徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「僕等がいた」(後篇)―出会いの前篇に続くその後の主人公たちのメロドラマ―

2012-05-07 12:00:01 | 映画


 この映画の前篇は、初恋の甘いムード全開だった。
 さて、後篇はどうか。
 三木孝浩監督は、少し大人になった若者たちをどう描いたか。

 ・・・あの日、確かにここにいた。
 何度も、失敗を繰り返した。
 それでも、永遠があると信じていた。
 出会い、失い、そして最愛を信じたという、永遠の(?)純愛物語の、未来を誓った運命の後篇が完結する。
 メロドラマの常道をたどって迎える、この物語の結末は、はたして・・・?








           
6年後、東京・・・。

大学を卒業し、出版社に勤め、多忙な日々を送る七美(吉高由里子)がいた。
その七美のそばには、矢野(生田斗真)ではなく、彼女を見守り続けてきた竹内(高岡蒼甫)の姿があった。

ある日のこと、七美の出版社の同僚で、矢野の転校先の同級生だった千見寺希子(比嘉愛未)から、矢野を目撃したと知らされる。
空白の6年間に、矢野に何が起こったのか。
何故、矢野は七美の前から姿を消したのか。

両親が離婚することになって、矢野は、母親と東京に越すことになった。
矢野は、最初のうちは恋人七美に毎日のように電話をかけていたが、母親の失職、ガン発覚、闘病が重なり、あげくの果てにその母の自死という最悪の環境の中で、七美への電話さえもままならなくなっていたのだった。

釧路で電話を待ち続ける七美は、ひたすら矢野を信じていた。
七美は東京の大学に進学し、卒業して就職したが、矢野とは一度も会えないままだった。
その間、たえず七美を慰めていたのは竹内だったが、その竹内がついに七美にプロポーズを・・・。

そんな時、七美は千見寺から、矢野を目撃したとの話を聞かされたのだ。
七美の心は、矢野への抑えがたい想いと、竹内の愛情の狭間で揺れ続けた。
そして、七美は、迷いながらも、ある決心ををするのだったが・・・。

かつて、「君の名は」(菊田一夫原作)という人気ドラマがあったが、この作品もそんなメロドラマの展開をたどる。
後篇は、やや大人になった彼らの、男と女のそれぞれの思惑が交錯し、かつてのふわふわしたどこか頼りない恋愛から、どろどろとした大人の恋愛へと変わっていく。
矢野と七美のすれ違い、竹内の裏切り、矢野と有里(本仮屋ユイカ)の秘密の暴露といろいろある中で、もちろん推敲不足と思われるような筋書きやお膳立ても目立つが、後篇は、前篇のくだくだしたドラマより数段よくなった。
これは、前作の比ではないと感じ入った。

この映画は、前篇を見ていなくても、後篇だけでも十分物語としては理解できる。
それから、あえて言えば前後篇の二部作にする必要はなく、全体で2時間のドラマ1本にまとめあげたほうがいい。
それは十分に可能だし、その方が、よりメリハリの効いた作品となったのではないか。
登場人物の年齢が、俳優たちの実年齢に近くなったことで、まあ多少違和感もなくなった。
ドラマがメロドラマなのは相変わらずで、とくにこれといった新味を感じるものではない。

多感な思春期から大人の青春期へ、時は流れ、人は変わろうとも、記憶は単なる思い出に変わってしまうのか。
このドラマの終盤には、原作とはまた違った、映画オリジナルの運命の完結編が用意された。
三木孝浩監督映画「僕等がいた」(後篇)のラストシーン、それは、北海道釧路の廃校となる、母校の屋上にひとりたたずむ七美の姿を映し出していた。
あの頃の、眩しい記憶がよみがえるなかで・・・。
それにしても、累計1200万部突破というベストセラー、小畑友紀の大人気コミックには恐れ入りました。
     [JULIENの評価・・・★★★☆☆](★五つが最高点