松美の言絵(いえ)

私は誤解されるのが好きだ。言い訳する手間が省けるから。

幸せの極致とは、これの事?

2015-03-23 13:00:44 | 日記・エッセイ・コラム

 今年も「新酒・利き酒、早春の宴」へ行ってきた。場所はサンルーラル大潟とやや遠いが、迎えのバスが出る。秋田からも出ているが、追分で一人待っているのは辛いので友人のいる男鹿まで行って、男鹿市役所前から出るバスに乗る。しかし近年、男鹿勢は衰退の一途で今やボク達二人だけになってしまった。だからマイクロバスからワゴン車、ワゴン車からついに乗用車になってしまった。その代わりかなり融通を利かせてくれる。今回は商売をやっている友人のために、店の前で待たせてもらった。

 6時に始まる宴会に対して5時過ぎには到着してしまうのだが、残った時間は有効に使う。出品作品銘柄一覧という紙が、時間を忘れさせてくれる。これで今日は何から行くか、じっくり品定めをする。えーと、なになに、太平山は純米大吟醸「天功」無濾過生。「無濾過・生」なんという、いい響きなんでしょう。それに純米吟醸も「津月」という無濾過生を用意している。私の好きな「日本酒度プラス2.0とある。しかも酸度2.0。理想的ですな。酸度2クラスは結構酸味を感じる値になる。甘くて、辛くて、酸味のあるのが、私の大好物だ。まず、これからいくべえ。あれ、飛良泉が軒並み甘口になっている。どうしたこった。大吟醸でマイナス1.0。山廃純米で№77と名の付いたサケはマイナス4.0で、酸度が3.9。これはかなりの酸っぱさだ。実はこれに相棒がハマってしまった。一杯もらいながら飛良泉の人に聞くと、従来の辛口も作っているそうだ。時代は変わりつつある。一時10.0を超える超辛口が主流の時代もあった。ようやく時代が私に追いついてきた。もうひとつ、すごいのを見つけた。高清水・デザート純吟。なんと日本酒度マイナス35。酸度は3.5。これはもう日本酒のイメージから逸脱しているかもしれない。もはやワインの境地だった。こういう酸味の強いやつは、料理の味を引き立てる。実に料理に合うのだ。相棒は77が気に入り、3杯おかわりしていた。私は津月が気に入り、2回足を運んだ。ほかにも全30銘柄、自信作を持ってきているので、どれも旨い。それでもすべて味の違いが分かる。

 この幸せな時間は、経験した人にしか分からないと思うが、10人掛けのテーブルが30あっても、どんなに周りが騒がしくても、目を閉じてグラスを傾ければ、至福の境地に至る。どんな合法的な薬をもってしても、到達できないだろうと思えるほど、幸せを感じる。

 1万円の会費を払っても、まったく惜しくない。それどころか今回に限っては、抽選で見事、桐箱入りの大吟醸をゲットした。そして抽選会の後は、味見で口の開けられたビンが、早い者勝ちでチャリティ値段で分けてもらえる。真っ先に「津月」に向かった。前に3人いたが、最後の1本が残っていた。千円で、少しだけ減った一升瓶をゲットして大満足で帰ってきた。相棒は、あらかじめバッグを用意しただけあって、大小四合瓶も合わせて、底が抜けるほどの収穫を持ってきた。1年に1度だけの、贅沢な1日だった。

コメント
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