YS Journal アメリカからの雑感

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電気自動車の電力消費量

2010-05-10 08:55:13 | アメリカ自動車業界
もしアメリカの自動車(乗用車、SUV、ピックアップトラック)が全て電気自動車になってしまったら、アメリカの電気事情にどのような影響を及ぼすのか考えてみた。(データは2007年)

電気自動車の燃費(というかどうか?): 10km/kWh (三菱のアイムーブのデータ)
アメリカの自動車の年間総走行距離: 4,878,475,200,000km (3,049,047,000,000mile)
アメリカの電力消費量: 3,872,598,000,000kWh

アメリカの自動車は、アイムーブより重いので燃費はもう少し悪いと思うが、取り敢えず細工せずに考えると、全部電気自動車になると、電力消費量が12%アップする事になる。電気自動車は環境問題への対応がメインなので、局地的(都市部の公害削減)な問題を別にすると、この分の電力を、化石燃料以外で作らないとならない。風力や太陽発電では間に合わず、結局原子力発電という事になるであろう。電気自動車がガソリン車に性能で及ばす普及しないという要因が大きいが、発電量からも電気自動車の普及には疑問符が付く。

車に頼らず、公共交通機関の発達という発想もあるが、アメリカでは、はっきり言って無理であろう。

ちなみに、露店等でよく見るジェネレーターの排気量は 350CC 程度、家庭用(普通の一戸建て)のジェネレター(2000年問題の時にアメリカでは良く売れた)が 725 CC 思ったより小さな排気量であった。車のエンジンは、L4 2,000CC, V6 3,500CC 位が一般的である。目的が違うので単純比較は出来ないが、車を動かすエネルギーの大きさに改めて驚かされる。

アメリカで2億4千7百万台の登録があると考えると、アメリカ市場では少なくとも20-30年先までは、電気自動車はあだ花かニッチマーケットという結論以外にないであろう。(私は死ぬまで、内燃機関自動車に乗るぞー。)

今後車の需要が伸びると思われている中国とインドは、どのような自動車マーケットになるのであろう。有る程度人口密度が高いので、公共交通機関の充実に力を入れ、車(もしくは所有に)高い税金をかけて総量コントロールして、自動車は小型電気自動車で原子力発電とのセットでの発展を目指すのがベストの様な気がする。ロシア、ブラジルはアメリカ型のガソリン車でという感じになると思う。

こう考えると、エンジン、ハイブリッド、電気自動車の技術を持つ日本の自動車会社の未来は明るい。中国やインドが、欧米のメーカーを買収している隙に、その足元を戦略的に攻める好機の様な気がする。

最近タタの話題も聞かないが、あれもインドのあだ花だった(になる?)と思う。