家具屋の争いに興味はないが、あの女の顔からはまったくオーラを感じない。人相が良くない。誰もが忘れた頃、ひっそりと人生の落日に浸っている姿が浮かぶ。どうでもいいことだが。
「そもそも科学というのは、どのような仕組なのかを追求するものです。なぜそのような仕組が存在するのかと問われても、答えられません。私たち科学者に言えるのは、どのようにして神秘的な感覚が生じるか、だけです。なぜか、という問いへの答えはそれぞれの人の信念にゆだねるしかないのです。」これは立花隆がネルソン博士に質問した時の答えだ。神秘体験をしている時の脳は、「明晰夢」をみている状態と良く似ているそうだ。明晰夢とは、夢と自覚しながら見る夢のことだ。この状態になると、どんな事も体験することができる。翼なしで空も飛べるし、猛獣と格闘して勝つこともできる。もちろん理想の女性をはべらせることも可能だ。神秘体験を、脳の働きで説明することは、かなりのところまでできる。しかし立花隆がネルソン博士に聞きたかったのは、その先だ。だから「なぜそんな能力が人間に備わっているのか?」という質問をした時の答えが冒頭の説明だ。科学者ってえヤツは、いつもそうやって逃げる。確かなことしか言わない。まるで頭の白くなった、黄色いサルに、諭すように。少しは英語が話せる、黄色いサルが、生意気なことを聞くが、これ以上は教えてやるもんか、と私には聞こえる。立花隆が濃い顔ならば、相手の反応は違うかも知れないと思う。
写真は、能代火力の温室に咲く「ヒスイカズラ」。魅力的な色彩を持っています。