press On
 A-4 Didn't I Blow Your Mind
 A-5 With A Little Help From My Friends
 B-1 Superstition / 迷信
 B-2 I Who Have Nothing
 B-3 If That's The Way You Feel
 B-4 Save Your Love For Me
 B-5 If You Let Me

メンバーはデヴィッド・T・ウォーカー(g,vo) 以下、チャールズ・ラーキー(b)、ハービー・メイソン(ds)、ボビー・ホール(per) が中核となり、ジョー・サンプル(key)、キャロル・キング(p,vo)、ジェリー・ピータース(Key)、オスカー・ブラッシャー(tp)、ジョージ・ボハノン(tb)、アーニー・ワッツ(sax,fl)、さらに女性コーラス隊やストリングス等々が適宜加わった、これはほとんどキャロル・キングの「ファンタジー」とクリソツな編成ですから、たまりません♪♪~♪

しかし、もちろん主役はデヴィッド・T・ウォーカーのギターに他ならず、またアイズレー・ブラザースの「I Got Work To Do」、キャロル・キングの「Brother, Brother」、デルフォニックスの「Didn't I Blow Your Mind」、スティーヴィー・ワンダーの「迷信」、ロバータ・フラックとダニー・ハザウェイが当時カパーヒットさせていた「I Who Have Nothing」、ナンシー・ウィルソンの「Save Your Love For Me」、エディ・ケンドリックスの「If You Let Me」等々、全篇が極めてニューソウルな選曲ばっかりというのも、嬉しいかぎり♪♪~♪

それらが最高にカッコ良いソウルインストで演じられているのは言わずもがなでしょうが、デヴィッド・T・ウォーカーはウェス・モンゴメリーやケニー・バレルあたりのモダンジャズのギタリストからの影響も隠せませんから、例えばビートルズの「With A Little Help From My Friends」は原曲をほとんど感じさせない変奏として、さらにファンクとジャズをゴッタ煮とする裏ワザが凄いところ! 前述のホーンプレイヤーも熱気に満ちたアドリブを聞かせてくれますよ。

ちなみにデヴィッド・T・ウォーカーはピックと指弾きを混在させるピッキングで、あの独得の甘い音色とフレーズを紡ぎ出していると思われますが、ギターそのものにも妙なアタッチメントは繋がず、それでもワウワウとかの使い方は従来から相当に進化したテクニックが強烈無比!

例えばオリジナルバージョンよりもグッと重心の低いグルーヴで演じられる「迷信」でのワウワウは、ニューソウルが明らかにサイケデリックロックの黒人的解釈という説を証明するものでしょう。まさにジェフ・ペックと双璧のエキセントリックでエグイ、本当にゾクゾクしてくる演奏です。

そして今となってはお目当てのメロウなプレイは、既にして全開♪♪~♪

いきなりトロトロに甘く歌いまくるギターが最高の「Brother, Brother」、井上バンドが大野雄二したような「I Who Have Nothing」は、実はこっちが元ネタという本末転倒がニクイばかりですし、シミジミとした情感が黒人音楽特有の色気を滲ませる「Didn't I Blow Your Mind」は、愛おしい女とのふたりの時間がお楽しみ♪♪~♪ 必ず、オチます!

という結末に相応しい「Save Your Love For Me」も、あぁ、本当にせつないほどに感情移入しまくったギターソロが、まさにデヴィッド・T・ウォーカーでしかありません。粘っこいスローグルーヴのお手本のような全員の演奏も素晴らしいですよ♪♪~♪

その意味でアルバムタイトル曲の「Press On」は、自身のボーカルを前面に出したファンキーなヒット狙いなんでしょうが、この人の歌いっぷりもなかなか好感が持てますよ。もちろんバックの演奏パートもカッコ良すぎます♪♪~♪

ということで、デヴィッド・T・ウォーカーの魅惑のギターが存分に楽しめますし、ビシバシにハッスルしたハービー・メイソンのファンクなドラミング、ツボを外さないベースやピアノ、キーボードの使い方も実に滋味豊かな演奏ばかりですから、何度聴いても飽きません。

そこにはファンキーなカッティング、メロウなピッキング、選び抜かれた「音」だけによる珠玉のフレーズ等々、所謂ソウルフィーリングがテンコ盛り! しかも、そのセンスが実にお洒落で大人の味わいであると同時に、イナタイ青春の情熱みたいなものもあって、深いです。

それはデヴィッド・T・ウォーカーという黒人ギタリストの人間性にまでも迫る「何か」なんでしょうが、残念ながら、私は本人を演奏を通じてしか知る由がありません。

でも、それで十分ですよねぇ。

だって、デヴィッド・T・ウォーカーは素晴らしい演奏を幾つもレコードに残しているのですから。う~ん、最高♪♪~♪

コメント
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