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黄昏どきを愉しむ

傘寿を過ぎた田舎爺さん 「脳」の体操に挑戦中!
まだまだ若くありたいと「老い」を楽しんでま~す

「長谷川等伯」に酔う

2012-12-16 | 日記・エッセイ・コラム

この3日間昼夜? を通して猛読をした。

安部龍太郎の小説「等伯」である。

近くの先輩が声を掛けてくれ・・・あんたにぴったりの本がある。

持っていくから読んでみたら。

渡されたのが、それが題、「等伯」の上下2巻(700pの長編)

この安部龍太郎さんの著書は、以前にも「信長燃ゆ」「天下布武」

を読んでいました。

戦国物が多く、私の好きな時代にスポットを当て、好きな作家の一人。

福岡県出身でもある。

私は、絵を描くので、「等伯」の名前を聞けば・・・

あの国宝「松林屏風図」が直ぐに浮かびます。

Abe_003

昭和48年だったと思いますが、東京で、国立博物館で一般公開された時に

この絵を初めて見たときの感動は忘れられません。

絵を趣味に持ち、特に水墨画をと思う人にとっては一度は見たい。というもの。

その画家がテーマ? これは新しい感覚だと。

時代は、戦国、信長、秀吉の一番面白い舞台の中で、この画家が

どう生きて来たか? 小説になるのか?

いや、長谷川等伯についての詳細は頭になかったので。

ざっと、ネットで調べ、彼の歴史を検索しておいた。

第1章 京へ  の書き出しに、 

「雨だった。頭上にたれこめた・・・・

「上背は五尺八寸、百八十センチちかい長身なので、蓑をまとうといっそう

大きく見える。 」  

これにまず、びっくりでした。

あの、繊細な絵から見て、想像できない巨漢? 

(絵描きが繊細で細身という定義はありませんが)

この一行で、興味が出てきた。

最初から、ぐいぐい引っ張られる感じで・・・・

あとは久しぶりの一気読みが始まりました。 ほとんど集中しました。

Abe_002

いやぁ~、出てくる、出てくる。 戦国のスター?が総出演です。

もう、一気にページ捲りを続けるしかありません。

北陸が舞台の始まり、畠山家、浅井・朝倉、越後の謙信、信長

狩野派の面々・・特に「永徳」

前半は、「信長」の戦いを中心に、等伯(このころは、又四郎信春~等白~等伯へ)

の出自が展開される。

また、この本は、絵の歴史の勉強にも一役ありです。

全編にわたり、「狩野派」の凄さ、また、等伯が極めようとした「牧谿」も。

障壁画が、当時の権力者たちにとって、どういう意味を持ったか。

絵師たちの生き残りのすさまじさ・・・面白いし、興味深く勉強になりましたね。

かの、信長一世一代の「安土城」の障壁画、そして本能寺の変以後の

秀吉との確執、千利休との交わりと、その惨いまでの最後のシーン。

これはもう、画家の一代の物語を超え、戦国の舞台の総集編?

その終幕に「松林図」が燦然としてこの主題を締めくくったともいえる。

3日間、猛然と読み切った・・・・・。

人間にとって、「1枚の絵」は何か?

その絵の意味するところを読み取る「心眼」を持つまでには、その人の

人生の弛まざる努力の積み重ねがなければとも。

また著者の一言に。

「・・絵師なら多くの作品が残っているので、四百数十年の時を超えて直に

対話することができる」と。

1枚の絵が、これほどの重みをもって読者に迫ってくるのは凄いこと。

「国宝」になるほどの1枚。 

等伯という、一人の人間の一生であり、「もがきの境地」から脱出した成果の

1枚なのだ。

大いに疲れた1冊であり、新鮮な味わいを感じ、絵筆をもちたいと触発された。

来年のチャレンジは「筆」だな・・・・・。

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続 黄昏どきを愉しむ

 傘寿を超すと「人生の壁」を超えた。  でも、脳も体もまだいけそう~  もう少し、世間の仲間から抜け出すのを待とう。  指先の運動と、脳の体操のために「ブログ」が友となってエネルギの補給としたい。