先週末、米国での金融安定化法が下院を通過し、ブシュ大統領が署名し、いつでも不良資産の買い上げができるようになった。
世界中の投資家の最大の関心事であった材料であるが、金曜日の立会中に議会通過のニュースが市場には流れたのに、株価は下落した。
株式相場では、いままでよくあることで期待した材料が実現すると「材料出尽くし」で人気がマイナスに働く。その悪い習性が出た。
今回の米国の財務省が金融市場対策として最高の決め玉を投じたのに、市場参加者が見送ってしまったのはどういうことか?
ビジネス・ウイーク誌によると向こう4週間以内には買い付けがスタートするという。ポールソン財務長官はすでに実行に当たるメンバーは決めたようだ。元、ゴールドマン・サックスで一緒に働いた部下で、現在はハーバード大学で学校経営に携わるエド・フォースト。
入札に参加するのは銀行、投資銀行、保険、場合によればヘッジファンドも含まれるという。
ウォール街での百戦練磨の財務長官だけに、資金を投じるのは金融市場にできるだけ大きな影響を与える効果を考えるだろう。
対象は大手の金融機関から始めるのではないかといわれる。
すでに不良資産は時価評価をしており、安い価格で放出してもバランスシートにマイナスにならない銀行などが選ばれるのではないか。
現在、金融機関は資金が手元にあっても、それを融資には回さない。いつ大きな津波が押し寄せてきて、ベアースターンズ、リーマン・ブラザーズ,AIGなどの2の舞になることを避けているからだ。
世界の株価を左右するウォール街は、向こう2~3週間は、金融市場対策という材料面では空白期にはいる。
今週はいよいよ第3四半期の決算発表にはいる。火曜日のアルコアが皮切りである。
個々の業績が株価の材料になるとともに、市場の関心は連銀の利下げにある。
定例のFOMCである28~29日までに、臨時の会合を開いて決定する可能性もある。
東京市場の株価は短期的には売られれ過ぎの水準にきた。