足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

新しい風が吹きはじめた

2007-12-19 18:02:19 | 株式

1998年とのアナロジー(類推点)がある。

同年8月にはロシア危機が発生し、事実上、金融システムの破綻が出た。ソロスは「ここのまま放置すれば、ロシアは破産する」と警告、為替相場の大幅な切り下げとG7IMF500億ドル(56000億円)の金融支援を提言した。しかしG7IMFは動かず、結局、提案のうち、ルーブルの切り下げだけが実現した。

追いかけて9月下旬、大手ヘッジファンドのLTCMが破綻した。23億ドル(2500億円)の資産をもとに、900億ドル(10兆円)の証券に投資していた。ときとして100倍のレバレッジを利用することもあった。NY連銀が動き、ウォール街やドイツの銀行の協調融資36億ドル(4000億円)をまとめ破綻は避けた。

しかし、このような世界の金融市場の危機のため、既存の大手ヘッジファンドにも打撃を与えた。ソロスがカンタム・ファンドの運用をストップし、安定運用のファンド・オブ・ファンズに衣替えした。ジュリアン・ロバートソンはタイガー・ファンドの運用を中止した。

ヘッジファンドの危機が叫ばれたが、危機のなかに新しい芽が出た。

若手運用者たちによる新しいヘッジファンドの立ち上げである。これらの新しい勢力が今日のヘッジファンド業界の隆盛の基礎をつくった。1998年の危機を「チャンス」とみた人たちの挑戦である。

ゴールドマン・ザックスが100億ドル(11300億円)の株式専門ヘッジファンドを新設するという。社内で運用するが、外部のヘッジファンドとまったく同じ仕組みである。

新設のヘッジファンドの金額としては史上最大の規模である。

2004年以降の相場で運用手法をシュミレーションしたら+18%の成果が出た。

この動きをみて1998年当時が頭に甦ってきた。サブプライム問題で、新しい風が世界の金融に吹き始めた。

(おことわり)読者からご指摘いただき、昨日の本ブログの記事中、「1989年とのアナロジー・・・」の箇所の1989年は1998年の間違いでした。訂正し、お詫び申し上げます。 12月20日