日中の作業は夕食の後に疲れがどっと出る。
積み重ねた疲労と、一杯の晩酌お手伝って・・・
まだまだ・・・と若気の思いとはうらはらに、以前とはやっぱり違うのだ。と。
自分を説得する。
ウグイスの声から~蝉の声に変わってきたこの頃。
ちょっと蒸し暑さも手伝って・・・夜もしのぎにくくなってきた感じです。
寝る前に本のページを捲るには~近頃は、遠慮していた。
どうも行を進めるには、歳のせいか眠気が急に襲ってくるようになって
次の日には 読んだところの記憶も薄れている・・・これじゃ進まない。
こんな読み方があった・・・葉室麟さんのデビュー作「乾山晩愁」
この1冊には、5編
「乾山晩愁」「永徳翔天」「等伯慕影」「雪信花句」「一蝶幻景」
それぞれ絵画の天才・尾形光琳、陶工尾形乾山
狩野派の狩野永徳、 そして同じ時代のライバル長谷川等伯、
さらには狩野探幽を大叔父にもつ清原雪信、
そして江戸元禄時代の絵師 英一蝶・・・・
この収録した力作が 25~40ページくらいなので読みやすい。
しかも、興味ある「絵師」がずらりと・・・
意外な物語も挿入されており・・・飽きずに読むことができた。

なかでも・・・「一蝶幻景」では
絵師多賀朝湖(のちに画号を「英一蝶」)が俳諧師たちとの触れ合い
芭蕉とその弟子たち。 宝井其角、服部嵐雪、山口素堂・・・
さらに 大奥のどろどろした内輪話などに首をつっこみ・・・
挙句のあてに、「島流し(三宅島)」で 12年後に江戸へ戻る
等々 興味満載。
出だしに・・・一蝶の由来?
「白い蝶の群れは、道を横切っていく。
四、五十は いるのではないか、と見える蝶が一塊になったかと
思うと帯のように細長く連なって宙を舞っていた。」
ゆらめく蝶の群れは不気味な思いを心のどこかに残した。
文中にも、俳句が沢山紹介されており ワクワク・・・
こんな句から 「目に青葉 山ほととぎす初鰹」 素堂
芭蕉が「野ざらし紀行」の旅の前に

「野ざらしを 心に風の しむ身かな」
「笈の小文」に
「旅人と わが名呼ばれん 初しぐれ」
また 朝湖と其角が 話の合間に 掛け合いで
朝湖 「あさがほに 傘(からかさ)干して 行く程ぞ」
其角 「しばしとて あさがおに借す 日傘(ひからかさ)」
「虚栗」に掲載
芭蕉亡き後 其角が江戸一番の俳諧師となっていた。
その頃、 日照り続きのため地元の百姓に雨ごいの句を所望され
「夕立や 田を見めぐりの 神ならば」 と詠むと・・・
さっそく雨が降り、江戸中の評判になった。
面白いのが・・・例の赤穂浪士の話。
大高源五と富森助右衛門の二人の 其角との出会いがあり
源吾が「子葉」 助右衛門が「春帆」の俳号。
其角が討ち入りの前日 両国橋の橋詰で笹売り姿の源吾とばったり。
其角 「年の瀬や 水の流れと 人の身は」と 詠んだ。
これに対して源五は
「あした待たるる その宝船」と 大望を持つ身であることを
ひそかに伝えたという話が広まった。
これ実際のことではなかった・・・江戸で人々は人気者の其角と
赤穂浪士を結び付けたかった? ・・・
短編は 分かりやすくて 読みやすく 眠りの前には効果的。
疲れも誘って・・・ぐっすりと・・・
夢の中に蝶が舞ってくるかも?