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名久井農業高校の「白いリンゴ」

2010-12-07 | └キャリア教育
今朝の新聞(東奥日報)でも、青森県立名久井(なくい)農業高校が大きく取り上げられていました。京都大学で行われた発明・事業家プランコンテスト「テクノ愛2010」での研究発表が、見事、高校の部グランプリに輝いた。受賞したのは、「高機能性食用菊」。この地方名産の食用菊のポリフェノールの含有量をほぼ2倍に増やしたという園芸科学科2年生の研究。同コンテストでは、花の成長を赤い光でコントロールする「ストックの伸長制御技術」の研究も、準グランプリを獲得しています。

また、国立極地研究所主催の「中高生南極北極科学コンテスト」では、1年生グループが北極科学賞を受賞し、このほど表彰式で堂々の発表をしてきたという。こちらのテーマは「白夜のひまわりはどこを向くか?」。なかなか面白そう。この提案は、同研究所の北極観測グループが実際に実験に取り組む、のだそうです。すごいや。

このところ、同校のこうした記事がやけに目立ちます。

先日は、朝日新聞のあの「天声人語」にまで登場しましたからね! そう、「白いリンゴ」の話です(2010年11月25日付け朝日新聞)。名久井農業高校の生徒が開発した白いリンゴが、新宿の高級フルーツショップ高野の店頭に並び始めた、という記事を受けての内容。「あまたある果物のうちでも林檎は、若い胸の内を委ねる隠喩にふさわしい。」という書き出しに始まり、リンゴをイメージした寺山修司や島崎藤村の句や詩を紹介、「そんな林檎に白い色が仲間入りをした」として、同校が紹介されています。名久井農業高校は、私が小さい時に住んでいたところに一番近い高校だったし、同級生もたくさん進学したので、あの「名農」が天声人語に…と、感激もひとしお。

実は、この白いリンゴ、冒頭で紹介したテクノ愛の昨年度の大会でグランプリを受賞しているのです。「メッセージ・アップル」、つまり、白と赤のリンゴのセットで卒業祝いとか、白と青で就職祝いとか、お祝いごとに使ってもらおうという意図で開発されたのが白いリンゴでした。

そもそも、リンゴがなぜ赤いかというと、太陽光の紫外線を浴びるからです。ある程度大きくなるまで袋をかぶせ、葉を摘んでから袋を外してたっぷり太陽光を当てて赤色を出す。その分甘みも増す。高校生たちは、テレビで白いイチゴを見て、白いリンゴを思いついたそうですが、そんな高校生のアイディアを聞いて、地元の農家の人は、白いと甘みも落ちると言ったそうです。

高校生たちは、とにかく白いリンゴを作りたかったので、甘みには目をつぶって、袋をかけたまま葉を摘まなかったところ、なんと白いリンゴも甘くなっていたという。次の問題点は、変色です。収穫したあと、白いリンゴはすぐ赤や黄色に変色するので、新聞紙にくるんで真空パックしておいたら、2ヶ月白いままで保存できたのだそうです。天声人語子も「自在な発想のお手柄」とほめていましたが、大人の先入観を覆す高校生パワーがこんなところにも見られます。

白いリンゴを開発した高校生たちは、今は卒業してリンゴづくりとは関係のない仕事をしているらしいですが、それでも、高校時代にこんな経験ができるのは農業高校ならではです。きっと、直接ではないにしろ、これからの仕事や生き方に大いにプラスになることでしょうね。

高野が目をつけるくらいだから、白いリンゴの正式な商品化も近いかもしれません。地元のリンゴ農家からも、作り方を教えてほしいという声が学校に届いているのだとか。高校生の発想から、学校と地域が一つになって新しい商品が生まれていったら、どちらにもメリットをもたらす素晴らしいことだと思います。白いリンゴが新たなWIN-WINを生むのです。

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