ベニシジミと、サスケの喧嘩。

　ちょっと前のことになるが、サスケがケンカをして帰って来た。玄関前に白い毛がたくさん散らばっていた。
　その日から翌日までソファーに座ったまま、動かなかった。いつもなら朝早く起こしに来て、外へ出たいとアピールする。あれから一度だけニャンと鳴いて起こしに来た。ニャンというより浪曲師のしわがれた声で、驚いた。

　今日になって、アゴの部分に毛が無くなって、血が滲んだ皮膚が丸見えになった。かーっ。これでも遊びに行くってか。しょうがない。リードを付けて、朝から何度か外へ出してやった。
　したらいつの間にか、脱走しやがった。病み上がりで、無茶をしなきゃいいが。と心配で親の気分。

　庭でベニシジミを撮っていたら、ニャーと声がする。サスケだ。お隣の庭から、何してると声を掛けてきた。
　おお、無事だったか。良かったな。

　動物を見ていると、遊ぶ時と休む時を心得ている。遊びたくても、養生が必要な時は動かない。そして薬も使わず、自分の免疫力だけで治す。

　医者に連れて行こうか、何度も迷った。しかし本人が元気で、動けるなら大丈夫だろうと見守っている。

　人間も、こう、ありたいものだ。

　ワクチンが無くても、大丈夫な気がするが。

　まあいい。中に極小のＩＣチップが入っていない事を祈る。

　オレは別に、監視されても構わんが。