goo blog サービス終了のお知らせ 

カクレマショウ

やっぴBLOG

「仕事を考える日」=キャリア教育の日…。

2010-11-23 | └キャリア教育
勤労感謝の日。

いったい、誰が何に「感謝」する日なのだろうと思っていたら、祝日法では、「勤労を尊び、生産を祝い、国民がたがいに感謝しあう日」と定められているそうで。なんだ、みんながお互いに勤労と生産ができることに感謝しあう日だったのか。

この日は、戦前までは「新嘗祭(にいなめさい)」といって、農作物の恵みを天皇が国民を代表して神に感謝する日でした。「新嘗」は、その年に収穫された新しい作物のことです。

一方、米国では、11月最後の木曜日は「Thanks Giving Day(感謝の日)」。こちらも収穫を祝う日です。戦後、米国の占領下で、このサンクス・ギビング・デーと新嘗祭を合体させ、さらに、米国の「Labor Day(労働の日)」(=9月)もついでにくっつけたような形で「勤労感謝の日」、英語で言えば、「Labor Thanksgiving Day」が生まれたのでした。占領軍は、国家神道と結びついている新嘗祭を危険視していましたが、左翼的な「労働の日」と合わせ技とすることで、そのニオイを薄めようとしたのでしょう。でも、そのまま「労働感謝の日」にしちゃうと、それも何だかアブナいので、「勤労」という言葉を使ったものと思われます。かつては「労働」といえば、農作業が中心だったわけですが、現代はもちろんそうではないわけで、今考えると、この合わせ技は見事というほかない。

ところで、キャリア教育では「勤労観、職業観」を育てると言いますが、「職業観」はともかく、「勤労観」の方は、前から何だかいまいちピンと来ないものを感じています。浦上昌則著『キャリア教育へのセカンド・オピニオン』(2010年、北大路書房)によれば、「勤労観」という言葉に対して嫌悪感をもつ人が少なくない理由として、
①戦前戦中に多用された「勤労奉仕」「勤労動員」「学徒勤労令」「女子挺身勤労令」など、国民の力を戦争へ向けるために「勤労」という言葉が頻繁に用いられたという歴史がある。このような経験があるので、勤労という言葉を教育の中で用いることに嫌悪感を抱く人が少なくない。
②勤労という言葉に、元々「苦労を伴って」というニュアンスが含まれている。キャリア教育でいうところの勤労、仕事、職業には、そうしたニュアンスは含まれていない。
と書いてあります。

「勤労」と聞いて、今どき、戦時中のことを思い出す人もそんなにいないんじゃないかと思いますので、①の理由はともかくとして、②については、そのとおりだと思います。だいたい、普段の仕事や生活の中で、「勤労」って言葉、そんなに使わないでしょ。

浦上氏は、「勤労観」は、その言葉が示そうとしている概念をうまく伝えるために適当な言葉とは言えないのではないかとして、むしろ、ひらがなで「しごと観」という言葉がいいと述べています。

「仕事観」という言葉には、私も賛成です。「勤労観」よりずっと前向きな感じがするし、「職業観」の前に、まず「仕事」つまり、自分の社会的な使命を感じること、自分が社会でそんなふうに「役に立つ」のかを知ることこそ、大切だと思うからです。職業選びは、その次に来ればいい。

キャリア教育が目指すものは、一人一人の子どもたちの仕事観、職業観を育て、社会人・職業人として自立していくための能力や資質をはぐくむこと。この方がすっきりすると思うけどなあ~。

「勤労感謝の日」も、いっそのこと「仕事を考える日」にして、この日に、子どもたちのキャリア教育を考える全国的なイベントでもぶちあげればいいのでは??


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。