カクレマショウ

やっぴBLOG

不易の紅白歌合戦

2005-12-31 | ■テレビ/メディア
考えてみれば不思議な歌番組。いろんな世代の歌手が入れ替わり立ち替わり、ほとんど間髪を置かずに歌い継いでいく。一曲を聞き終わった後の余韻もへったくれもない。中島美嘉の「雪の華」がフェイドアウトすると同時にサブちゃんの「風雪ながれ旅」のイントロがかぶせられていくんだから。この2曲を「雪の歌をどうぞ!」でまとめてしまうえげつなさには、あきれるを通り越して感服してしまいます。

アイドル系、歌姫系、ヒップホップ系、演歌系、バラエティ系と、これだけいろんなジャンルの歌に津波のように襲われていると、逆に今の日本の音楽シーンの多様性というか、深さを感じずにはいられません。もちろん、今年のヒットチャートをにぎわせてくれたアーティストで紅白に登場しなかった人もたくさんいますが、とりあえずは今年の「顔」はそろっていたと言えるでしょう。そういう意味では、紅白は確かに「お買い得」と言えます。

また、今年の「顔」と同時に、北島三郎や五木ひろし、森進一、和田アキ子、石川さゆりといった、30年も40年も紅白に出場し続けている歌手の皆さんの迫力もすごいと思います。私なんかが子どもの頃からずっと日本の芸能界で歌い続けてきたのですから。

それでもやっぱり今の紅白には、違和感を感じてしまいます。「歌謡曲」がこんなに多様じゃなかった時代には、子どもからお年寄りまで共通して楽しめるものがもう少しあったと思うのです。サブちゃんの歌や天童よしみの「川の流れのように」を楽しみにしているおじいちゃんが、直前に歌われた「雪の華」に感動するとは思えない。

紅白が、多様性に象徴される時代を映す鏡と言うなら、それはそれでいいでしょう。しかし、逆に考えて、もはや時代に超えて一緒に楽しめる曲が多くはないのなら、全く別バージョンにしてもいいのかもしれないと思いました。その方が歌う方に対しても失礼にならないのでは…と。

とは言いつつ、紅白はやっぱり「不易」かも。男性軍対女性軍という基本的な構造や、とにかく今年流行った歌を家族そろって聞き納めしてから新年を迎えるという安心感、そういうものはみんな変えたくないのかもしれませんね。


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