足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

ヘッジファンドのマイケル・スタインハート

2007-05-12 18:19:40 | 株式

われわれは1990年代半ばから資産運用としてヘッジファンドに興味を持ってきた。

ヘッジファンドの成長は金融の世界ではもつとも著しく、ハイテクのインターネットのような存在である。

510日の日経新聞の夕刊には「ヘッジファンド資金膨張」という記事が第1面にのった。米調査会社HFRによると20071~3月の資金の純流入額は602億ドル(7兆2000億円)にのぼった。この数字は20071年間の約半分の額で、その流入の速度に加速度がかかってきた。

世界全体では3月末に15683億ドル(188兆円)になった。

数字を単純に年金運用の機関投資家や投信と比較は出来ない。ヘッジファンドはマクロ運用(為替、金利、指数先物、デリバティブに力点)になると運用資産の10倍ものレバレッジを駆使するので、188兆円の運用資産は少なくとも2~3倍の規模の力になる。東京市場を丸ごと買える金額である。

ただ最近のヘッジファンドの運用行動はますます多様化し、その行動を「いまヘッジファンドは・・・」として語ることが出来なくなった。

ヘッジファンドが1990年以降のポンド危機、1995年の円高、1997年のアジア金融、1998年のロシア危機、2000年のITバブル崩壊、2001年の同時テロ事件といずれも株価の大波乱を切り抜け、それらの事件をむしろ成長の「ばね」にしてきたのをみると、現在の繁栄振りはわかる。

最近の米バロンズ誌にマイケル・スタインハートが登場した。ヘッジファンド・フアンにとっては懐かしい名前である。1967年に設立し、現在もなお現役である。13歳から株式運用を始め、19歳でワートン・スクールを卒業した早熟の天才である。いままで損をしたのは1969年、1972年、1994年の3年だけで、長期的には年20%を上回る成果を残している。

“ロング(買い)もショート(カラ売り)もファンダメンタル分析が王様”と言う。

“銘柄選択の基本は利益と配当だ”と語る。

東京市場では20073月期の決算発表も後半戦に入る。今回の決算の特色は、経営者の先行きの予想数字は慎重だが、微減益の見通しを出しても、増配を決めるところが出てきたことだ。これまでには考えられなかったことである。先読みをする投資家へのメッセージである。

スタインハートのいう分析手法が銘柄選択に生かせる市場になってきた。

相場のトレンドを気にするより、ファンダメンタルで投資ができるようになってきた。