カクレマショウ

やっぴBLOG

結果的に「キャリア教育」になっていること。

2007-12-03 | └キャリア教育
盛岡で開催されたキャリア教育シンポジウムに参加してきました。主催は経済産業省東北経済産業局。「経済産業省」が「キャリア教育」のシンポジウムを開催する。そんな時代になっているのですね。昨年度も感じたことですが。

経済産業省は、3年ほど前から「地域自律・民間活用型キャリア教育プロジェクト」を展開していて、東北地方には、その委託を受けている団体が3つほどあります。昨年度のシンポジウムと同様、その3団体の方による実践報告が中心でした。

今回も、いくつか印象に残ったフレーズがありました。

一企業として、早くから学校や社会教育の場で教育支援を行ってきた印刷会社「ハリウコミュニケーションズ」(仙台市)。同社の針生社長は、「これまでの企業は地域に水も肥料もやらずに自分たちの都合のいいところだけ吸い上げてきたのでは?」と述べた上で、人づくりのための土壌の改良のためには、行政や学校に頼るだけでなく、企業の持つリソースを教育に生かすことが必要であると力強くおっしゃっておれらました。

ハリウの教育との関わりは、もともと学校教育と社会教育の諸活動を融合させようという「学社融合」の動きから始まっているためか、最近のキャリア教育における教育との連携・協働においても、社会教育主事の理解と協力がとても大きい、といううれしい発言もありました。

針生社長の教育支援に対する考え方は、企業は社会的存在であるということがベースになっています。こういう企業が「異質」ではなくなった時に、現在教育が抱えている様々な問題も解決していくだろうし、教育そのものが大きく変わっていくのではないかと思いますね。

一方、NPOの立場からキャリア教育を行っている「未来図書館」(盛岡市)。それこそ、学校と企業など地域の多様な機関とを結ぶコーディネーターとして活動しているNPOですが、久保理事長がちょっと気になることをおっしゃっていたのを私は聞き逃しませんでした。それは、そろそろ学校も企業側に要望を出す時期に来ているのでは?というもの。学校でいくらキャリア教育をやっても、卒業後にみんな県外に出て行かれてしまっっていいのか…ということです。時間がなかったために、そのことにはそれ以上触れられませんでしたが、私は、学校と企業が協力して、県内に若者をとどめるような仕掛けも必要ではないかという意味だととらえました。そのためには、学校がもっと積極的に企業に働きかけてもいいのではと。

青森も、岩手と状況は同じです。まともな社会人になるために立派に育て上げた子どもたちが、現実には、働く場を首都圏に求めて出ていく。PTAからのパネリストの方が、「でもやっぱり一度は外に出てみることも必要ではないか」とおっしゃっていましたが、それはもちろんそうです。ただ、一度出てしまうとなかなか帰って来ない(来られない)という状況もあります。就職や進学でいったん県外に出た人たちが、一定期間働いたら、あるいは大学で4年間学んだのちに、青森に帰ってこられるような仕組みと仕掛けが必要だよなと改めて思いました。

針生社長が最後に、これも興味深いことをおっしゃっていました。あるところで聞いた話ですが、ということで、「社会人」という言葉は、日本にしかないということ。欧米では、子どもも「社会人」に含まれる。「社会人」という言葉があること自体、日本社会には、子どもたちに「(大人)社会」と関わらせることがこれまでなかったということを示しているのではというお話でした。なるほどね。

パネルディスカッションのコーディネーターの方が、最後にこう締めくくってくれました。

キャリア教育は、その「目的」のところが大事なんだろうなと思う。社会でどう生きていくか、どんな能力を身につけて社会でそれを生かしていくかということを子どもたちに考えさせることが大切。

そのとおりですね。そういう目的をもった教育活動を、結果的に「キャリア教育」と呼べばいいだけのことです。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿