カクレマショウ

やっぴBLOG

「パネルディスカッションもどき」じゃなくて!

2012-01-30 | └社会教育

毎年この時期になると、文部科学省主催のキャリア教育関連のフォーラムみたいなのがあって、ほとんど毎年参加させてもらっています。

 

今年は、126日に「キャリア教育推進連携シンポジウム」というのがありました。今回は、経済産業省と共催で、両省が行っているいろんな表彰と引っくるめて行われたので、時間が長くてなるのは仕方ないとしても、中身の方もなんだかな~という感じ。

 

結局、プログラムとしては「基調講演」と「事例発表」さらに「パネルディスカッション」という並びになってしまうのですが、どれも、論点が絞り切れていないというか、だから何だったの?というか。

 

事例発表は、企業側の取組、学校側の取組と分けられていました。どれも、前にどこかで聞いたことのあるような事例。こういう事例を毎年たくさん聞かされてもなあ。ま、初めて参加する人もいるだろうから、それは仕方ないとしても、ただ、今回は単に「キャリア教育フォーラム」ではなくて、「キャリア教育推進連携シンポジウム」という名称だったので、新しい視点からの話しが聞けるのではと期待していたんだけどなあ。「連携」なんだから、学校と企業をつなぐコーディネーターが大事だよとか、そんな課題提起をしてくれるシンポジウムだったらもっとよかったのに。

 

それにしても、企業側の「事例発表」で、またもや「メッキ会社」が登場してきたのには驚いた。去年も一昨年も聞いた。もうこの事例を聞くのは何度目だろう? もちろん、中身的には素晴らしい取組だといつも思う。でも、そうそう毎年取り上げるのはどうかとも思う。いったい、別の新しい事例を見つける努力をしているのだろうか?

 

事例発表って、その事例から何を学ぶかというプログラム上の「仕掛け」が必要だと思っています(前にも書いたような気がしますが)。どんなに素晴らしい取組でも、「ああいう人がいたからできた取組」、「あの地域にしかできない取組」じゃ、得るものも少ない。「すごいな~」で終わってしまって、自分たちの地域や学校に持ち帰ることができないのですよ。

 

では、そうならないためにはどうしたらいいのか。

 

プログラム上の「仕掛け」として、たとえば、個々の事例に着目させるのではなくて、事例どうしの関連に目を付ける。そのためには、事例発表の内容も、予めフォーマットを示して、いくつかの共通のテーマで話してもらう。「このネットワークを作るのに苦労した点」とか「コーディネーターの楽しさ」とか。聞いている方は、全く別の事例だけど、お互いに共通の視点で聞くことができる。となると、事例を横に貫いてくれるコーディネーターの存在は必須。そう、私は事例発表(というか、事例研究=ケーススタディ)にこそコーディネーターが必要だといつも思うのです。

 

よくあるのは、「パネルディスカッション」という形の「事例発表」。本来、パネルディスカッションというのは、論点の異なる「パネリスト」が意見を戦わせるというものです。(ちなみに、「シンポジウム」というのは、本来、数人の「講演者」がリレー形式でミニ講演していくもの。)ところが、「パネルディスカッション」とうたいながら、実は単に事例発表と変わらない例が数多く見られます。パネルディスカッションだから、当然コーディネーターがいるわけですが、多くは、それぞれの事例に対してコメントするだけで、「横に貫く」ということをしない。だから、議論はちっとも深まらない。それぞれの事例を聞いて、ああなるほどなーと思うだけ。そんな「パネルディスカッションもどき」にはもう飽き飽きです。

 

ならば、いっそのこと「事例研究」にして、登壇者に3~4人の事例を短く発表してもらったあとで、コーディネーターが共通点・相違点について整理し、そのうえで事例発表者どうしで意見を述べ合う形にしたらどうでしょ? もちろん、フロアの参加者からも早めに意見や質問をどんどん出してもらう。フロアからの意見をどうさばくか、そこがコーディネーターの一番の腕の見せ所だと思います。

 

せっかく貴重な時間を使ってやるんだったら、ちゃんとプログラムを考えようよと思う。どんなカタチにすれば、参加者(学習者)が一番学びを深められるか、つまり「おみやげ」をたくさん持ち帰れるのか。どんなに素晴らしい講演でも、どんなに楽しいワークショップでも、その場だけの感動、その時間だけの楽しさだけじゃなんにもならない。たくさん「おみやげ」を持ち帰って、それを生かしてもらうためのプログラムを、企画者は一生懸命考えるべきだと思います。

 

今回、一つだけいいぞと思ったのは、事例発表の制限時間を守ってもらうために、最前列に陣取ったタイムキーパーが、「残り5分」とか「残り3分」という大きな札を、客席と登壇者の両方に見えるように掲げていたこと。しゃべっている人は、緊張してるし、夢中になってしゃべってるから、ついつい時間をオーバーしがち。あの札なら、嫌でも目に入るから終了時間はまず間違いなく守られます。聞いているほうも、残り時間がわかると、なんとなく安心して聞いていられますね。

 


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
同感です! (ナイルの風)
2012-01-31 21:49:18
やっぴ様。大変ご無沙汰しています。現在,ナイルの風邪状態になっています。さて,自分の反省も含めて、「すごいな~」で終わってしまって、自分の学校に持ち帰ることができない研究発表は本当に何とかしなければと考えています。その点,「軸」となるコーディネーターの存在は大賛成です。いよいよ2月は西高校観光学科にも参加してもらう「子ども環境サミット」があります。ぜひ,参加校の皆さんがおみやげを持って帰ることの出来る有意義な交流会にしたいと考えています。
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Unknown (やっぴ)
2012-02-01 00:26:29
子ども環境サミット、いよいよ2月ですか!
時間が取れれば、また、お邪魔でなければぜひ拝見したいと思っていますが、いかがでしょうか?

ナイルの風邪、どうぞお大事に…。
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大歓迎です! (ナイルの風)
2012-02-01 20:29:38
3学期は全学年のスキー授業を担当しています。今日も1年生と2年生の授業がありました。毎日の気温の低さに負けてしまったのです・・・。さて,子ども環境サミットは2月17日(金)9:30~12:30。十和田湖公民館で行います。青森市から来るのは大変だと思いますが,大歓迎です。本校の4年生は地域を誇りに思う心を育てる教育活動として「新・十和田湖伝説」の劇を発表します。
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