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カクレマショウ

やっぴBLOG

直線と曲線と。

2005-03-08 | ■美術/博物
帰り道。雪に埋もれた風景の中で、「直線」を探す。電柱。ビルの壁。公園のベンチ。街灯。横断歩道の線。「四角いもの」。トラックの荷台。家の窓。信号の枠。ポスト。点字ブロック。

直線とか四角とか三角で作られているものは、すべて人工物です。ところが、積もった雪が描く線や木々、石ころ、遠くに見える山、砂浜など、自然のものはすべて不規則な曲線やぐにゃぐにゃの線で形取られています。

「自然には直線がない」。先日も書いた椎名誠氏の講演会で、とても印象に残ったのがこんな言葉でした。椎名氏は、演台のかたわらに置いてある生花を指さし、このように自然のものはぐにゃぐにゃです、と言い、次に演台を指して、人間が作ったこれはすべて直線でできています、と静かに語りました。自然界には月のように「円」はあるけれど、まっすぐな直線はない。人が作ったものはたいてい直線でできているが、直線ばかり見ていると時折疲れてしまうので、人は曲線を求めて旅に出るのだ、と。

なるほどな、と思いました。

ただ、性格的に「直線」が好きで、直線に囲まれていた方が落ち着く人もいるとは思います。それに、自然界にだって「直線」は存在するかもしれません。木漏れ日とか氷の割れ目とか、水平線とか。いちがいには言えないような気もしますが、自然界の「非直線」が作り出す美しさ、不規則なカーヴを伴った線が織りなす造形は、人間の手では絶対に作り出せないものであることは確かです。

人の顔だってそうですね。もし人の顔が直線ばかりでできていたら、お互い顔をみているだけで対人関係に疲れ果ててしまいそうです。ぐにゃぐにゃとした線で作られているからこそ、親しみもわくし、人を好きになれるし、そこにコミュニケーションも生まれるのですね。

規則的な直線と、不規則な曲線と。地球上にこの2種類があることがすばらしい。

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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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曲線の持つ魅力 (平井拓史)
2005-03-14 01:59:25
ご無沙汰しています。平井です。

黄金比について調べていたらたどり着きました。



私の好きな画家にフンデルト・ヴァッサーというオーストリアの人がいますが、やはり彼も「自然界に直線はありえない」と説いています。

実際に彼の手がける画や建築には魅力的な曲線が多用されています。



コミュニケーション上における曲線的な魅力についてお書きになられていますが、表情だけでなく「表現」という点においても、それは言えるのかも知れませんね。

ストレートであることは確かに強さを持っていますが、それは時に(間違った方向に働いたときに)完膚なきまでに人を傷つけてしまうことがあるように、表現にもある種のやわらかさ(=曲線)が必要なのかな、と。

無論、(方便と言いながら)嘘をつくことや婉曲したかたちで物事を伝えるのは良いこととは思いませんが、時として必要とされる、こうした“大人の事情”的な「コミュニケーション上の曲線」があることからも、曲線的なことの必要性みたいなものを感じます。
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奇遇だね! (yappi)
2005-03-14 23:22:44
やー、平井君、こんなところで会うなんて、しかも「黄金比」から出会うなんて不思議だね。



「表現」における曲線、いいこと言いますね。最近はしかし「直線」ばかりが目につくような気がしますね。だから余計に曲線的な接し方に惹かれてしまうのでしょうか。



方言には曲線が多いですね。



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