足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

NY株の低迷の根底には転換のサインも

2011-11-23 09:50:15 | 株式

ウォール街でも気迷い人気が強く方向感の明確な回答を控える向きも多い。

そのような雰囲気の中で一部のテクニカル・アナリストは「いま株を買わない手はない」と強気の見方を強調するアンリストも散見される

S&P500は第2次大戦以降の相場では年の後半は6.8%の上昇を記録している。ことしの6月末は1320であったので、昨日のS&P5001189は売られ過ぎ。S&P社で過去の経験則を分析するサム・ストーバルの分析によると「戦後の相場で今回のような低迷相場が年末まで続いたケースが8回あったが、この場合には、先行き底入れするとその後3ヵ月間で+13.5%、同6ヵ月では+23%上昇した」。

また先に「トリトンスクエア通信」でも紹介したマッククレナン振動計という分析ツールによると今週初めの指数が大幅な低下を示し10月初めの相場の底入れ時と同じ水準になった。

ユ欧米の株価は混迷からは抜け出せない。

ーロ問題、米国議会での歳出削減問題の挫折などの材料を織り込んで相場は低迷するが、根底にはエネルギーが溜まり、底値を固めているともみられる。


バフェットの意図は?

2011-11-21 09:33:16 | 株式

ウォーレン・バフェットが来日し、福島県のタンガロイの工場の式典に出席する。

人生で初めての日本訪問である。

1960年以降、米国、英国を中心に投資家が日本株に投資し大きな成果を上げてきたが、なぜかバフェットは日本株には見向きしなかった。

バフェットの自伝「スノーボール」(日本経済新聞社刊)を読むと、かつてソニーの盛田会長のニューヨークの邸宅に招待され目の前で握られる寿司を出されたが、全く箸をつけなかったというくだりがある。「最悪だった」と後で語ったという。読んでいて感じたのはバフェットがなにか日本に対して一種の偏見をもっていて、招待にも気の進まないまま出席したのではないかと感じさせた。

ここ数年間は株主総会でも日本株について質問が出て「検討はしている」と返事を繰り返してきたが、動かなかった。

タンガロイは子会社イスカルの傘下にある企業で孫会社に当たる。そのような企業の式典にわざわざ出席するのには、なにか期するところがあるのかも知れない。

これまで一切、手を出さなかったハイテク企業のIBMへ大量の資金を投じた。

日本がいろいろな面で問題を抱えているときだけに、バフェットの行動が注目される。


NY株の相対的な強さ

2011-11-19 08:03:27 | 株式

昨日の日経平均は8374円と引け値では9月の安値と同じ水準で終わった。

これに対してNYダウは11796ドルと9月の安値10733ドルを1000ドル以上も上回って引けた。ヨーロ圏でのイタリア、スペインの国債の下落で、今週のNY株は4日間がマイナスになったが、東京市場に比べると堅調である。

ECB(ヨーロッパ中央銀行)のドラギ総裁が記者会見でユーロ圏の金融市場の対策の強化を訴え、さらなる利下げをほのめかした。

米国株の相対的な強さは米国景気の予想以上の好調な景気指標の続出がある。昨日はJPモルガン、モルガン・スタンレーなどが第4四半期のGDPの成長率を+3.0~+3.5%に引き上げた。

昨日の米国のゲーム業界関連のサイトの「任天堂がSNSゲームに乗り出すことを促す」意見が出た。

米国の調査会社コーエン&Coによるとカジュアル層の26%が任天堂とソニーの携帯端末で遊ぶが、最近のSNSゲームは子の層の52%が参加している。任天堂の3DSの不調の原因の一つは人気が手軽で安価なSNSに移行したことにある。

いままで任天堂は頑なにSNSゲーム人気の影響度に反論してきたが、米メデイアは株価の下落で時価総額が大幅に減少したことに経営陣が反省すべきことを強調している。年末商戦の成否がゲーム業界の先行きを決定づけることになる。

金曜日の東京市場でもグリー(3632)やドリコム(3793)の株価が強かったが、この調査会社のデータを裏付けている。


世紀の投資家ビル・ミラーの退場

2011-11-18 07:49:54 | 株式

ユーロ問題はスペインに懸念が移った。引き続きイタリアには不安がくすぶるが昨日の入札ではスペイン国債が6.8%になり、危機ラインの7%に接近した。

ウォール街では足元の景気指標は好調な数字が出たが、株価は反応しなかった。

いまひとつ世界の投資家の間で話題になったのは世紀の運用者といわれたビル・ミラーの第一線からの引退である。来年4月にはレッグメイソンの旗艦ファンドであるバリュー・トラストの運用から降りる。

ビル・ミラーを有名にしたのは2005年までの15年間にわたって毎年S&P500を上回るという偉業を達成したことである。投信の世界での記録を打ち立てた。しかし2006年からこの5年間は不振で成果は業界でも最下位になった。

彼が長年にわたって成功を収めてきたのは金融とハイテクに集中投資したことである。しかしこの5年間はリーマンショックを経験し、ハイテクも不振であった。また石油株には批判的で手を出さなかったこともパフォーマンスが見劣りした主因になった。

ウォーレン・バフェットと同じようにアメリカ経済には全幅の信頼を持ち、株価の変動にもその信条はゆるがなかった。

ビル・ミラーの第一線からの離脱で思い出すのは2000年初めの10年間の最高の運用者といわれたブルース・バーコウィツの運用からの離脱である。フェアーホルム・キャピタルの経営者であったが、ことしの運用成果の不振で10月に経営から手を引いた。やはり金融株への投資の失敗が原因である。ソロスも年末にはカンタム・ファンドを閉じる。

この2人の運用の世界からの退場は現在の世界の市場の激変の象徴でもある。

常識の転換を市場が催促していることを痛感させられる。


ウォール街では銀行株が下落・・・・ユーロ問題

2011-11-17 07:45:15 | 株式

銀行株の下落が影響してNY株は大幅安。

格付け会社フィッチの「ヨーロッパへの貸し出しは現在は問題はないが、状況がこれ以上、悪化するようなら米銀にも問題が出る」という見方が金融株の足を引っ張った。

ユーロ圏ではイタリア、スペイン、フランスの国債相場が軟化している。

多くの機関投資家やヘッジファンドは10月相場の反騰でパフォーマンスが改善してきた。このようなトレンドが年内いっぱいは続くというのがコンセンサスになっていたが、ギリシアに続きイタリア、フランスなどの国債相場に影響が出始めたことは誤算であった。

これまではECB(ヨーロッパ中央銀行)が国債を購入してきたが、その単独行動にも限界が来るという見方が浮上している。IMFや米連銀の動きに期待する声も高まってきた。

米国の足元の景況は好調。昨日は10月の鉱工業生産が+0.7(予想+0.4%)と好調、小売の数字もよかった。また石油相場は上昇したがインフレは落ち着いている。むしろ需要の強さが注目される。

昨日の東京市場は10月初めの日経平均の安値8382円に接近したが、NYダウは当時の安値10665ドルまでは余裕がある。