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地域ぐるみのキャリア教育へ

2006-10-17 | └キャリア教育
川崎市でキャリア教育に取り組むNPO法人「キーパーソン21」が、青森にキャリア教育のタネをまいてくれました。(社)青森青年会議所による仕掛けです。

夕べは、キーパーソン21の生みの親であり、代表理事を努める朝山あつこさんと、理事の谷中修吾さんによる講演会が行われました。「普通の母親」だった朝山さんが、なぜ学校でのキャリア教育の必要性を感じたのか、そこには朝山さんの子どもたちに対する熱い思いがありました。大人の役割は、子どもひとりひとりの「役割」を見つけてあげることで、それを学校だけに押しつけるのではなく、親も地域社会も一緒になって取り組んでいくことが大切だという朝山さんのお話には深く共感できました。

谷中さんは、キーパーソン21の取組を理論的に支える若き論客。彼の言う「地域教育プラットフォーム」の構築は、実は私自身の仕事にも大きな影響を与えています。キーパーソン21の場合は、「川崎市キャリア教育推進協議会」という、行政や企業、商工会議所などによる連携組織を作っています。講演が終わってから谷中さんをつかまえて聞いてみたところ、協議会は、けっこう頻繁に会議を開いているらしい。「とにかく集まることが大切」と谷中さんはおっしゃっていましたが、集まることで様々な情報のやりとりができることが、こうした連携組織を作る最大のメリットだと私も思います。

最後にお二人が提示してくれたのは、青森青年会議所を中心とした青森市における地域教育プラットフォームのイメージ図でした。キーパーソン21の持つノウハウをファシリテーター養成講座という形で全国に広めていきたい、青森市がその先駆けとなることを期待している、というものでした。

引き続いて、今日は市内の中学校で実際に「夢発見ワークショップ」をやってくださるというので、こちらも見学させていただきました。1年生4クラスを、キーパーソン21のファシリテーターが一人ずつ担当し、各クラスには4名ほどの青年会議所のメンバーがサポーターとして加わります。今日のプログラムは、「好きなものビンゴ」と「お仕事マップ」の2つ。

まずは「自分を知る」ための「好きなものビンゴ」。4人が1グループとなります。1人ずつ「好きなもの」を挙げていくことで、4人でビンゴカードを作るところから始めるビンゴゲームです。次に、別のシートを使って、今度は、「大切なこと(もの)」、「やってみたいこと」、「熱中したこと」を1つずつ挙げていくビンゴ。ふりかえりでは、自分が挙げたものの理由をそれぞれ書き出し、「大切なこと(もの)」、「やってみたいこと」、「熱中したこと」の意味を考えていきます。

休憩をはさんで、「世の中を知る」ための「お仕事マップ」。9マスに区切られたシートの真ん中に「自分の好きなもの」を1つ書き、周りの8個のマスには、「好きなもの」に関係する仕事を書き出していくのです。「野球」とか「バスケ」など、スポーツを好きなものに挙げている子がけっこう多かったのですが、たとえば野球なら、関係する仕事は「プロ野球選手」に限らないことに気づきます。「審判」、「グローブを作る人」、「球場職員」、「高校野球の監督」など、野球選手になれなくても、野球に関わる仕事はいくらでもあるのです。

最後に、その中から「気になる仕事ベスト3」を選んでいきます。

ファシリテーターの方もおっしゃっていましたが、今日「好きなもの」としたものは、もしかしたら「今日だけ好き」なのかもしれません。明日になれば変わるかもしれない。しかし、こうして自分の「好きなもの」を中心に据えて「仕事」を考えるというのは、ふだんなかなかできないことだと思います。仮にこれを毎日やっていけば、きっといつかは自分が「本当につきたい仕事」が見つかるんじゃないかなと、そんなことも思いました。

「夢発見プログラム」、中学生をぐぐっと引きつける、とても楽しいキャリア教育の手法だと思います。これを一過性のものとすることなく、学校のカリキュラムの中にどう取り込んでいくか。今日のワークは、私自身はキャリア教育全体の導入の部分で採り入れるのが最も効果的なのではないかと思いますが、キーパーソン21ふうにいえば、学校に合わせて「カスタマイズ」する必要もありますね。

今日サポーターとして参加していた青年会議所の方々は、2つのワークの進め方のノウハウをしっかりつかんだはずです(中には興に乗るあまり、ファシリテーターの進行を無視してグループの中学生と盛り上がってしまっている方もいましたが…)。また、後ろの方で参観していた保護者の皆さんも、今度は自分たちで企画してみることが十分可能だと考えます。

そんなふうに、自分たちなりにアレンジしたプログラムが、いろんな地域で生まれていけば、そこに「地域ぐるみのキャリア教育」の形がおぼろげに見えてきそうな、そんな感じがしました。

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